ガエル記

散策

『マーズ』横山光輝 ②

①の表紙は衝撃ですが②のマーズはなんかセクシーで素敵です。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

横山光輝マンガをずっと読み続けてきた方にはあまり感じられないものかもしれませんが長い時を経て読み始めた者にとっては(年齢は若くなくても)今の感覚ではちょっと(・・?的になる場合がちょこちょこあります。

(いやそれが楽しいのでしょうが)

例えば『三国志』だとそれは殆ど感じないのですが『マーズ』は特にそれが多くて読みづらかったのです。

再読して少しずつその(・・?感が薄れより深い所へ入りこめていく気がしています。

 

その一つが六神体メンバー。無性生殖人間というにはあまりにおじさんキャラなので奇妙にも思える。マーズはきれいな少年という見た目で髪も長いので無性というのが納得だけど彼らは髭まであるしかなりごつい感じなのは(・・?なのだ。

今なら全員男女ともつかない美形キャラでそろえてしまいそうな気がする。

しかしこれも横山デザインということで読み進めていこう。

とはいえ2巻の冒頭、六人が集って最後の乾杯をする場面は印象的だ。

彼ら自身も死んでしまうのに祝杯をあげるのが不思議でもあり、いやこのために存在していたのだからほんとうの祝杯なのだと感動もする(まあかなり長い時を生きていたのだからいいのか)

この飲み方も横山流だけどグラスに口をつけないのだ。潔癖症かな。

特に真ん中の方に心惹かれる。

 

しかし時刻が来ても何も起こらず彼らはマーズが任務を果たさなかったことを知りグラスを握りつぶすのだ。この演出がかっこいい。

 

 

『マーズ』連載この時点でまだ1976年だと思われますがここでマーズが「地球人三十九億の命を奪ってよいという権利があるんでしょうか」と問う。それくらいだっけと調べたらまったく違っていた。

2024年現在80億人をゆうに超えている。50年で二倍以上、というと大したことないみたいな言い方になってしまうが39億が80億になったのだ。これは凄い。

なんと感想を言えばいいのか。

 

ここでマーズは岩倉記者にガイアーに命令しないでくれた礼を言われる。

マーズは地球人が「確かに残忍な行為は数多く見られるがそれを勇気をもって発表し二度と起こらぬよう警鐘しています」と評価したのだ。

しかしそうではないことをこちらは知っているだけに恥ずかしい思いにさせられる。

すでに六神体メンバーのほうに心が傾いている。(いや滅びたいわけじゃないけど)

 

心配ご無用、六神体メンバーは行動を起こしていた。

春になったにもかかわらず日本列島は吹雪に見舞われすべての交通が止まり運送が不可能になっていた。

食糧がなくなり暖房が滞り餓死凍死の恐れが近づいてきた。

マーズは疑問を感じ動き始めた。

マーズの動きとともにガイアーも動き始める。

フジツボがびっちりついているというのが本格的。こういうイメージに感心してしまう。

 

そしてこういうイメージも。昔こういうのよくあったんだよな。

しかしこれはまだ仮の姿。

その正体はァ!

六神体の一つウラヌス。なんでこんなの思いつくのか。

まあザルドスだと思うけどここで使うってことにね。

しかもザルドスより可愛いウラヌス。

金属光沢もgoodおじさんをもとにデザインしました

実際はおじさんがピュウピュウ動かしてる。

メカがかわいい。1976年ってこれくらいだったのか。横山氏の好みか。

おじさん徹底的にマーズをいたぶる。へんたいめえ。


ウラヌスで押しつぶされそうになるマーズ。

だがそこへガイアーが登場。

もう一歩というところでウラヌスとおじさんは消滅した。

 

そしてマーズは深い亀裂に身をひそめ事なきを得たのだ。


しかしマーズは深い傷を負い医師に家へと戻る。手当てを受けウラヌスと戦ったことを話す。

これまでもいくつか誤字発見はあったのですが私は探しているわけではないのでまあまあスルーしていましたが面白いのはやはり気になります。

左側「どう出てくるかい!?」はw「い」は余分でした。

場面的に医師が言ってる気もしますがどちらの発言でもおかしいwww医師とマーズの意識が混ざってるw

更に同じページの

左台詞の一番左「相談しましょう」は「相談しょう」でいいはずwこれも春美と医師が混ざっちゃった。

忙しかったのかなあ。

 

さてマーズの怪我を見て岩倉記者は本格的にマーズのために動き始める。

新聞社のデスク及び科学者たちと共にガイアーを見せてマーズの言葉が真実だと認めさせ本当に地球の滅亡が迫っているのだと知らせる。

そこへまたもや大異変がエジプトで起きたというニュースが入った。

金属製のスフィンクスが四体現れ六千度という高温で近づくものを溶かしてしまうのだ。

マーズの存在は日本の官房長官が知るところまでになった。

マーズはエジプトの事件を知りエジプトへ飛ぶ。(飛行機で)

スフィンクスの男はマーズを見てほくそ笑む。

 

ここまで。孤独なマーズとは書きましたが医師と春美と岩倉記者がマーズを信じて心を寄せてくれるんですよね。

本作は永井豪デビルマン』も思わせます。

デビルマン』では人類に失望したデビルマンが美樹ちゃんという愛する女性のためだけに戦うと誓うもののその愛する人を殺されたことでもうどうでもよくなってしまう。(言い方)

『マーズ』においてその美樹ちゃんの役を春美が担うはずだったのではとも思うのですがそれでは『デビルマン』になってしまうという判断か、そもそもそんな甘いものじゃないという横山思考かそれともいやいや岩倉記者が美樹ちゃん役なのか。

春美はマーズの覚醒を導きはしたもののそれ以後あまり深入りしてこないのはやっぱり横山展開なのだなあ。

そこへ行くと岩倉記者はマーズの役に立ちたいと身を挺しそのまま死んでしまう。

横山氏はその死をマーズの言葉にはしなかったもののマーズの最期の行動を誰も止めきれなかったのは岩倉記者がいなくなってしまったからだと思えてならない。