ガエル記

散策

『パリピ孔明』四葉夕卜/小川亮 &アニメ

今頃になってはまっています。ちょろちょろアニメは観ていた?流していたのですがここにきてちゃんと観たくなり運よくコミック1・2巻が無料で読めたので(無料大切)目を通したところ一気に好きになってしまいました。どうやら私にはマンガのほうがわかりやすかったようです。そしてたしかにまんがのほうが絵の細かい魅力があるのは確か。とはいえこれはアニメでは難しいところです。

逆にアニメの強みはなんといっても歌やラップをそのまま聞かせて魅了できる点ですがこれは上手くなければ逆にがっかりともなってしまいます。

しかし本作はそこをクリアできたのがなんといってもよかった。

特にOP「チキチキバンバン」がよすぎるくらい良いのは最高の味方ですよこれ。

 

しかししかし音楽とアニメーションを合わせるのは素晴らしいけどそのぶん高等技術ゆえに資金がたっぷり要るわけで。

どうしても止め絵での歌、もしくは歌の部分飛ばし、という省略になってしまいますな。

しかたない。

 

孔明という軍師をなぜか「歌手を目指す女の子」と組み合わせる不思議、と笑っていましたが原作マンガで孔明の主君である劉備が手を差し伸べて「孔明、天下泰平。戦の無い世を共に作ろう」という場面で泣きそうに。

何故このマンガで泣かせるの?

そうか。そういう高い意志があってのことだったのか。

 

そして読み進め観進めるうちに別のことで泣きそうになってきました。

歌手、ではなく俳優の世界の話ですがエンタメ界で最近とみに夢に向かって目指す若者たちがその夢を無残に散らせてしまう報道ばかりが目につきます。

夢をかなえてくれる、と信じたマネージャー、監督、先輩などからのセクハラ性虐待暴行などの話が続きます。

現在日本ではそうした映画・ドラマ・音楽などとても繁栄しているとは言い難い状況であるのは誰もが感じています。そのなかでそうした腐った事象だけが起きている・・・。

大人たちが先達が夢をかなえたい若者を支え導くどころか傷つけ踏みつぶしてしまうのが現実だと嘯くのか。

 

本作に登場する孔明は英子の歌に聞きほれその才能を認め彼女の夢をかなえたいと軍師の知恵を授けていきます。

かつての劉備を支え導いたのと同じように。

これは夢であり理想であり結局はファンタジーにすぎません。

実際にはその実力も劉備ではなく知恵は孔明には遠く及ばないはずですがその夢をマンガアニメの中でかなえたいと。

 

そうは思いながらも今孔明がいないことがあまりにも足りないことがエンタメ界の悲劇なのです。

孔明・・・出現してくれ。