昨日から続けます。
と言いたいところですが、ツイッターで今気になっている「巨乳女性キャラに対する男女の受け取り方」というものに関連させて書いていきます。
発端は日本赤十字社が作った巨乳女性キャラ・宇崎ちゃんが献血を呼びかけるというポスターなのですが、これに反感を訴えた女性弁護士さんがいたらしいのですが、これにまた多くの女性たち及びこれに賛同する男性たちもいたわけですね。
そこへ有名な映画評論家・町山智浩さんが幾つかのツイートで「このポスターがいけないとはおかしい」またキューティ・ハニーやラムちゃんなどの人気セクシーキャラを並べて「これらがよくて宇崎ちゃんがいけないという線引きはどこにあるのか」というような旨を訴えたわけです。
ここがまずおかしいわけで、マンガキャラそのものとそれを使ったポスターを同じ俎板の上で比較はできないわけです。
つまり「宇崎ちゃんは悪くない」としても「宇崎ちゃんの巨乳を強調しながら献血を呼びかける」ポスターはどうなのか、という論議なのですから。
アメリカに居住している町山氏はアメリカでのそうしたポスターの規制がどうなのか熟知されているはずなのにそれを日本に置き換えて考えられないのか、謎なのですがどうやら絶対にこの件での自分の考えは間違っていないと思われているようで残念です。
さてでは「巨乳もの」というカテゴリの好き嫌いを話します。
しつこいですが、長くマンガやアニメにおいて「巨乳もの」というのは実は男の子にそれほど人気がなかったように感じています。つまり単なるエロ画としてだけならいいけど自分が好きになる女の子としては巨乳はむしろ不人気だったように思えるのですね。
という感覚はまず『ルパン三世』の峰不二子において明確なのですが、原作は大人向けのものでしたしアニメになった時、男子にはほとんど人気がなくて『ルパン三世』を支持したのは女の子たちだった、ということはアニメ歴史には必ず記載されていると思います。
私自身がそうだったのではっきり言えるのですが、当時少女だった私は最初から『ルパン三世』が大好きで特にルパンと対等に渡り合える峰不二子は憧れの存在でした。
彼女の特徴である巨乳は男性向けのエロというよりも男性を打ち負かす攻撃性の高い武器、と受け取れました。
つまりその頃の男子には攻撃的な峰不二子のボディは「受け取りやすいエロチシズム」ではなく自分を叩きのめしてくる「暴力的なエロチシズム」でありそのために『ルパン三世』は男子に避けられていたのです。
(漫画が成人男性に受け入れられていたのはまた別の話)
日本男子にとって「受け取りやすいエロ」は『タッチ』の南ちゃんだとか『ドラえもん』のしずかちゃんだとか全然巨乳ではなかったのです。
町山氏が挙げてきた「ラムちゃん」(ラムちゃんは巨乳ではないけど)「キューティハニー」「峰不二子」(あと一人は知りませんがこの女性も顔立ちがしっかりしています)は皆こうした「攻撃的な巨乳女性キャラ」でありかつては男性にとって「きつい存在」でむしろ女性とって男と戦える強い女性として私は大好きだったのです。
ところが昨今、こうした巨乳キャラが男と戦うための強い女としてではなく「男が受け取りやすいエロ」として描きなおされているのですね。
かつて男を倒してきた巨乳キャラを「ちょっと抜けていてお人よし」的に変えることで「巨乳でも怖くないよ、優しいよ」と男たちを引き寄せ始めてきたのです。
かつて「巨乳キャラ」は私の憧れでした。
峰不二子しかり、キューティハニーしかり、彼女たちは男にとって都合の良い女キャラではなかったのです。
そんな女の子にとっての女神のような巨乳キャラの姿だけを残して人格をまさしく「男にとって都合がいい」ように変えたことで今の「巨乳キャラ」が男子に受け始めていったのです。
今の若い女性にはそうした過去がないので「巨乳キャラ」イコール「男性受け狙い」なのであり、峰不二子が女子の憧れだったことはイメージしづらいのかもしれません。
町山智浩氏が今回のポスターの件で峰不二子やキューティハニーを持ち出したことには憤りを感じます。
私は今マンガやアニメを少ししか観ていないので確かなことは言えませんが峰不二子・キューティハニーを継承する巨乳キャラは現在存在するのでしょうか。
私が知っているのは『ヨルムンガンド』のバルメくらいなのです。
さて「巨乳キャラ」で好きなもの、と言えばそれはもう永井豪作品のヒロインたちになります。
私は子供期から永井豪マンガが大好きでした。悲しいことに『デビルマン』はかなり後でマンガを読んだのですが『ハレンチ学園』(あ、学園ものにこれ書くの忘れてた)の十兵衛、『あばしり一家』の菊の助(なぜかふたりとも男名だな)アニメしか観ていませんが『キューティハニー』のハニー『ドロロンえん魔くん』の雪子姫もみんな可愛くて強くてナイスバディでかっこよかったのです。
ところが永井豪の女性キャラ、というのはどういうわけか男子マンガの中で継承されていないのです。
もちろんそっくりそのまま描いてしまうわけにはいかないでしょうが、「綺麗で巨乳で強い女性キャラ」は日本マンガ界では受け継がれなかった、と私は思っています。多少の例外があるだけで。
特に今現在オタク界で定着してしまった萌えキャラというものはほぼか弱いキャラで成立しています。
私としてはオタク界の筆頭人気キャラの概念は『けものフレンズ』的なものだと思っています。もしくは『まどマギ』ですね。
巨乳キャラはかなり人格を落とし込むことでやっと成立しているのではないでしょうか。
とは言え、もう時代は移りました。かつての女神はその時代に残るだけでいいのです。
今再びキューティハニーや峰不二子をよみがえらせたいとは思いません。だからもう『ルパン三世』をそのまま再現しても受けないのです。
今はもう「巨乳キャラ」が男性を威圧して戦う時代ではなくなったのです。
今活躍する女性キャラは色々な容姿でいいのです。
それなのに登場する巨乳キャラは?
やはり男性に都合よく利用されてしまうキャラに見えてしまうのです。
なのにかつての女神キャラを引き合いに出して議論しようとするのは、奇妙なことなのですよ、町山さん。
ご自慢の分析をじっくりなさってください。