ガエル記

散策

「銀河英雄伝説外伝」-螺旋迷宮ー

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黒色中国さんが「銀河英雄伝説」のことをつぶやかれてからどうにも気になって本を少しずつ読み返しているのですが、アニメのほうも放っておけずについにネット配信U-NEXTで外伝から観ています。

外伝は鑑賞したものもあり、未鑑賞のものもありなのですが今観ているのは「螺旋迷宮」というものです。

 

若きヤン・ウェンリー少佐が今は亡きブルース・アッシュビー元帥について調べていく、といういわば探偵ものというような形式になっている作品です。

小説の外伝の中の一部抜粋したアニメ化になります。

 

銀河英雄伝説」そのものが通常のアニメ作品と比べてまったく違う印象があるのですが、それは多くのアニメ作品の原作がマンガであるのに本作は小説を原作としていることにあると思います。

最初から物語が絵として作られたマンガが原作の場合、すでに表情や動きや背景は作者から示されているが小説が原作の場合は物語は心理描写は説明はマンガより詳しく理解できるが、その時に登場人物がどういう表情であるか、どう動いているか、はアニメ製作者が考えなければならない。キャラデザインはもちろんすべてのデザインを考えることは当然だし、小さなアクションひとつもこの人物ならどうするのかすべての演出を負わされてしまうわけです。

マンガの場合はマンガ家がすでに考えてくれたものを「アニメ化」すればいいが小説が原作だとまずその動きからデザインしていかなければならない。しかも描写がリアルなのであまり突飛なことをさせるとイメージを損なってしまう。

銀河英雄伝説」アニメのアクションが乏しいのはそうした足かせがあるからなのですが、凡庸なアニメの不必要なアクションに辟易している身としては「銀英伝」アニメの落ち着きはむしろ好ましく思えます。

とりあえず、言い訳をしておきますが奇抜なアクションを演出するアニメは大好きです。無意味に大げさでありきたりなのが嫌なだけで。

 

ヤン・ウェンリーが21歳で少佐になっている、というのも現実的にはあり得ない極端さではありますが、子供ばかりが登場するアニメ世界の主人公としては年配と言っていい年齢ですし、しかも他の登場人物は軒並み高年齢でこれも非常に好ましく落ち着きます。

惜しむらくはこうした優れたアニメ作品が登場した後に続く大人アニメがさほどなかったことでありますね。

 

マンガをアニメ化するのに比べ小説のアニメ化は仕事量が半端ではないのでしょうが、こうしたじっくり観れるアニメ作品が今後増えて来てほしいと思います。

マンガのキャラをアニメに描き換える技術も凄いことだとは思いますが、ラインハルトもですがヤン・ウェンリーのキャラ設定をよくぞこういう形にしてくれたものだと感謝する思いです。

声優は富山敬でなければ!と思っていましたが残念なことに亡くなられてしまいこの外伝「螺旋迷宮」ではヤンを郷田ほづみ氏が担当されていますが自然と受け入れてしまいました。郷田氏は「ボトムズ」のキリコ・キュービィをされていて大好きですのでそうしたことも作用しているのですが。

 

それにしても黒色中国さんのツイートでたくさんのかたが「銀河英雄伝説」の大ファンでとても熱く語られているのを見ているのはとても幸せなことでした。

黒色中国さんご自身はあまり小説やアニメを特に好まれてはいないようなのに引きずりんでしまうファンたちの熱意は微笑ましいものがあります。

 (とんでもない力も秘めているってことですが、今回は皆さん尊敬する方へのお誘いなのでとても良い感じでありました)