昔子供向け『三国志』で孔明は素晴らしい美男だが龐統は醜い男、と書かれていて劉備玄徳が孔明の方に行ったので「やはり顔か」と思ったのを覚えています。
それを思うと横山先生は情け深いキャラ造形ではないでしょうか。確かにこれを比較したら孔明がハンサムですが龐統は醜いとは言い難い。
むしろ蒋幹さんの方がイメージかもです(ごめん蒋幹さん)
ネタバレしますのでご注意を。
この蒋幹さん、何のために出てきたのかな、と考えてしまいます。というかまさにドジを踏まされるために出てきていますよね。
一度ならず二度までも自ら「わたくしにおまかせを」と言って騙されてるw
それを承認する曹操も曹操だけど不屈の闘志で何度も蘇る曹操だからこそなのか。
周瑜の幼馴染であるのを利用して近づき目障りな周提督を曹操軍へ引き込もうとしたら逆に利用されて目障りな蔡瑁を殺害する理由となる手紙を持ち帰ってしまう。
この蔡瑁が生きていたら曹操軍が勝っていたかもしれないのだ。しかし同じ曹操軍の蒋幹がそれを潰してしまった。いや周瑜によって潰すように仕組まれた。
とんでもないことになったと読者は思うが蒋幹自身は「周瑜を口説けなかった」とだけ思っているし曹操もそう思っているのだから仕方ない。
挽回すればいいかくらいに思ってる蒋幹は再び呉を探りに行かせてください、とお願いするのだがその勇気には感心する。
さて二度目の周瑜訪問での顛末これもすべて周瑜の計略であろう。
周瑜はわざと「お前が手紙を盗んだせいですべてがぶち壊しになった」と怒り(いや盗ませたんだけどね)あえて人目のつかぬ山小屋に閉じ込めるが見張りが眠りこんだ(!)間にそっと抜け出して走っていくと行く先に一軒の庵があり道を聞きたい蒋幹が入っていくとそこに龐統が座っているのであった。
なんかこの絵ホラー味があるのはなぜだ。
やはり騙されているからか。
しかし暗がりで近づいてからのいきなりの明るい室内という切り返し方横山先生のマンガの上手さに舌を巻きます。
こうして曹操軍の回し者である蒋幹が呉に住む龐統を曹操軍に連れ帰る手はずとなる。
物凄く嬉しそう。
酒宴も好きだよね曹操。
いい性格だ。
自ら先頭に立って走り回るのも曹操の偉いところ。って見せてしまってるんだけど。
顔に影をつける演出で龐統が腹黒い謀略をしていることが解りますね。龐統が周瑜にも語った曹操軍打倒の布石が今打たれました。。
そのうえで呉軍に戻って周瑜に不満を持つ将を口説いて曹操軍に降らせましょうと言い出す。曹操は喜んで龐統をこの任につかせた。
がこれを見破ったのが徐庶であった。
帰路につこうとする龐統を背後から襲う徐庶のくだりも頭脳戦でおもしろい。
曹操軍にいても徐庶の心は今もなお玄徳の元にある。だが龐統の計略で焼き殺されるのは困ると徐庶は訴えた。
「鳳雛ついに立ったか」徐庶は周瑜の元へ戻る龐統の後ろ姿を見送った。
まもなく。
曹操の陣にある風説が立ち始めた。
西涼の馬超が反旗を翻し刻々と曹操の都に進撃しているというのだ。
曹操は風聞とはいえ聞き逃せないとして都に戻る者を募ったが誰もが一番乗りの手柄を立てたいために手が上がらない。
そこで進みでたのが徐庶だった。曹操は徐庶に精鋭三千を与えて都へ戻らせた。
つまり龐統の計略です。
かくして曹操水軍は鎖で連結されついに出陣となった。
ひええかっこいい。
この画力すさまじい。その場にいるようだ。かっこええ。
しかしやはりここで火計の心配をした者もいた。
が
つまり曹操軍に火計はできまい、ということだ。
ここでなにやら小さなエピソードが入る。
二人の将が小舟で呉陣に入る攻撃を願い出たのだ。
危ういと見た曹操は渋ったもののこれを許可した。
が案の定二人の将は殺害されてしまう。曹操はこれを聞き全艦隊の出撃を命じた。
水軍を描く画力に見惚れる。
水面がすごい。
横山軍は画力がすごかったと聞くけどこれを見るとうなずけますね。
さーてさてさて『レッドクリフ』ですぞー!