中段右のコマ、すごく気になります。なにこの印象的な構図。
誰かがなにかで似た構図を使っていた気もします。(萩尾望都だったかな???)(うう思い出したい知りたい)
というかこの1ページすべて印象的です。
車のヘッドライトがピカッと光った後の黒豹ロデムのテレパシー「きました。あの車です」でバビル2世の揺らぎ無き「よし」からの
その車の前に飛び出すバビル2世とロデム。バビル2世の少年らしい細い手足のしなやかな角度のあるポーズ。指の向きまで美しいです。そしてそんな少年の体を守るかのように車との間に影のように入るロデムの黒い肢体。明らかにバビル2世をお守りする意識が感じられて泣きそう。バビルもそんなロデムを当然のように思っている感じ。
それに気づいて「うっ」と運転士が急ブレーキ。驚き「どうした?」と局長。「いま目の前を少年とけものがよぎりまして・・・」運転士の言葉選びがエモすぎる。
が「あれっだれもいないや」バビル2世とロデムの俊敏さを物語る。
この前のページも凄く良いんですが。
横山光輝マンガ、こうしたエモさの繰り返しなんですね。
言葉と構図がうますぎる。
これは誰もが夢中で読みますわ。
この後、局長はバビル2世に弄ばれるのですがその様子もなんかエロいんです。そして最後に局長の「わ わしは悪夢をみてるのか」
まあ、この調子でいったらマンガ全部のページを逐一解説しなきゃいけなくなりますがアニメじゃなくてもマンガを読んでいるだけでアニメのように動きで追えていくのですよ。
特に『バビル2世』は凄かったんでしょうか。それともどの横山光輝マンガも同じなんでしょうか。
バビル2世のまったく揺らぐことのないまっすぐな正義感と行動力。迷いがないんですよね。それがますます少年らしさを見せつけてくれます。
一方のヨミは。
思い悩む姿が深刻です。なかなかのハンサムなのですが髭もあって年齢を感じさせるのが若々しいバビル2世と比べ悲壮感があるんですよね。今の私としては是非ヨミ様に頑張っていただきたい!なのに!
あんまりだわ。
かわいそうだ。
なんだろな。横山光輝先生、けっこう残酷なんですよ。「げえっ関羽」の時の曹操を思い出す。
バビル2世力強くてかっこいいの。生命力に満ち満ちてますな。
で
美しい。かっこいい。
おじさんたちボーゼンと見送るしかない。
空と海の描き方が素晴らしい。バビル2世とロプロスの影のデザインがエモい。
この一枚絵飾りたい。
何だろうなあしかしこの『バビル2世』と言うマンガ。
この歳になって読むとあまりに辛くないだろうか。
(いや楽しいんですが私は)
最初の感想で書いたように老マンガ家と若手マンガ家の戦いだという考えは変わってないんですがやはり年を取っていけば誰しもバビル2世からヨミに変わっていくのは当然のことです。
いえばバビル2世自身それを危惧していますしね。
超能力を使えば使うほど疲労して年老いてしまうと。
しかもマンガの中でかなりのページでヨミの苦悩が描かれています。
ヨミはそもそもバビル2世と友達になりたかったのですが物凄い軽蔑の眼差しで見られて絶望しそれから彼を倒すことだけを考えていきます。
しかしどうしてもどうやってもバビル2世に勝てない。
何ですかこのマンガ、むしろヨミ様が主人公なのでは。
ヨミはバビル2世に憧れているんですがバビル2世はヨミを受け入れてくれないんですよ。
悲しい。
ヨミ様のあごひげとバビル2世の可愛い丸顔を比較するだけでも悲しい。
しかもヨミ様途中でバビル2世になる、つまり若作りしちゃうのです。
あまりに惨め。
とどめのバビル2世の美しい姿を。
コンピューターさえも彼を愛おしんでいる。コマからはみ出してしまうのよ、少年は。床の輝きすら彼を引き立ててます。