ガエル記

散策

『JFK』オリバー・ストーン その2

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「真実を語ることができない国にきみたちは住みたいのか」

 

という言葉をギャリソンが言い放つ場面がありました。(おおよその記憶)

 

ところでわが国ではこの言葉の持つ意味はほとんどないように思えます、今現在。

もちろんそうではない国になりたいのですが。

 

とはいえ当時のアメリカでも結局は「真実を語る」ことはできなかったわけです。

しかしまあこうして真実を追求するオリバー・ストーン監督が黙ったいなかったし、それに賛同する人々も多くいたわけです。

日本人でも他国の話であればこうして「真実を語る」ことに興味を持ち追求したい気持ちを持てるのに自国の事となるとなかなかそれが上手くできないのはどういうことなのでしょうか。

 

昨日書いたように策略の中にゲイ社会という要素が含まれていたために物事がストレートに表現できなかった、こともあるでしょうがそれでもここまでさまざまな疑惑がありながらも結局はオズワルドの単独犯というとんでもない理解不能な解答に落ち着いてしまうなんてあり得ないことです。

2018年にその「ケネディ暗殺事件」に関する機密文書が公開されるはずだったのがトランプ大統領により中止され2021年公開に引き延ばされてしまいました。

ほんとうに公開されるのか。その時までは生き延びて是非真実を教えてもらいたいものですが、果たしてその日は来るのでしょうか。

 

昨日は男娼であるウィリー・オキーフの証言がすべてを語っているのでは、と書きましたが、次に登場する「名前は‶X”としておいてくれ。偽名はいやだから」という男はまさに核心に迫ってきます。

ドナルド・サザーランドが扮するX氏の語り口もまたとても魅力的で聞き入ってしまいます。

思えば主人公ジム・ギャリソンのケビン・コスナーはわりかし平凡な(顔はウィリーがいう通りハンサムだけど)印象なのに次々と現れる人物がそろいもそろってとんでもない個性の持ち主ばかりなのであります。

だからこそ主役はやんわりとしたコスナー氏にしたのかもしれませんね、ストーン監督は。

事件に絡んでしまったことを怯えに怯えるフェリーなどは醜悪ともいえるキャラクターではありますがその醜悪さもまた見入ってしまう独特さでギャリソンたちの前でマシンガンのように話し続ける彼の恐怖の告白場面も見ごたえあります。

 

そしてケネディ暗殺事件で唯一の訴訟であるクレイ・ショー裁判のクレイ・ショーを演じたトミー・リー・ジョーンズアメリカ人ながらヨーロッパの貴族を意識しているゲイ、というこれまた濃いキャラに扮しています。

 

ケネディ暗殺事件」というアメリカの歴史を描いた『JFK』ですが、アメリカ映画のステレオタイプとはかなり違う異質なキャラクターが登場しているように思えます。