ガエル記

散策

『輪るピングドラム』幾原邦彦

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イクニ世界逆探検。『輪るピングドラム』は一度鑑賞していたつもりだったのですが観なおしてみると案外覚えていないことに気づきました。シリーズものをまとめて一度観ただけではなかなか把握してはいないものですね。なので今回観なおしたつもりでもまだまだ記憶からはこぼれそうです。

ヤングサンデーYouTubeチャンネル」の山田玲司氏解析で予習復習してからの今回鑑賞なので一度目より少しは理解しやすくなっているのではないかという期待を背負っております。

 

さて、第9駅「氷の世界」まで再鑑賞しました。

 

以下ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

8駅までのドタバタ劇を過ぎて9駅は問題の人物「渡瀬 眞悧(わたせさねとし)」が登場します。

ここまでも不思議アニメではありますが彼が登場して一気にこれは並みのアニメではない、と思わせてしまう人物です。

長いピンクの髪とすらりとした体はウテナを思わせるのに彼は男性です。

8駅まで愛らしい陽毬は純粋に愛らしい少女だと誰もが信じ切っていたはずですがこの駅で彼女にも心の底に沈めてしまった物語があったことが明かされます。

その秘められた物語を引きずり出すのがサネトシでした。

 

ここまでの話で最も嫌な奴で最もかわいそうなのは荻野目 苹果です。

私はちょいと中国語にかぶれていた時期があったので彼女の名前がリンゴ=苹果であるので発音の「ピングォ」がタイトルと被っているのではないかとだけは感じましたが、まあそれだけです。

そもそもOPからしてリンゴがくるくるしてますからそれが重要なのはわかりますね。

 

彼女の家族は崩壊寸前というよりはすでに壊れています。

姉はすでに亡くなり父母は姉の死後心が離れてしまったようです。

リンゴは自分自身が亡くなった姉・桃果になることで家族が元通りになれるのだと信じその計画に向かって突き進んでいるのですがその一途さがあまりにも常軌を逸していて狂気としか思えないのですがそれが痛々しく悲しいのです。

 

リンゴが桃果の代わりにその人の子どもを産もうと考える男性が多蕗ですが彼は人気女優ユリと結婚する予定になっていました。

この多蕗もゆりもどこか奇妙な人格ではあるのですがドタバタ劇のせいでそのおかしさがよくわからないまま進行していきます。

 

そして肝心の陽毬の双子の兄・冠葉と晶馬は一度死んでしまった大切な妹が謎のペンギン帽をかぶることで生き返ったのはいいものの何故かペンギン帽のイリュージョン少女に「ピングドラム」を探すよう命じられる。その「ピングドラム」はリンゴのディスティニー日記の中に隠されているのでは、と考えたふたりはなんとかしてリンゴからディスティニー日記を見せてもらおうと画策するのだが。

 

ここですでにもう一度観なおさなきゃいけない、と感じてきました。

しかしこれが本当の人生であるならもう一度観なおそう、ということはできないんですね。

人生ではやり直しができない。

もう一度あの時に戻ってその言葉がなんだったのか、確かめることはできないのです。