『赤い靴』を見て魅了され、同監督、そしてモイラ・シアラーによる本作も観ねばと思いやっと観ることができました。入りやすい『赤い靴』と比べ本作は所要時間も長い上にバレエというよりオペラの映画化なのでなかなかに物凄い格調となっておりました。
率直に言うと気が狂っています。良い意味でですが。
この摩訶不思議な感覚は西洋作品を観ていく者にとっては是非観ておいた方が良いのではないでしょうか。
自動人形オランピアのモイラ・シアラーのかわいらしさと共にジュリエッタのリュドミラ・チェリナの色香に見惚れてしまいます。
そして次々と登場してくる奇天烈なキャラクター達は現代でもというか現代なら無理そうな気もするのですが基本的にこういういかがわしい化粧を施した中世の不気味ないでたちの連中をあっけにとられて観ているしかありません。
私のような門外漢は冒頭の美しいバレエを見ただけで満足でしたが、西洋の魔界を覗き込むのも教養です。これを観るとキューブリックの『シャイニング』世界のイメージもまだまだ初心者の気がします。
美しさというよりも狂気。
しかし怖いもの見たさでどうしても見たくなる、そんな感じです。
あんなに歌って踊ってたら怖いのですよ。
クラインザックの場面なんて精神がまともと思えません。(褒めてます)