『キングゲイナー』はお姫様もとても良い。三匹も。
ネタバレしますのでご注意を。
このシベリアの旅、実際であれば居心地の良いものではなさそうだけど惹かれてしまうなあ。
富野作品が複雑なのは周知ですが本作の雑多性はなかなか一筋縄ではいかない。そこが面白いのだけども。
楽しくて笑いが多いから誤魔化されてしまうのですが本質はとてもシリアスで難しい。
まずは「移動都市」の内容。もう少し移動都市説明箇所が多いとそこだけでも話題になったと思うのですが勿体ないのですよね。
「エクソダス」の説明も物語の中で少しずつされていくという高度なスタイルなのですがやはりそれだと「この人たちなにやってんの?」とわかりづらい。
つまりに毎回アニメ放送の始まりに移動都市の様子を描写して「我々はこうして新しい土地を目指す」的な導入をやっていたらもう少し受けやすかったのではと思ってしまうけどウザイといえばウザイだろうけど。
そしてそこに投入される「ロボット」オーバーマンがまた不可思議。
なぜこんな超常現象を起こしてしまう設定なのか。
とはいえもともと「ニュータイプ」という超常現象を本格SFに持ち込んでしまったお方なのだから当たり前といえばそうなのか。
いや決して私は嫌いではないのだけど。
というか嫌いだったら富野作品好きになるわけないか。
そしてさらにそこに騎士道精神、武士道精神を味付けすれば富野世界の出来上がり。
ではないか。
とにかくキャラが魅力的です。それは散々前回までに書いてきましたが続けて色々なキャラが登場します。
前鑑賞の『ZZ』ではそれまでのキャラの焼き直しを感じてしまいましたが本作に至っては本当に素晴らしい。
エリアルを相棒にしていたエクソダスの失敗の記憶は壮絶ですがこれもこの作品独自の味わいで薄められている。
ゲインの物語をもっと観てみたい気もする。
なんといっても運行部長の登場ですっかり笑えてしまう。
でも過剰に「おかまキャラ」になっていないのはさすが。ギリというところ。
でも助かるんだよねこういうキャラいると。