ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第二十四巻 その2ー水軍提督周瑜ー

横山周瑜クラーク・ゲーブルをイメージしていると思うのだがどうだろうか。

そして横山先生はあまり周瑜が好きではない気がするw

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

開戦を決意した孫権だったがまたもや重臣たちの反対に遭い魯粛からは反対の反対をされどうしてよいかわからなくなる。

そこへ来た孫権の母上は「兄・孫策は外からの混乱は周瑜に相談せよ」と言ったでしょうと進言する。孫権はすぐさま周瑜を呼ぶ手紙を出す。

 

周瑜の妻は孫策の妃の妹なので孫権とは義兄弟でもある。この絵を見てもわかる通り(クラーク・ゲーブルを思わせる?)美男子でもあり知勇共に誉高く人気のある将軍なのだ。

周瑜の元には訪問者がひきも切らない。

この後周瑜は初めて孔明と会談することになる。

孔明魯粛とともに周瑜と会うが周瑜は降伏を口にした。

慌てる魯粛孔明は突如笑い出す。

そして孔明は開戦派の魯粛に対して「時勢に疎い」と切り捨て周瑜殿が曹操に降伏しようというのは時勢にあったまことの道理と褒めたたえる。

さらに孔明は「戦わず降伏せずに曹操軍を引き揚げさせる策があります」と断言したのだ。

しかも「一艘の小舟と二人の人間で事足りる」と。

 

そのふたりとは誰かと問う周瑜孔明は「大喬小喬の美人姉妹」と答える。曹操はこの美人姉妹の噂を聞いて手に入れたいと願っているらしい。

孔明はこのふたりを差し出せば曹操は喜んで北方に帰ると言い出した。

これに突然周瑜は怒りだす。

なんと(って知ってたが『レッドクリフ』のリンチーリンね)美人姉妹の妹は周瑜の妻だったのだ。

普通ならばそれでもう興味のなくなる男もいようが曹操はなにしろ人妻好きで有名。周瑜の妻になってるのはむしろ曹操の趣味と言えるw

とにかく孔明のこの策略は周瑜に火をつけてしまった。

 

絶対にこれ策謀ですから。

 

周瑜孫権に会い開戦を勧める。居並ぶ重臣周瑜の心変わりに驚くが国王たる孫権が開戦を決意されたとあれば納得するしかない。

孫権は剣を取り出し重厚なテーブルの角を一撃で切り落とし降伏を口にする者はこのようになると明言した。

 

その夜周瑜はもう一度孔明に会い曹操打倒と作戦を伺うが孔明はそれより孫権様の決心が鈍らぬよう念を押していた方が良い、と答える。

果たして周瑜孫権のもとへ行くと孫権曹操軍の巨大さを憂いていた。周瑜は百万の兵とは言ってもそのほとんどは烏合の衆、呉軍は三世に渡って仕える忠義ものぞろい、質が違うと言って孫権を安心させた。

が、帰路の周瑜孫権の心を見透かしていた孔明を恐れた。

自分も気づかなかった我が君の迷いを孔明が見抜いていたからだ。その慧眼と知慮。周瑜孔明暗殺を決意した。

 

が、まずは孔明の兄・諸葛瑾を差し向け味方になるよう懐柔する。諸葛瑾は忠孝を持ち出し兄弟は一緒にいるべきと説くが孔明は父母の墓も我が方にあり兄上が来られると忠義どちらも叶うと返す。

諸葛瑾は言い負かされてしまうが「偉い弟だ。呉の臣としては苦しいが兄として嬉しく思う」と思うのだった。

優しい兄さんだな(泣)

良い人なんだよ諸葛家って。

 

周瑜はなおも孔明暗殺を謀るがこれもまた孔明に見破られる。

孔明曹操軍と戦えと言い放ちまたもや逆に自分が戦うと言い出す始末となる。

この顔が笑える。いいねえ。

 

玄徳は孔明の身を案じていた。

どうやら呉の水軍が動き出したことで曹操軍と戦う決意をしたことが見えてきた。玄徳は孔明が呉軍を動かしたと安堵する。

その一方で孔明自身からなんの便りもないのが気にかかる。

部下の麋竺を使いにだすが玄徳自身が周瑜の陣へ赴いて打ち合わせをすることになってしまう。

皆は周瑜の罠を感じるが玄徳は関羽を連れて周瑜の陣へとむかった。

 

ところで水軍ってかっこいいなあと惚れ惚れしています。

 

孔明周瑜が我が君までも暗殺しようと謀っている、と感じるがすぐそばに立つ関羽を見て安心する。

まさに仁王立ち。周瑜のほうが恐ろしかっただろうて。

そうそうに周瑜の陣を出た玄徳に孔明が声をかける。

 

関羽がめちゃ可愛くて笑う。

孔明がこそっとしてて笑う。

 

孔明は我が君を諫め自分は大丈夫と言い「東南の風の吹きおこる日に帰ります」と告げる。

なにもかも予定している男なのである。

 

一方周瑜魯粛に「なぜ玄徳を暗殺しなかったのか」と聞かれ「できるものか、こちらの首が飛んだわ」と返す。

いやあわかる。きっと身じろぎするたび関羽がぎろりと睨んできたんだろうなあ。怖い怖い。

 

曹操からの使者は周瑜を提督に任命するという手紙を運んできた。周瑜はこれに激怒。使者の首を切り落として曹操へ返した。

 

曹操は水軍に詳しい蔡瑁を使い後の水軍と戦う。

しかし日ごろから訓練を続けていた周瑜の水軍に蔡瑁軍が勝てるわけがなかった。あっというまに蔡瑁の弟が討たれた。周瑜の水軍の操縦は見事であった。

 

曹操は惨敗した蔡瑁を許し対策を命じた。

蔡瑁は一大要塞を築きあげ敵が近づけぬよう配慮した。

 

周瑜は一艘の小舟を出し舟遊びをしていると見せかけ偵察に向かった。

自ら行くとは周瑜なかなかやる。

曹操はこれに気づき追わせたが船足が早い周瑜の船には追い付けなかった。

怒る曹操の前に出てきたのが蒋幹だった。

彼は周瑜の幼馴染というのだ。周瑜口説き味方につけるよう働いてみましょう、と出向くが周瑜はすぐこれを察した。

蒋幹を宴席に誘い皆の前で紹介し「曹操に頼まれて私を口説きに来たなどと思っては客に対しこれほど失礼はない」合戦のことなど忘れて飲みたいと言う。

周瑜は蒋幹を外へ連れ出し呉軍の強さを見せつける。

そして誰に口説かれようと呉君に対する忠誠心は変わるものではない、と大笑し蒋幹を再び宴席に連れ帰った。

周瑜は剣の舞を披露しやんやの喝さいを浴びた。

なんでもできる人だのう。

周瑜は今宵は共に寝て語り明かそうと蒋幹の袖を引くのであった。

 

周瑜の凄さがわかる後半でした。

美貌の将軍で才能豊か。物凄い美女を妻に持つ。

レッドクリフ』では主人公となってトニー・レオンが演じていましたね。

あの映画の周瑜は横山周瑜とはイメージがかなり違いますなあ。

むしろ孔明と親友になった感がありました。

こちらの周瑜孔明がむかついて仕方ないという。

私としては横山周瑜が面白いです。