偶然wowow録画して鑑賞しました。
何も知らないままの遭遇だったのもあって衝撃でした。
このアニメ映画は岩井澤健治氏が一人で7年かけて作ったのだということです。しかも岩井澤氏はもともとアニメーターでもなく映画畑の方だったにもかかわらずのアニメ製作なのでした。
確かに本作品はアニメ特に日本のアニメにはほとんど使われない「間」を多用されています。
この「間」は作品の奥行きを感じさせてくれるのですが日本の実写映画では退屈を感じさせる原因にもなっているように思えます。
それが本作品ではアニメとしてはかなり不思議な時間空間として感じさせられているものの退屈にはならないバランスになっていました。
以下ネタバレしますのでご注意を。
ちょいと昔の日本の田舎町、という設定でしょうか。
昔、というのは音楽の選択があまりにも私の若い頃という感じでぴったり感性に合うものだったからです。
フォークとロック、というのはまさに私時代です。
田舎生まれなので背景もまさにはまる感じで困りました。
リズムが懐かしすぎるのです。
しかも不良も私時代、女の子がスケ番風で長いスカートなのです。
しかし監督自身は81年生まれなので意識しての懐古趣味なのかもしれません。
ロトスコープアニメ、という手法も日本アニメ界ではあまり受けが良くないものです。
なぜなら日本のアニメ手法はリアルとはかけ離れたルックが売りになっているからですね。
現実と極端に違う顔や体形の造作、動きに魅力を求めているからです。
逆に本作の魅力はそこにあります。
リアルをなぞることで生まれる独特の線や動きを壊すことなく表現することが日本アニメでは特殊なことになるのですね。
変な話ですがこれが男性キャラだけではなく女性キャラにもきちんと当てはめているのは稀有なことと言っていいと思われます。
最近私は何度も「日本映画、日本アニメはダメになってしまう」と嘆き続けていましたがこんな凄い作品が映画畑でアニメ映画として作られていたことにまったく気付かずにいただけだったのだとほっとしています。きっと他にも見えていないだけで素晴らしい作品があるに違いないと期待しています。
確かに日本でアニメ界と映画界は似ているようで交わっていない、と感じていました。それらが良い方向へ融合することで可能性は生まれてくるのかもしれません。
そしてアニメと音楽はもっと強く組み合わされるべきだ、と思っていたものがこうしてちゃんと形になっていたのだと嬉しく思います。
そしてここで別角度でのショックが。
この映画の主題歌を担当していたのが「ドレスコーズ」の志磨遼平さんだったのですが彼はしょっちゅう山田玲司ヤングサンデーで紹介されていたのに私の意識下ではこの映画と結びついていなかったのです。
まさかこんな形で知ることになるとは。
山田玲司先生、話されていたのかなあ。
そして今更になって志磨遼平さんの魅力に気づかされました。
これからもっとドレスコーズ聞いていこうと思っています。