今朝はまず京都アニメーション放火事件で亡くなられた方々に哀悼の意を捧げたいと思います。そして負傷された方々の早い回復をお祈りします。
なぜこのような事件が起きてしまったのか、犯人はなにを考え実行したのか、今はわかりませんがこんなつらく悲しい事件がまた起きてしまうことがないことを願いたいです。
私が子供の時からテレビでなによりも楽しみにしていたのはアニメでした。それはアニメを作ってくれる方々がいるからこそです。京アニは女性の方が多い職場だと聞きました。子育てをしながら働ける場所だったと。ほんとうに悲しいです。
そして今日もアニメについて書いていこうとしています。
「どろろざんまい」続けさせていただきます。
続く話は「どろろ」マンガとアニメ旧新版では細かく様々な違いが生じてきます。
まずマンガでは4巻「二ひきのサメの巻」「しらぬいの巻」「無常岬の巻」の3回によって描かれいます。
いたちが登場し百鬼丸を拳銃で撃ちどろろをさらう、というところから始まります。どろろの親父つまりいたちの元・おかしらが隠したという「お宝」をどろろから聞き出そうとしてしらぬいに船を出させる、という展開は同じです。
しらぬいは両腕があります。鮫に名前を付けて可愛がっていますが自分の腕を食わせたりはしていません。その代わり、落ち武者の死体を食わせたことで人間の味を覚えたのでしらぬいがずっと人間を食わせているところへお宝探しでどろろを連れたいたちたちがやってきたわけです。
鮫を操るしらぬいは外海に出た場所でいたち一行を置き去りにして「ちょっと休んでくる」と二郎丸という鮫に乗り、もう一匹の鮫・三郎丸に見張りをまかせます。
海に取り残されたいたちたち一味が怯えているのをどろろが叱り飛ばし命がけで見張りの鮫をやっつけ皆と逃げ延びる様子はどろろが(女の子でも)頼もしいリーダーの素質を持っていることが判る話でした。
そしてどろろをさらわれた百鬼丸はどろろを探して彷徨います。マンガでは目が戻っている百鬼丸は海を見て「素晴らしい」と感じこの先にきっと幸せの国があると思いながらもどろろがそばにいない旅がこんなに寂しいものだったのかとつぶやくのです。そして「おうい、どろろおれはさみしいぞー」と叫ぶのでした。どろろに甘い顔を見せない百鬼丸の貴重な告白場面でもあります。
その直後テレパシーでどろろの声を聞いた百鬼丸は化け物ザメ二郎丸と戦い退治します。それをみたしらぬいは百鬼丸に挑みかかりますが敵う相手ではありませんでした。
瀕死のしらぬいは「俺が死んだら二郎丸のからだと結んで海に流してくれ」と頼むのでした。
新版では改変した話に絡むようにしらぬいの最期も変わるのですが、海に生きた男の最期としてこの終わり方を採用してほしかった気もします。
改変内容としてどうしても爆弾場面が必要だったのかもしれませんが鮫男としては新版の最期は無念のようにも思えるのですが。
しかしアニメ旧版はヘンテコな内容になっています。
たぶんこの「しらぬいの巻」と思しきエピソードは(他の部分に散らばっている分があるのかもしれませんが)第18話「海獣ビラビラ」1回で語られます。というのかこれはまったく違う話になってしまっているのです。
旧版ではしらぬいにあたる(だろう)人物がサヨという少女になっていますし鮫ではなくエイの化け物という感じでしょうか。
少女と化け物との交流はまったくなく家族を魚の化け物に食い殺され村人からも疎外されている、という設定になっています。村人たちは身寄りのない少女サヨとどろろを化け物の生贄にしようとしたところを百鬼丸が助け魚の化け物を退治する、といういつものパターンでしかありませんでした。旧版ではいたちは登場せず、つまりお宝のエピソードもないのです。
海を舞台にした海洋生物の化け物退治だというだけで別物と言ってよいでしょう。戦っている百鬼丸はかっこよく描かれていることは良いのですが。
またどろろが娘サヨに「どうだい、おいらの兄貴、かっこいいだろう?」と言うとサヨから「うん、でもあたしはどろろちゃんの方が好き」と言われて真っ赤になる、という話はちょっと面白いのですけどね。
「どろろ」アニメ新版はとても複雑です。
第16話「しらぬいの巻」第17話「問答の巻」第18話「無常岬の巻」の3回でしらぬいと二郎丸、いたちとどろろの宝物探し、百鬼丸の鬼神退治、多宝丸と百鬼丸の戦い、義足を失った百鬼丸と義足を与えようとしない寿海、という物語が絡み合いながら語られていきます。
マンガで百鬼丸が「どろろー、さみしいぞー」と叫ぶ告白場面を新版の無口な百鬼丸はどろろとおでこをすり合わせる、という肉体的な接触で表現しています。このしぐさも寿海から教わったというわけでしょう。
しかし問題はしらぬいです。先に書いたように新版のしらぬいはなんとなく残念な仕上がりになってしまいました。
しらぬいの登場は印象的です。
何となく傍若無人という態度であり、醒めた顔つきでいながら片腕を可愛がっている鮫に食わせたという原作にはない異常なテンションを持った男だと表現していきます。
鬼神鮫・二郎丸をなによりも愛しているというのも魅力的な設定でありながら最期は改変した物語のために「爆弾で殺戮する」という奇妙な犯罪者にさせられてしまいました。
昨日の京アニ事件もあってテロ行動をするしらぬいがどうも許しがたく感じます。原作のしらぬいは単なる海男だったのにこの改変は彼に気の毒にも思えます。
三つ巴の違いがあってなかなか進みませんでした。もう少しここ書いていきたいと思います。