ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第十二巻

曹操~~~~!三枚目です。いや扉絵三回目、って言えばいいのか。そして

なんと横山マンガでめずらしい恋愛(?)篇です。無理無体なことはしてないので恋愛と言っていいのではないかと思うのですが。

曹操は映画『レッドクリフ』でも言われていましたが彼人妻好きなんですよね。そういうとこだぞってヤツです。今回の女性は未亡人、なんかいいね。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

かつて曹操軍が撃滅した李傕・郭汜の敗残兵が南陽の宛城に集まり「夢よもう一度」と機会をうかがっているという知らせが届く。一刻も早くこれを打ち取るべきとは思いつつも曹操は動けない。都を空ければ抜け目なく呂布が襲ってくる恐れがあるのだ。

部下の提案で呂布に平東将軍の称号を与えると予想以上に呂布は喜んだ。これでよしと曹操は宛城に挑む。

ところがこれを知った敗残兵の頭である張繍たちは勝ち目無しと見て曹操軍に全面降伏して状況を伺う選択を取った。

曹操はこれを受け入れ宛城に全軍を入れた。

 

おぼろ月夜、曹操はどこからか胡弓の音色を聞く。

弾き手を探した曹操はそこに美しい女性を見つける。女性は城主の親類で今は亡き夫張済の妻だった鄒氏です、と言う。

曹操は鄒氏に夢中になっていく。

 

鄒氏の側に入りびたりになった曹操を見て張繍らは一計を案じる。

腑抜けになった曹操にあえて軍を動かさざるを得ない相談をすると曹操は上の空でこれを承諾。張繍軍はあっという間に反乱を起こす。

気になるのは曹操の守護をする悪来典韋だけだったが酒で酔い潰し武器を奪った。醒めた典韋は慌てて曹操の元へ走るがすでに集まっていた繍軍に阻まれる。典韋は持ち前の怪力で暴れまわるがついに射かけられた数えきれない矢を受けて仁王立ちとなる。

矢衾になったまま典韋はこと切れていたのだった。

 

最も忠実で勇猛な部下を曹操は失ってしまったのだ。

曹操自身は典韋のおかげで逃げのびることができた。

しかし典韋の最期を聞いて曹操は慟哭する。

カッコいいのよね、このポーズ。

負けて強くなる。

曹操の不屈の闘志は凄まじい。確かに横山氏の言う通り『三国志』の真の主人公は曹操なのかもしれない。というか横山氏がそう思っているから横山『三国志』は曹操の物語になっているのでしょう。

 

さて帰国した曹操はまたもや淮南の袁術、徐州の呂布との三つ巴の戦いの中に入っていく。

ここで登場するのが陳珪父子である。

息子・陳登は曹操の元へ出向き「呂布の家来でありながら呂布を信じてはいない」と言い放ち曹操の力になるという。

そして父・陳珪は自分を呼びつけた呂布に対し豪胆に「あなたは臆病者だ」と言ってのける。驚く呂布に陳珪老人は「袁術の軍は烏合の衆。中に入って反乱を起こさせればすむ。あなたは劉備玄徳と手を結ぶのです」と静かに語る。

慌てて呂布は自分の動揺を取り繕い陳珪老人に「お前に反乱を起こす任務を与える」と命令し老人はこれを落ち着いて受けたのだった。

 

羊一匹を連れて敵陣へ入る陳珪老人がかっこいい。

そして陳珪は言った通りに中に入り込んで袁術の将軍に提言し叛乱を起こさせるのである。

言葉だけで人の心を操る。凄い老人である。

雷のとどろく夜、呂布の眼前で袁術軍は内部分裂をする。

すかさず呂布袁術軍を蹴散らす。そこへ関羽率いる劉備軍が到来。

呂布は喜び迎えるが関羽

関羽、いつも思うけど関羽って絶対物凄い美形ですよね。

あまりに美しいので髭で隠してる説を発表します。

剃ってしまうとまばゆいほどの美青年ですよこれ。侮られるので髭はやしてますねこれ。

呂布の髭とは違いますわ。

そしてこのきっぱりとした劉備への忠義心。張飛とは違って静かだけどよりいっそう頑なで一ミリも動かない。なぜそこまで?

先日は曹操劉備で騒ぎましたけど結局は関羽劉備ですから。いつも側にいる方がつおい。

張飛も良いですがまあ劉備関羽を連れて行きましたからね、あの時。ってことはやっぱり関羽なんですわな。

完膚なきまでに振られてしまう呂布の図。胸に手を当ててよおく考えてみ。

 

 

そして陳珪老人もいいわあ。今回の叛乱を起こした二将軍を遠くに置くよう呂布に勧める。なぜなら

息子陳登まだまだだな。

 

未練たらしくいまだに帝の座を狙う袁術孫策に助力を頼むが孫策はそれを一蹴。

ほんとに20代前半かという孫策殿。威厳ある。

逆に朝廷から太守の任命と共に「袁術を討て」という勅使が下る。

孫策はこれを受けるがその際曹操軍の援軍になる形をとることにした。

曹操はすぐさま出陣する。(腰が軽いねえ)

 

がしかし袁術の淮南は豪雨に見舞われていた。

川が氾濫し水害状況は酷く食糧難に苦しんでいたのだ。

曹操・玄徳・呂布そして孫策までもが一気に襲い掛かってくるという報告にさすがの袁術も苦悩した。

が一方の曹操軍も食糧難にあえいでいた。

やむなく曹操は食糧総官に罪をなすりつける。

がどちらにしても食料はわずか。曹操は短期決戦に挑みひるむ味方の兵を鼓舞して自ら敵陣を突破していく。曹操のなりふり構わぬ攻撃を見て兵士たちも死闘を繰りひろげた。

追いかけてきた劉備軍もあってなんとか曹操は勝利を手に取る。袁術には逃げられたが威光は地に落ちた、と曹操劉備に語る。

そして曹操劉備に耳打ちした。呂布のいる徐州の小沛に戻ってくれと。

「虎狩りの用意さ」と

曹操からささやかれる劉備。ゾクゾクしてそう。いろんな意味で。

曹操、怖い男である。