ガエル記

散策

『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔/王の帰還』そして『ゲーム・オブ・スローンズ』

二つの塔/王の帰還』続けて鑑賞しました。

とても面白い教科書となる作品ですが現在の目で観ると様々な疑問や不満も出てきます。

 

ネタバレになります(『ゲーム・オブ・スローンズ』についても)のでご注意を。

 

 

 

 

そしてそれら「私が感じた欠点」はこれからの問題ではなくすでに『ゲーム・オブ・スローンズ』で解決されてしまいましたので今更怒り狂う必要はありません。 

GOTの製作陣はもちろん私が感じたLORの疑問不満をそのまま感じ思考し解決したのだと信じます。

 

LORの欠点(といっても原作があるのだから多少仕方ないのですが)はまずはあまりに男性世界すぎて女性が飾りとしてしか出てこないこと。主要物語は男性によってのみ進行し女性はそれを見守る女神様位置でしかない。

GOTでは男女の役割はほぼ半々です。一応の主役はジョン・スノウでしょうが時にアリアや他の人物でもあります。

LORの気持ち悪さのひとつが「正義=美、悪=醜」という図式がくっきりとしていること。善人=主人公側で美しく健全、悪人=主人公の敵で醜く不健全、という物凄いルッキズムと差別の列挙で笑えてしまうほどです。「昔はこうなんだよな」としか言えません。

これがGOTでの大きな変化になっていると思います。

先に一応の主人公はジョン・スノウと書きましたが同時にアリアたち女性でもありまた同時にティリオン・ラニスターでもあります。

彼は小人症で美男とは言い難い人物であります。おもしろいのはこのキャラクターを「見た目は醜悪だが心正しい人」といったいかにも設定にせず女好きで家族からは疎んじられている人間にしているところです。そのうえでティリオンほど魅力的な人間はいません。

私はたぶん彼こそがこのドラマの本当の主人公なのではないかと思っていますが。

LORでの主人公ホビット・フロドたちも本来ならティリオン役のピーター・ディンクレイジと同じ俳優たちが演じるべきだったのでしょうがそれができなかったのでしょう。

GOTはその困難を破りそれだけでなく彼を最も魅力的なキャラクターに仕上げたことが最大の功績だと思います。

 

しかしだとしたらその発端を与えたのはやはり『ロード・オブ・ザ・リング』でホビットが主人公となったことだ、とも言えます。

ゲーム・オブ・スローンズ』はLORを越えたと思っていますがその土台となったのはやはりLORこの映画なくしてはGOTもなかったのではと思うのです。

 

GOTは非常に複雑に入り組んだ物語になっていますが『オード・オブ・ザ・リング』は単純明快と言ってもいい。主人公は何度も挫折しますが挫折の仕方も単純です。指輪の魔力に何度も負け一番の味方であるサムを何度も疑いサムはそのたびに傷つきますが決して主人であるフロドを裏切ることはなくあれほど罵られたのにもかかわらず最後フロドを担いで使命を果たそうとします。

この忠義心は不思議でもあります。そこまで忠実な人間がいるものでしょうか。それともだからこそのホビット族なのでしょうか。

(体が小さいから日本人をイメージする人もいるかもですが日本人はあれほど忠義心はない)

 

今回の鑑賞では感動というよりあまりにも疑問点が感じられたのですがだからこそ『ゲーム・オブ・スローンズ』が生まれ出てしまったのだろうという思いで観続けました。

GOTを知らなかったらかなり辛い鑑賞だったかもです。

教科書というよりは昔話の感じでしょうか。

昔話をもとにしてGOTが作られたのです。

(ままま、原作ありきですからね)

 

そういえばGOTの最後もアリアが船出するんではなかったでしょうか。

やはり『ロード・オブ・ザ・リング』が元になっていると考えるのは間違っていない気がしますね。(今更ですけど)

 

 

向かって左がティリオンです。