ガエル記

散策

『セカンドマン』横山光輝 その1

「小学四年生」昭和49年(1974)5月号~50年3月号掲載

 

おお!美女が一緒に描かれている。希少価値。小学生には美女w

 

しかし中の扉絵では主人公ひとり。かっこいい。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

まず、小学四年生向けにしてはかなりハードな内容に思える。自分がそのとき読んでいたらそういう意味でも感動しただろう。

以前読んだ少年少女向け作品でも横山氏は重い内容をぶちこんでくる。そんなところにも愛読者が増えたに違いない。

 

美しい地球の姿を描き、廃墟と化した建物が示され「冷凍室」と書かれた壊れたドアの中で眠っていた少年が目覚める。

少年は五十年間冷凍ボックスに入っていて今その冷凍が解かれたのだ。

しかし周囲の同じように目覚めるはずの人たちは皆ボックスの破壊によって死んでしまっていた。

そして少年は外へ出て朽ち果てた建物や自動車を見てかつてあった美しい庭園とはまったく違う景色に打ちのめされる。

 

横山座りというべきか。

様々な作品で人物が途方に暮れた時に行う。

 

ここから少年がなぜ冷凍睡眠にはいったかの説明がされる。

少年の名は健児。健児は恐ろしいほどの超能力を持っていた。人の心を読み物を思い通りに物を動かした。

最初は面白がられたその能力もやがて人々から忌避されるようになり彼は孤独に苦悩していた。

健児の父は冷凍ボックスの研究所の所長であった。その父も息子を避けているのを健児は察していた。

健児は思いつめて父に冷凍ボックスに入れてもらい誰も自分が超能力者であることを知らない世界に行きたいと願ったのだ。

 

しかし50年の眠りと思っていたのが実際は200年経過していたことに健児は気づく。

とはいえ200年の間になぜここまで変わってしまったのか。

思い悩む健児の前にオオトカゲが現れる。

健児はかつて悩んだ超能力でオオトカゲを倒す。

かわいそうでつい保存してしまったwピーッ

しかしこれではやっつけきれずバビル2世ばりの電撃でやっと倒せた。

 

健児は「まさか人類が滅亡したとは思えない」と人間を探しに歩き出す。

こうした行動力が横山マンガ。

気持ち良いね。

歩き続けやっと人物を見つける。

やはり男。かなりカッコイイ感じだ。

しかし

トカゲに飲み込まれてしまった。えーっ

仕方なくまた歩き続けると

おおっ。大都会が

ちゃんと人もいる。基本男だけど。

が、健児が話しかけても誰も返事をしてくれず心を読もうとしても読めない。

誰も何も考えていないのだ。

大都会を制御しているコンピューターがA1に「侵入者ヲハカイセヨ」と指令を出す。

ちなみにAI(エーアイ)ではなくA1(アタックワン)である。

胸の文字を見ると「アー」と読んでしまいそうだが。

A1かっこいいね。ブレードランナーのよう。

健児は超能力でA1と戦い隙を見て逃げようとするが頭の中に話しかける声がした。

「われわれはきみのみかただ」「A1からにげるにはA1をたおさなければだめだ」

話は重いがひらがなが多い。

健児はテレキネシスで建物を破壊しA1を押しつぶした。

テレパシーの声は「A1の武器を取れ」という。

近づいてみたその姿は押しつぶされて壊れたロボットだった。

コンピューターは差し向けたA1の発信音が途絶えたことで続けて別のA1を送り込む。

うーかっこいい。

横山氏は敵がカッコよくて大好きなんだよな。曹操然り(いきなり曹操

襲われる美少年とカッコいい悪党どもという構図。

健児はここでも臆することなく三人のA1を相手に戦う。テレパシーによる励ましがあるとはいえ物理的援助ではないのにすごい。

このA1色気ありすぎでしょ。

 

しかし落とした光線銃の引き金を念動力で動かしこのA1を破壊した。

健児は声が導くままに進み続ける。

 

その時「ウワッ」とテレパシーが叫びトカゲの大群に見つかり皆食べられてしまう、というのだ。

健児は走り出した。

 

いきなり戦い慣れている健児とか不思議な気もするが70年代は不思議ではなかったのかな。

小学四年生向けと書かれていたのもあって甘くみていたがとんでもなく面白い。

とにかくここでも悪役に手抜きがない。