ガエル記

散策

『キャシアン・アンドー』その6

この物語を操作しているふたりモン・モスマとルーセン・レイエルです。

 

モン・モスマを中心にまたルーセンを中心にして物語を作ることもできたはずですがチンピラのキャシアンを中心にしたことが本作の面白さですね。

 

そしてキャシアンの母マーヴァを主人公にすることもできたように思えます。

『アンドー』は進むほどに面白くなっていく作品です。半ばの牢獄のスリルに満ちた興奮する面白さを経て終盤は悲しみと怒りを引き出していきます。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

 

本作中一般的にもっとも有名俳優フォレスト・ウィテカー演じるソウ・ゲレラとルーセンの接触もあり物語は『スターウォーズ』へと近づいていく。

 

マーヴァの死を知らされるキャシアンの悲しみ、そしてマーヴァは死してなお人々の心に訴えた。

檄を飛ばす、という言葉は今もう正しく使われなくなったけどこういうことなのだろう。

そして不甲斐ない男だったキャシアンが本作の始まりでルーセンから「大義に生きるか意味のない人生を送るか」と問いかけられた後テロ組織に入りまたその後冤罪で過酷な牢獄生活を経験して多くの苦悩を知っていく。

本作の最後にはキャシアンがルーセンに「俺を殺すか仲間に入れるか」と選択を求めるのだ。

ルーセンはキャシアンの変化と成長ににやりと笑う。

「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」

 

『キャシアン・アンドー』はまさしく『スター・ウォーズ』の直系の物語だと私は感じます。

ルークが田舎のネズミならキャシアンは都会のネズミですがどちらもネズミには違いない。

違うのはルークが「この田舎の星から逃げ出して戦士となりたい」と自己成長を願ったのに対してキャシアンは苦しむ人々のために戦おうと決意したことです。

時間軸は逆ですが物語の順番として素晴らしい構成になっていると思います。

 

しかも超能力フォースを持つルークとは全く違いキャシアンは何の力もない小柄な一市民にしかすぎないのです。その男を主人公にした意義に感動します。

 

第二シーズンは作られるのでしょうか。作られたらもちろん観たいしその前にもう一度『ローグワン』も観返したい。