ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第三十九巻

趙雲子竜表紙絵三回目。

前回も書いたけど趙雲描く時は目をつぶっててほしい。誰かわからないよ?

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

いよいよ曹操が乗り出し本当の蜀vs魏が始まった。

曹操は直ちに四十万の兵を起こし漢中へと急ぐ。

その頃黄忠率いる三千の蜀軍は定軍山のふもとに陣を張り魏軍とにらみ合いを続けていた。

 

大王率いる援軍四十万来るの報は定軍山に届いた。蜀軍は十万。これで勝負はついたと夏侯尚・夏侯淵は喜ぶがここで一つ手柄を先に立てておきたいと出陣を言い出す。

これには張郃黄忠は簡単には捕らえられない」と出陣を制しする。が、他の二将軍は張郃の臆病さを嘲笑い夏侯尚は出陣した。

 

これを聞いた黄忠もすわ出陣を命じるが陳式がこれを止め自らが出ると進言する。

陳式の攻撃は優勢だったが敵に計略ありと見た黄忠は援護に向かう。

ところが黄忠が差し掛かったと見るや魏軍は丸太や岩石を落とし始めたのだ。黄忠はたまらず後退した。

すかさず魏軍は伏兵を陳式へと向かわせる。陳式は後退しようとしたが間に合わず生け捕りとなってしまった。

 

その報を聞いた黄忠孔明から言われていた通り法正に相談に行く。

法正は兵たちに恩賞を与えて励ますことで士気を高めそれから陣を一歩一歩進めながら山上に近づいていく、ことを勧める。

性急な夏侯淵は我慢ならず打って出るだろうと。

この方法は効果的だった。

夏侯淵はじわじわと迫ってくる敵陣に業を煮やし夏侯尚に黄忠陣襲撃を命じた。

黄忠は直ちに応戦し敵将夏侯尚の生け捕りを命じた。

石を結んだボーラを使い生け捕りに成功する。将を捕えられた魏軍はあっという間に逃げ出してしまった。

これで両軍で捕虜ができたことになる。交渉の末捕虜の交換が行われることとなった。

互いの軍が陣前で向かいあう。

三つ数えて捕虜が歩まされた。

両陣とも弓矢を用意している。

捕虜はすれ違うと脱兎のごとく走り出す。と同時に矢が射かけられた。

陳式は無事に駆け抜けたが弓矢の達人黄忠の放った矢は夏侯尚の背中に命中した。

夏侯淵の号令がかかり黄忠もこれに応じた。

総当たり戦となったがやがて魏陣から引けの合図が送られる。夏侯淵が「何事か」と問うと張郃は「四方の山より蜀の旗が無数に表れた」と答える。

が、何も見えない。臆病を疑う夏侯淵だったが他の将たちも「見た」と声をそろえたので何も言えなくなる。

「ならば黄忠は他にも伏兵を持っていると見なければならんな」

夏侯淵は守りを固めろという命令を出した。

 

それから引きこもってしまった夏侯淵に対し黄忠と法正は話し合った。

法正は付近で最も高い山を指さし「あの山を奪るのが一番かと考えました」

魏軍は数百の兵でその山を守っている。その山を攻め取れば定軍山にある敵陣の様子が手に取るようにわかってしまうのです。

黄忠軍はすぐさま定軍山の西にそびえる高山に襲いかかった。

守っていた数百の兵は驚いて逃げ出す。

黄忠と法正は高山に上って定軍山の魏陣を見下ろして策を練った。

 

夏侯淵はこのように見張られるのは気持ち悪いはず。必ずや要害を出てこの山を奪いに来る。私はこの山頂で白旗を持って立っております。それが赤旗になった時総攻撃をかけてください。

 

思った通り夏侯淵は高みから見下ろされ気が気でない。ついにたまらずまたも止める張郃を振り切って出陣した。

黄忠は出てこない。ここでいつもの罵り攻撃を始めた。「腰抜け野郎馬鹿野郎」

白旗を持ったまま動こうとしない法正の姿に苛立った夏侯淵は自分から高山を攻めあがってきた。

法正は白旗を赤旗に変えて降った。

この合図に黄忠は応戦する。そして黄忠夏侯淵の一騎打ちとなった。

黄忠将軍の鋭い槍が夏侯淵を討ち取った。

魏軍は崩れた。混乱し逃げ惑う。

残っていた張郃はこの報を聞き別の者に陣を守らせ自らは出陣を決意した。

が、その行く手になんと趙雲がいたのだ。

張郃はぎょっとした。先日の蜀の旗といい蜀軍がまだまだ隠れているのだと恐れ退却した。

ところが本陣を守らせていた杜襲が降りてきているではないか。「どこからともなく蜀の劉封孟達が現れ本陣を奪われた」という。

将軍が討たれ本陣を奪われたのではもうどうしようもない、と張郃は兵を率い漢水へと落ちのびていった。

魏軍は天蕩山に続いて定軍山も捨てることとなった。

 

葭萌関にある玄徳は黄忠の功を讃え征西代将軍に封じた。

その時報が入る。

夏侯淵を討たれたと知った曹操の怒りは凄まじく殺気を漲らして自ら二十万の兵を率いて漢水まで来たもののそこで兵馬を停めて兵糧を北山に移し始めたというのだ。

孔明は大軍を率いる曹操の弱点は兵糧、それを奪うことができればこの戦の第一の手柄だという。

側で聞いていた黄忠はその役目をお命じくださいと進言する。

孔明はまたも釘をさしながら「では趙雲をお連れなされ」と助言した。

 

黄忠、働きすぎで心配です。

 

黄忠趙雲を伴って出陣した。

趙雲が先陣を希望すると黄忠はこれを制した。くじ引きでも黄忠が先となり趙雲は納得した。

 

黄忠が物見を行かせると敵陣はまだ眠っていた。

黄忠は敵陣になだれ込み食糧に火を放った。

これに気づいた張郃黄忠と渡り合った。

 

北山の煙を曹操も見た。

急ぎ徐晃を向かわせる。

趙雲も煙を見て救援に駆け付けた。

行く手を阻む魏軍を趙雲は槍で薙ぎ払い進む。

良い感じである。

頼もしい~

趙雲たまってたなあ

魏軍かわいそう。

こうして趙雲黄忠を見事助け出した。

 

この知らせを聞いた曹操は怒り心頭。

「なんたるだらしなさじゃ」

全軍進撃を命じた。

魏軍二十万が動き出した。

 

この報告を受けた趙雲は高台に乗って曹操の進撃を見る。

船による二十万の軍勢は壮観だった。

趙雲は門は開いたままにせよと命じる。

さらに射手を空堀に隠させ旗も下ろし趙雲ただひとりが吊り橋の上に立ちはだかった。

 

魏の大軍は殺気をはらみ趙雲の立てこもる小さな砦にひたひたと迫りつつあった。