ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第二十四巻

はい主人公・劉備玄徳表紙絵6・5回目。着実に張飛と並んでいますが主人公のほうが追いかけてる状態ですな。

しかもなんとなく張飛のほうに力が入ってる気がするw

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

さーてさてさて御立合い。

いよいよ『三国志』の代名詞ともいえる「赤壁の戦い」に近づいて参りましたあ!

孔明は自らひとりで呉に参上するように計略をした。

魯粛。この方も一見人の好さそうな感じだがさすが呉の使者をするだけあって鋭い。

 

魯粛はまず自分だけで孫権が行っている会議に赴く。そこでは曹操からの最後通牒「玄徳を討つか、我が百万の大軍と戦うか即答あるべし」が届けられていた。

大臣たちの多くは「呉の兵力は十万。戦に反対」である。「呉には水軍がある」と言う声にも「たとえ勝っても元通りになるには数年かかる」という反論が出る。

魯粛孫権に休憩を勧めた。

 

魯粛は「大臣たちは降伏しても今までの生活は続けられますが、殿自身は惨めになるのは見えています」と申し出る。孫権は言葉もない。

さらに魯粛はここで孔明との会見を提言した。孫権は承諾し翌日まずは重臣たちの前に孔明が単身乗り込んだ。

20代の若者です。呉国の居並ぶ重臣たちの前でこれから彼らを懐柔せねばならない。物凄い胆力としか言えない。颯爽とした歩みにこちらが震えます。

 

中に通され上座を勧められた孔明はすぐさま重臣たちの中でも重鎮と思われる高齢の人物に鋭い指摘を受けます。

「玄徳殿はあなたを得て魚が水を得たようだったと聞きました。これで玄徳殿は漢室を再興し曹操は滅ぶだろうと誰もが思っていました。ところが結果はどうです。玄徳殿は荊州も奪えず逆に曹操に奪われ自分は江夏に隠れるありさま。孔明先生がありながらこの状態はどういうことか」

論破できるかな~(ところでひろゆきって孔明を狙ってると思う。だから髭はやしたね)

ここの孔明の呈した答え、読むとおかしくて笑っちゃう。

あれほど孔明荊州簒奪を勧めたのに玄徳は恩をあだで返せないと断り続けた。これを孔明は小さな私情を捨て大義のために立ち上がるべきと渋い顔をしていましたね。同じ言葉を呉の重臣が言ってるのをここで孔明は我が君のために「その死を待っていたように領地を奪うなど我が君にはできません」としれっと言いのける。やるのう。

そしてこの笑顔からの決め顔

いやいや自分がそう言ってたのによく言えるわ。しかも我が君を持ち上げつつ呉の重臣たちをこき下ろす。

さらに舌先三寸べらべらと我が君玄徳がいかに考えて素晴らしい行いをしたかを並べ立てる。よくまあこんなに思いつくものかとあきれますわ。

(もちろん褒めてます)

尚且つ常勝の項羽に最後に勝った高祖劉邦の例を出す。

いや皆さん、騙されてはなりませんぞ~~~こいつ適当です。

しかし重臣らは「むむむ」となり

「ですが、なにか」的な~~~腹が立つ(立ってないけど)

さらに他者が孔明を斬りつけてくるが孔明は玄徳軍が少数なれどいかに勇敢であるかと説きそれに比べ呉軍は恵まれているにもかかわらず主君に降伏を勧めるとは卑怯千万と言い放つ。

さらに食って掛かる重臣に対し

ここで「では曹操とは何者ぞ」と叩きつける呉の臣に

その臣はさらに「されば舜も禹も武王も賊ではないか」と反撃するに

と一喝。

あなたは生まれながらの忠孝の道をわきまえぬのか。

曹操は漢に仕えたが漢室が衰えたと見るや滅ぼし天下を取ろうとしている。これが人として歩む道か。

これには重臣らも黙るしかなかった。

 

そしてここで止めが入る。孔明先生に対する臣らの無礼を詫び孫権との会見へと導いた。

とはいえ孔明は呉の重臣たちを論破する必要があったはず。これはあえての計略だったのだろうなあ。

 

孔明先生、お疲れ様でした。

 

 

さて諸葛亮はこうして一仕事終えた後、長く離れていた兄・諸葛瑾と再会する。役目後に再び会うことを約束して別れる。

 

孔明はついに孫権と会談する。

一目見て孔明孫権をたしかに一代の巨人だ、と感じる。しかし感情高く強情な人物であるとも。こうした人間には少し腹を立てさせるくらいの厳しい言葉が必要だと考える。

ひええ、孔明、すぐさまこんな風に作戦を練るのね。

そしてまた舌先三寸。先ほどまで曹操軍は百万と言ってるが実数八十万ほどでしょうと言っていたくせに孫権の前では「百万、いや荊州軍も加えて百五十万」と上乗せしてきやがった。さらに大将は二、三千軍師はマスで計るほどいましょう、とも。

そして孫権の「呉は戦うべきか否か」には

???どういうことよ???あまり笑わぬくせに演技で笑うのは得意なのだ。

ああそうか、ちゃんと頼んで欲しかったのね。

 

孔明曹操の威勢の前に江夏に逃れた我が君玄徳と父兄の意志を次ぐ閣下とが力を合わせ天下分け目の勝負をする時ですと説く。しかし降伏しても曹操とて閣下にひどい仕打ちはいたしますまいと続けるに「ならばなぜ玄徳殿は降伏せぬ」と孫権は問う。

孔明は「我が君は帝室の一門。ことならぬは天命だが曹操如き下輩に降りましょうや。そんなことを勧めたら私が首をはねられまする」と微笑んで答える。

これに孫権は激怒「自分の主人にすすめられぬことをわしにすすめるのか」

「お前の話など聞きとうない」と一喝して出ていった。

魯粛孔明に苦言を呈したが孔明はこれにも屁理屈をこねる。

これを聞いた魯粛はあわてて孫権のもとへ走った。

そして「なんと度量の狭いご君主だと申しておりました」と告げる。

ここで反省するのが孫権の良さなのだね。

もう一度会って腹を割って話したいと引き返し孔明に謝った。

そして「余の心は決まった。曹操の下には行かぬ」と伝える。

孔明は勝利をつかむには時間をおいてはなりませぬという。

曹操軍は北国育ちで水になれない。今叩けば内争を起こしましょう。曹操軍が北方へ崩れたつこと目に見えるようです、と。

孫権魯粛に開戦の準備を命じた。

 

続く。

 

はああ、さすがにここまでしかいきませんでしたw

半分もいってないw

ここ、最高に面白い場面でしたね。

赤壁の戦い以上と言ってもいい。

孔明の舌先三寸での攻防戦。お見事。

よくもまあ出たとこ勝負で違う話が言えますな。

かっけーことこのうえない。