ネタバレしますのでご注意を。
竹之内波太郎。クールな美形キャラと見えて実はとても優しい心根の人。
孫堅か孫策か、って感じのこの人、水野信元。逆にヤな感じの人である。
その孫策似の水野信元の弟。水野信近。兄に物申したため疎まれて殺害されそうになるが命拾いし旅人となる。
家康のパパ。体が弱くて神経質なお坊ちゃま。松平広忠。
家康のママ。パパと違ってものすごいしっかり者で美しく賢く強い女性。出来すぎ姫。於大のかた。
大久保新八郎。
たぶんみんなすぐ好きになるはず。
生まれたばかりの竹千代(家康)に年賀言上のために参上する。若様にお伺いも立てずに「お通りを」という乳母を𠮟りつけた。
可愛すぎる(ふたりとも)
てな感じで続けます。
どうしても『三国志』直後なので比較しがちなのですが波太郎は孔明枠なのかと。
ただしまずは織田信長の幼少期・吉法師に助言していましたね。「愚かになれ」と。ジョブズか。
『三国志』では戦いが肉弾戦の繰り返しだったのがこちらでは「誰と誰をくっつけるか離してしまうか」というような頭脳戦なのだけど駒が人間であるだけに駒にさせられる人間は辛いのだ。
本作ではその駒が岡崎城の主従であるわけです。
家康の父と母は政策によって番わされやっと愛し合う関係になり家康を設けて後に今度は別離を強要される。
本人たちだけでなく特に於大の方を慕った家来たちの心も引き裂かれてしまうのだ。
この明るい忠義者が笑いながら泣く場面は辛いです。この場面の後新八郎は弘忠にこう言う。
なんだろうね、こういう堪忍をし続けるのも戦なら今現在の我々も戦の真っただ中ということですかね。
波太郎が出てくる時だけちょっとほっとするのは彼がこの主従のシステムの外にいるからなのだろう。
そして登場する織田信長幼少期吉法師。
やはり織田信長はどうしても好きになってしまう。楽しいね。
さて一巻の最後でいよいよ数え六歳の竹千代は人質となる算段となる。
父・広忠は最愛の於大の方と離縁した後側女のお春に手を出し新たに正室として迎え(させられ)た眞喜姫には手も触れないという意地を張り続けていた。
その於大は長兄水野信元の政策とはいえ波太郎の勧めで阿古居城の久松俊勝に嫁ぎ落ち着いた生活を送っていた。そこへ中兄信近(信元に殺されそうになり身をやつしている)が足軽として久松家に仕えることとなる。
さてこうしてついに次巻から『徳川家康』の物語となっていく(であろう)