ガエル記

散策

『昭和一代女』原作/梶原一騎 絵/上村一夫

f:id:gaerial:20200312052755j:plain

少女・童女を愛する物語の中で私が一番好きなロリータはなんといっても『昭和一代女』(原作・梶原一騎/絵・上村一夫)のヒロイン・鷹野翔子です。

 

戦後の荒れ果てた社会の中で身寄りもなく強く生き抜いていく翔子の美貌は他の日本少女キャラの「萌え」要素など微塵もなく研ぎ澄まされた冷たい刃物のようです。

救護院に入所した翔子に惚れ込んでしまうのは「ナメクジ」とあだ名される小心者の職員・矢崎です。彼の場合はハンバートとは違い少女愛好癖があるわけではないのですが、まだ胸のふくらみも薄い12歳くらいの翔子の毅然とした美しさに惹きこまれてしまうのです。ハンバートとの共通点は矢崎もまた小説家であるということです。

救護院に勤めながら小説を書いていた矢崎は翔子を知って彼女の物語を書いていきます。

出会った時は矢崎を軽蔑していた翔子ですが、ナメクジと言われた彼が強い意志を持っていることに共感してからは矢崎に対して好意を持つことを恥じることもなく表現していきます。

他でよく描かれる美少女には意志表示が乏しいと思えるのですが翔子の気性は激しく意思を隠さずに行動していきます。 

 

 

f:id:gaerial:20200312064902j:plain

上村一夫の絵が美しいです。

この作品は男が最低ですが、翔子が好きになってしまう勇敢な駅員さんだけが救いです。