ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第八巻

扉絵は呂布でした。

呂布については曹操が適格に評されています。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

 

私もそう思います。

天下無敵の勇将であり見目も悪くない。そこそこに運もあるともいえるのになぜか詰めが甘い。人柄だ品格だとも言えますがそれならば董卓もまたそうだったはずですが一応ヤツは上り詰めたと言えるのに呂布はなんか裏目に出るというのか。

 

まずは貂蝉のエピソード。呂布貂蝉が自分を慕っているとマジで思っていたはずです。自分の方が若くて男前だと。

だが貂蝉の魂ははるか高みにあるわけで格が違ったのです。

だが呂布は何も理解できないままでそういう男だった、ということですね。

 

曹操がいうとおり呂布は義父を自分の出世のために殺し、次は女欲しさで上司を殺した。そこまでしても何一つ手に入らなかった。女も天下も。

 

そしてその曹操は、というとこちらも波乱の人生です。朝廷の命によって再び現れた黄巾賊をあっという間に成敗し「鎮東将軍」の名誉を与えらえる。

高い地位についた曹操は父親に孝行したいと考え早速迎えの使者を出す。

あの曹操に甘々のパパである。「わしの目に狂いはなかった」と大喜びで出立する。よかったねえ。曹操もやさしいな。仲良し親子だめずらしい。まああんなにかわいがってたらね。

しかしこの親孝行がとんでもない事態を引き起こしていく。

 

曹操パパが愛息に向かう道中で徐州の太守・陶謙から「親交を結びたい」という誘いを受け歓待されたのは良いがその家来から金目当てで殺害されてしまう、というとんでもない事件になってしまうのだ。

陶謙は深く反省して曹操に自分の首を渡す覚悟だと決意するのだが人望深い陶謙の部下たちはこれに反対し各方面に救援を求めたのだった。

その一つが公孫瓚に届きこれを聞いた劉備は自分がその救援に行きたいと申し出る。

何この軽さw

趙雲公孫瓚を悪く言ってたけどちょっとかわいい。

 

劉備はあくまでも「国のために戦うのならばわかるが私事で戦争するなどおかしい」という考えで張飛を使者にして停戦を訴える。

張飛は最初から曹操が停戦など受けるわけがない、という考えだがそこに曹操の国・兗周に呂布軍が攻め入ったという報が入る。曹操は冷静に劉備からの停戦に応じると張飛に伝える。

この時の張飛の「それにしてもわからんもんですなァ」という台詞が秀逸wなんかコロンボ警部味ある。

すかさず曹操の「これで追討ちは受けずにすむ」と言うのも良い。呂布に専念したいもんね。

 

んで剛の呂布対智の曹操が激突するのですが、豈図らんや呂布軍が圧勝し曹操はひとまず逃走することになります。

ここで出てくるのが悪来典韋で見るからに豪傑なので力技かと思いきや意外に不思議な戦法を取ります。

敵兵が十歩まで近づいたら合図しろ、と兵に命令して「十歩」というので小刀を投げる。これが必中必殺なのだ。めっちゃおもしろい。

がその後、智の曹操のはずが逆に呂布陣の智謀にはまり大火の中に突っ込む羽目になり大やけどを負うのだ。

しかし曹操

うーむ。強い男だ。前向きだなあ。

ミイラ男のようなぐるぐる巻きなのにかっこいいw

「なあに策よ」って司馬遼太郎っぽい。そして実を取る男。合理的。

まあ、智の曹操としてはやり返したいよね。