ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第六巻

横山先生、また張飛描いてる。これでぶっちぎりの一位だよ。ふたりだと二分の一としたら張飛2・5,劉備2,曹操1、関羽0・5だから。関羽かわいそう。しかもこの張飛かわいいし。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

最初の章「曹操の危機」良い話です。

冷酷なイメージのある曹操ですがいかに敬愛されているかが伝わってきます。

曹操董卓深追いは裏目に出た。

李儒の計略にはまった曹操は深手を負い、部下たちは次々と殺されていく。もうこれまでかと弱気になる曹操だったが彼には忠実な肉親や部下が多くいたのだった。

曹操を逃がして矢衾になる部下、そして兄曹操を背負い大河を泳ぎ渡る弟・曹洪、駆け付けた曹仁楽進曹操を見つけ相乗りで馬を走らせる。

一万の兵はわずかになってしまったが殿さえご無事なら再起を図れますと泣く男たちを見て曹操は己の間違いに気づく。

逃げ延びていく曹操兄弟の描写がとても良い。

先走ってしまうけど曹操は逃げの美学があるのやも。

必死で逃げる曹操や良し。

 

次章「玉璽」からはずぶずぶの戦国物語となっていく。

孫堅が偶然井戸に沈む遺体から「玉璽」を見つけたことで「これは天の采配ではないか」と思うのだ。つまり神は孫堅に皇帝の座を与えようとされていると。

 

義勇軍に失望したこともあり孫堅は玉璽を隠し持ったまま帰国しようとする。

が、ことの顛末が密告され袁紹孫堅軍を執拗に追い詰めていく。

入れ替わるように生き残った曹操軍が戻ってくるが祝宴を催すという袁紹を止め曹操はそのまま帰国を告げて背を向けた。

 

逃げるように帰国していく孫堅軍はその途中でも袁紹が差し向けた追ってによって次々と数を減らしていく。

孫堅を守るためその部下たちは我が身を呈して果てていくのだ。

孫堅は忠実な部下たちの死を目の前に天下の覇者になる誓いを発するのだった。

 

そして義勇軍は首謀者も失い目的である董卓も逃亡してしまったためとりあえずの解散となる。

ところで我らが劉備関羽張飛三人組は公孫瓚の誘いも断り再び流浪の旅へ。楽しそうである。

 

そんな中袁紹はまたもや部下のあくどい提言に乗っかり(懲りないねこの人)(部下たちも悪い顔ばかり)どす黒い策略を案じるのだった。

 

(ところで今話題の「ビッグモーター」事件で袁紹の部下首切り思い出してしまいました。社長の口から「私はまったく知らなかった。部下が勝手にやったことで申し訳ない」ってありえんやろ。袁紹か)

 

袁紹は「公孫瓚軍に狙われている」と虚偽の忠告をして冀州の韓馥を騙し国を乗っ取り(耿武老人がかわいそすぎる)使者として訪れた公孫瓚の弟を惨殺した。

 

これを知った公孫瓚は怒り出陣したが文醜によって阻まれてしまう。

ここで登場するのが趙雲だった!!!!!!!!

趙雲~~~~~~!!!!

好き~

 

体勢を立て直した公孫瓚は「白馬陣」をもって袁紹軍と相向かうが罠を仕掛けられ矢を射かけられ逃げるしかなくなってしまう。

袁紹軍はこれを追ってきた。

この様子を静かに見守っていたのが客将となった趙雲子龍であった。

与えられた部下は五百。

逃げてきた味方をやり過ごすと敵に矢を射かけ狙い撃ちにした。

すかさず趙雲袁紹軍に突っ込んでいく。

そこへ駆けつけたのが劉備たち。張飛関羽は瞬く間に敵の首を打ち取っていく。

こうして劉備たちと趙雲が出会った。

 

洛陽より長安に遷都した董卓はこの戦を喜んでいたが李儒の助言で袁紹vs公孫瓚の和睦を提言する。勝利した側がより強大になるより恩を売った方が良いと考えたのだ。

多くの死者を出し疲弊しきった両軍は帝の名を持って勧められた和睦に応じた。

 

ほんとうに戦争って虚しいと思わせます。

物語としてはこんなに面白いものはないんですがねえ。