好きです。
こんな感じの少年時代のひと時を取り出して描いた映画というのは監督自身を描いた、というノスタルジックな作品としてひとつのカテゴリーを作っていると思いますが単純に好き嫌い、という感覚が引き寄せられるのではないでしょうか。
というわけでこの映画は好きでした。
ネタバレですのでご注意を。
14歳の少年たち。
小さくて華奢で女の子のような顔をしているせいでガールフレンドとの関係もいまいち不安な主人公ダニエルくんと機械オタクのせいで「ガソリン」と言うあだ名をつけられてしまうテオの物語です。
学校のクラスで変わり者として浮いているふたりがテオの作った小屋のような(?)自動車で旅をするひと夏の映画です。
同じように日本のオタク少年を映画にしたらもっといじけて暗くなりそうに思えますが結構ふたりともしっかりしているし根性wがあって感心します。そこらがやはり違いなのでしょうか。
そしてテオとダニエル、二人の違いはやはり両親との関係にあります。
経済的な違いもありますが(それゆえということもありますが)ダニエルの両親がどちらも愛情深いのに対し、テオの両親は俗にいう「毒親」です。
おんぼろエンジンに掘っ建て小屋をくっつけた自動車で旅をするふたりが様々な少年らしい経験を積んだ後、家に戻ります。
ダニエルは女の子のように見える長い髪を切り背が伸び母親から優しく抱きしめてもらいますが、テオを待っていたのは(いくらかましな)母親の死と冷酷な父親の言葉でした。
テオはもう学校へは戻らず遠い町へ働きに出ていくのです。
これが彼らと同じような若い時に観たのならきっと悲しく思ったでしょうが年を取った身としてはただただ眩しい少年時代にしか思えません。
テオはどんな青年になるでしょうか。ダニエルはもっと絵が上手くなりきっと映画監督になるのでしょう。
ふたりは三十年後に再会してあのひと夏の旅を語り合うのでしょう。
私はそう思います。