ガエル記

散策

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』豊島圭介

何度目かの鑑賞。と言っても何が語られているのかまったく呑み込めてはいないのですが呑み込めないがために何度も観てしまいます。

以前YouTubeに上がっていた時も何度か観ていましたが映画としてまとめられ途中途中に現在の知識人方々の解説が入ることによって私などは助かることになります。

昨日まで観続けた『銀河英雄伝説』からのこの映像はもちろん私としては非常につながりを感じての選択になります。

銀河英雄伝説』で私は完全にヤン・ウェンリー自由惑星同盟」側でありながら帝国軍への作者の美学と賛辞に感銘も受けてしまいます。

本作においては全共闘側に賛同はしないものの三島由紀夫に反感を持ちながら討論というより会話をするうちに若者たちが三島由紀夫に惹かれていく様にはとても共感してしまうのです。

 

ラインハルトとは全く違う柔らかな物言いでありながら極めて明確な言葉を三島由紀夫は話します。それは政治家の何を言っているのかさっぱりわからない、というか何も言っていない話し方とは対極にあるのです。

三島由紀夫の死を惜しむ人は大勢いて私もその一人ですがとはいえたらればを言っても仕方ない。ラインハルトの死は生き急いだために命が燃え尽きたと同じく三島由紀夫の生も燃え尽きてしまったと考えるしかないように思えます。

つまり三島氏が長く生きていたらと言って彼がどうなったのか他の多くの有望な人々の末路を見れば必ずしも良きということではないとも言えます。

そうはいってもやはり長く生きた人こそが様々な歴史を顧みれるのです。

当時この場にいた生存者の方々が語る姿を見てやはり長く生きることには価値があると思います。

年を取りすっかり容姿が変化してしまった彼らが記憶を呼び戻し語る意義を感じるのです。

そういう意味でもやはり三島氏に生き永らえてほしかった。詮無い願いですが。

 

ヤン・ウェンリーも生き延びて欲しかったのです。

 

ラインハルトは仕方ないと思っていますが。