ガエル記

散策

『なぜ君は総理大臣になれないのか』大島新

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Netflixにて鑑賞。

小川淳也氏の名前は知ってはいたけど改めて映像で観てこの日本でこんな生き方、政治活動をしている人がいるのかとただもう感心します。愛情深い家族の貢献も胸を打つものがありました。

 

しかしここでタイトルの『なぜ君は総理大臣になれないのか』が皮肉に思えてもきます。

こんなにも実直で理想的な家族に支えられ懸命な支持者も多い彼がなぜ総理大臣になれないのか。

ならなくとも社会を変えられないのか、ということもできます。

それはやはりシステムの中にいる限りシステムを壊すことができないからでしょう。

『なぜ君は総理大臣になれないのか』の答えは「社会をより良くしたい」と考える小川氏の作戦が根本的に間違っているのでは、なのではないでしょうか。

小川氏のプロフィールを見るとまさに実直に真面目に努力し研鑽され歩んでこられたのがわかります。

安定した職を投げ政治家の道を選んだのは一見冒険的に思えるわけですが実質優等生的選択なのですね。その真面目な生き方が間違っているのではないかと思ってしまうのです。

大島新監督自身が「もしかしたら小川淳也は政治家に向いていないのかもしれない」と思い本人にも問いかけます。小川氏自身も「自分に出世や権力欲がまったくない」ことが政治家に不向きなのだというのですがその思考法自体が古いようにも思えます。

 

ここで思い重ねてしまうのはどうしてもれいわ新選組山本太郎です。

彼は型破りのやり方で日本の政治にくさびをうちこんできました。

小川淳也氏とは真逆の方法で進んできた人物で年齢はやや若い太郎氏は今や同じ衆議院議員の立ち位置です。

だからといって山本太郎氏に単純に軍配が上がるわけでもないのですが社会を動かすにはどうしてもこのような異質な力が必要なのです。

その太郎氏もいったんシステムに取り込まれてしまえばしまうほど動きは封じ込められてしまうのです。

 

コロナウィルスというとんでもない環境ともなって日本社会はますます圧縮されてしまったように思えます。

あらゆる面で日本社会は追い詰められているように感じます。

 

誰かがこの局面を変えれるのか、それともそんなヒーローの力ではなく緩く変わっていくのか、どちらにしても社会が変化しなければ私たちは生存していけないのではないでしょうか