ガエル記

散策

10代の頃の読書~続き~

10代の読書、ということで当時のベストセラー本を顧みております。

実を言うと私はベストセラーというので本を買ったことが(たぶん)ないのであまり意味はない、と思っていたのですがこうして過去を振り返るとやはりいろいろなことが思い出されて面白いものですね。

例え自分自身がベストセラーで買ってはいなくても当時の考え方が見えて来る重要な資料だと思います。

 

では昨日に引き続き80年代を行きます。

1980年。私が17歳の時です。

1位「蒼い時 山口百恵」これも読んではいませんがとにかく話題でしたね。

超人気アイドルだった山口百恵。他の可愛いだけのアイドルとは違う美貌と共に知性と強い意志を持った女性、というイメージがありました。

その彼女が人気俳優・三浦友和氏との共演を経ての結婚を決めて芸能界引退、というのはあまりにも見事な花道でありました。

後に私が中華圏にはまった時、中国でも百恵・友和の人気が凄いことに驚きました。中国では彼女の目が「とてもやさしい目」として称えられていると知り微妙な日本との感覚の違いにも驚きました。

今となれば結婚引退、というのは花道でもないのかもしれませんが私が思うには百恵氏は芸能界に思い残しはなかったのだと思います。

その後、三浦友和氏がますます素晴らしい俳優になっていくのも驚きでした。山口百恵さんは(まだこれからわかりませんが)やはり凄い人です。

他はツービートの本だったり、お金関係の本だったり、あまりこれというほどもない。

 

81年。1位「 窓ぎわのトットちゃん 黒柳徹子」3位「なんとなくクリスタル 田中康夫

こういう時代でした。どちらも読んでいません。

特に「なんクリ」はタイトルからして読みたくなかったですね。当時の勉強になると言われても拒否します。

 

82年。私の10代最後なのでここで終わりにしたいのですが、またまた怖ろしい最後です。

1位 「プロ野球を10倍楽しく見る方法 江本孟紀」は覚えていますが読んでもいません。当時はプロ野球がこれほど人気だったのですね。今とは比べようがないほど凄かったのです。TVではプロ野球に関する番組がいっぱいありました。しかもほとんど巨人が独占していたということも今では考えられない、というよりあの当時に将来ジャイアンツがそれほど注目されなくなる、とは誰も思わなかったでしょう。今は別の球団のほうが話題だったりしますよね。

 

そして2位「 悪魔の飽食 森村誠一731部隊に関する告発の書、です。今となれば絶対読んでいそう、なのですがこの当時の私は怖くて読めませんでした。

結局これは読んでいませんが731部隊や戦争における日本軍の行為を読んだり見たりできるようになったのは大人になってかなり後です。

そういう気持ちがあったのを覚えていますので今ネトウヨと言われる人々がやたらこれらを否定し続けるのは10代の私のように怖くて怯えて認めたくないだけなのでは、としか思えません。

しっかりと歴史を見つめ事実を肯定し判断するのはある程度の勇気と知性が必要です。

この頃の私にはそれがなかった。今ではその時の自分を恥ずかしいと思います。

百田氏もネトウヨ氏も臆病なのです。現実を見る勇気を持つことが怖くてそれを見せようと近づく人々を叩くのです。

他もこの年は結構気になるものが多い年なのですが、やはりこれ。

8位 「積木くずし 穂積隆信

これも読んではいないのですが、後年どんな本だったのかを岸田秀著「嫉妬の時代」で読んで「あの時ベストセラーでドラマにもなった話題の本はこんな内容だったのか」と驚きました。

ひとり娘が非行から立ち直っていく様子を妻の日記を交える形で書かれたものだそうですが、岸田秀氏は「親が子供の非行について書くのは自己正当化でしかない」ということを書かれていて、このような本は絶対に書くべきではない、としています。

しかしそのような本がベストセラーになりドラマ化もされて人気になってしまう社会がかつてあったのです。

いまだったらネットで是か非かの論議になったかもしれません。

著者・穂積氏一家のその後を見てもらうとこの本がもたらしたものがどんなものだったのか判ると思います。

何故父親がこのようなことをしてしまったのか。それがどのようなことになったのか、は語られていくべきことだと思います。

 

9位 「日本国憲法 写楽編集部」

これを見て驚きました。

この時も憲法について考えた時、だったのでしょうか。

今も特に9条についての論議がなされています。

戦争はあってはならない。そう願うだけではなく強い誓いが必要なのです。


第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、 国権の発動たる戦争と、
  武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
  国の交戦権は、これを認めない。

 今ではkindle版で無料で読めます。

よくよく読んで噛みしめたいと思います。