印象的なこの場面がいつまでも残る。
ネタバレしますのでご注意を。
「草薙」
前回の戦い後カムイは舞様に再会するが一方のウツセは小平太という男児と出会う。
この小平太の物語というか小平太の仕草が忘れられないものだった。
という台詞は本作について何度も書いている気がするが。
小平太は家を出た父を探して旅をしていた。
生まれてすぐ父と別れたため顔も覚えてはいない。
母はせめて父の太刀筋をと教え一年前に死んでしまったのだ。小平太は父ではないかと思う武士に出会うと母から教わった太刀筋を再現して問いかけるのだった。
ウツセはカムイに勝ったと自負しながらもとどめをさせなかった己に思い悩む。
ともに落ちればカムイは殺せた。が、自分自身の死を選ぶことができなかったのだ。
ウツセは小平太と出会い一途な姿に共感していく。父と会い父の言う通りに生きるというのだ。ウツセはかつて養父だった不動を思い出す。過酷な修行の日々の末別れたのだ。
がその最後の時、ウツセにとって初めての闇勤めこそが小平太の父親である馬来十蔵を仕留めることだったのだ。
ウツセは今もなお養父不動に対し懐かしい思いを抱く。その父を殺したカムイを殺さずにはおけない。そしてウツセの腕の中で幼い男児は眠りながら「父ちゃん」と寝言をつぶやいた。その父を殺したのはウツセ自身なのだ。
「死相」
ここからカムイの物語となる。
カムイは再び土木工事の樵をしていた。
そこにひとりの不思議な坊さんが登場する。
カムイに「死相がある」と呼びかけて近づく。猫がネズミを捕まえるのを見てカムイに言う。
「どのようにあがこうがネズミは猫に食われる。だがそれなれば何故ネズミは闘うか」
「しょせん無明の旅を旅する身なれば」とカムイは答える。
坊さんは突如カムイに鋭い突きを与えたがその杖が貫いたのは飯椀だった。
が、カムイは「適当にあしらわれた」と感じ取る。
坊さんは小平太に出会いさらにウツセに会う。
ウツセもまた坊さんにあしらわれてしまう。金縛りで動けないままウツセは小平太が坊さんに連れされられてしまうのを見ているしかなかった。
坊さんはカムイに「月が斬れるか」と問う。
そして水面に映る月を斬ってみせる。カムイが「それは月影にすぎん」というと「そのとおり。水に映る月は無数じゃ。だが月は一つ。ただ一つの月を斬る」
カムイは「今、風は柳生へと吹く」と言い柳生へと向かった。
ついにカムイはウツセを越えていく。
カムイはウツセに同じく抜けることを誘うがウツセは勝負にこだわった。
カムイはまたひとり旅を続ける。