ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第十九巻

ひゃっほう。ここで張飛関羽表紙絵で以前のふたり絵があったから0・5+0・5で1となります。なにをいってるのか。

なので張飛5・5回目。関羽2回目です。張飛ぶっちぎりなんだよな。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

さらに進むと関羽一行はとある男に呼び止められる。

この先にある古城に「張飛」と名乗る男が住み着いて三千人の家来を従えているという。「誰も恐れて近づきません。お気をつけて」

これを聞いた関羽は喜び先に従者を行かせて奥方様をお出迎えさせようとした。

が、従者の報告に張飛は黙って立ち上がり馬にまたがり駆けだしやってきた関羽をめがけ槍を突き出した。

 

張飛関羽曹操に仕えて贅沢三昧をし都合が悪くなって会いに来た、と思い込んでいたのだ。

この設定『DUNE砂の惑星』でもあった。同じことを考えるものか。それともハーバート氏真似したか?

しかしいくらなんでもこの後の展開は違う。

関羽を追いかけてきた曹操軍将軍の首をはねればおまえを信じようという張飛関羽は間髪入れず切り落としてしまうのだ。

しかも奥方様「あれでもまだ関羽を信じないのですか」ってw価値観の違い恐ろしい。

『DUNE』では説得していましたwそりゃそうだ。

そして張飛この様子を観て「おうすまねえ」それでいいのか。

とにかくそうして二人は再会に酒を酌み交わした。

 

問題は関羽袁紹軍の二将軍を討伐してしまったためうかつに玄徳に近づけないことだった。

関羽は玄徳のもとに使いを出す。

報告を受けた玄徳は袁紹を欺いて抜け出す策略を行った。

荊州劉表を味方につければ必ず曹操軍に勝てるでしょう。私が口説き落とします」と袁紹が望む案件を持ち出したのだ。玄徳が保身で言いだしたのだと考えた袁紹は笑ってこれを承諾する。

玄徳の思惑に気づいた部下が追いかけたが玄徳は関羽と再会していた。

互いに涙を浮かべ労りあった。やっぱり玄徳かわいい。

皆ももらい泣きである。

この左の人、使いの男だけどイケメンだな。

 

関羽たちに寝場所を提供してくれた人物は関定と言った。玄徳は氏が同じだという。

関定は宴席を設けてくれる。そこにふたりの若者の姿を見た玄徳は「どうだ関羽。お主は子供もいないしどちらかを養子にもらっては」

なんですとー。そういうものなの?

関定は次男であれば、と答える。えええ?息子やっちゃっていいの。

関羽も異存はないと答えて玄徳

すごくはしゃいでる・・・

これは玄徳と関羽の間の子、という受け止め方でいいのかな。

そして旅立ちの後さらなる喜びが

趙雲

彼は一度玄徳に伏して家来にしてほしいと願い出たが今はその時ではないと玄徳に言われちゃったんだよね。

再度願い出た趙雲に玄徳は「喜んでお迎えしますぞ」と受け入れたのだった。

よかったよかった趙雲

 

さてこの桃園の誓い三兄弟の青春物語はここでいったん幕となる。次に登場する時彼ら特に玄徳は若者の顔から壮年の顔に変化しているのだ。

流浪の青春時代はここまでとなる。

再読しているために思えるのはこの青春時代の煌めきだ。

確かに貧しくあてどなくただただ若さと力で進んだここまでの三人の物語。

関羽張飛そして玄徳の互いの忠義もある意味若さゆえ燃えたものもあったのではないか。それは曹操も同じだ。

不安定で明日はどうなるかわからない青春の日々だからこそ三人が三人だけしか頼れない間柄だったからこそ誰も中に入れない深い関係だった。恋愛とも思える情愛だった。

ここで趙雲が加わり、関羽に息子が出来てこの後三人はこれまでとは違う安定期に入っていく。

それはさらに輝かしい時期の始まりなのだがここまでの青春期のすばらしさを今はしみじみ感じる次第です。

 

さてここからある意味奇妙な孫策編が始まります。

小覇王とまで称された若き孫策はいまだ躍進を続けていたが曹操との内通者によって狩場で襲われ毒を塗った武器で傷を負う。

名医・華佗によって命はとりとめたものの危ういところであった。

そこへ曹操の自分への悪口を聞いて怒りだす。(これやはり病気のせいなのか)

そして袁紹から手を結びたいという使者が届き曹操打倒につながるとこれを受ける。

 

ここから話がおかしな方向へ。

巷では「于吉仙人」と呼ばれるみすぼらしい老人がありがたがられ敬われていた。

これを目にした孫策は「人民を邪道に惑わす」と言って酷く嫌い捕縛し牢に入れてしまった。。

家来、母親や奥方までもが孫策をとりなそうとしたためますます彼は苛立ち処刑しようとする。

家臣のひとりが「雨乞いをさせできなければ処刑しては」と言い孫策はさっそくこれを実行させる。

しかし于吉仙人は雨乞いを成功させてしまうのだ。于吉仙人はこれで私の命運も尽きたと言う。

降り続く雨に一喝した于吉仙人の声が届いたかのように今度は雨が上がる。

人民は喜び称えた。

この様子に孫策は自ら于吉仙人を斬り殺してしまう。

人々は嘆き悲しんだ。

 

だが最も于吉仙人の死に脅かされたのは当の孫策だったのだ。

孫策は于吉仙人の幻影に怯え狂い始めついに幻を叩き切ろうとして足を踏み外しそのまま死の床についてしまう。

死を予感した孫策は後を弟の孫権に託し亡くなった。

 

孫策のこの物語はなんだったのか。

于吉仙人を尊ぶ人民に嫌悪をした時からすでに孫策は狂っていたのだろう。それは彼が虐殺した裏切者の毒のせいだったのだろうか。

 

孫策は二十七歳で生涯を閉じ、新しい国王孫権は十九歳だった。

これもまた新しい幕開けである。