ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第二十八巻

趙雲子竜だよねきみ。

だね。

 

さて玄徳軍の進撃は続く。

零陵の太守・劉度は玄徳軍の恐ろしさを理解して慄いたが嫡子劉延はこれを否定して自ら兵を引き連れ玄徳軍と相対した。

惚れ惚れするハンサムである。やはりみんな玄徳がハンサムだから好きなのだと思う。可愛いしなんといっても徳が高い。徳の高いハンサムは貴重だ。

 

劉延軍にいる豪傑は邢道栄。巨大なまさかりを振り回して剛力を見せつけた。

そこへ現れたのはなんと

アハハ孔明おもしろい。

続けて孔明は自分こそが赤壁で少し計を用いて曹軍百万を壊滅した、と述べ「すみやかに降参せい」と説く。

しかし邢道栄は孔明へと突っ込んできた。

「引けっ」

ななななにこれ。四輪車っていうのかあ、いやこれむしろ自分で走った方が早いみたいな。

っていうか馬車じゃダメなの。こればかりは邢道栄の言う通り戦場にてこれに乗るはおかしいw反吐は出ないけどちょっと笑う。

しかし追いかけた邢道栄の先に待っていたのは張飛であった。

とてもかなわぬと逃げた先には趙雲子竜が待つ。

邢道栄はまさかりを投げ捨て縄にかけられた。

玄徳はすぐに「斬れ」と命令するが孔明はまあまあと押し留め「劉延を生け捕ってくれば助命する」と話しかける。 

邢道栄はこれをすぐに引き受け自ら計略を述べた。縄を解かれるや急ぎ陣へと戻っていく。その後ろ姿を孔明は微笑みながら見送った。

 

無論邢道栄の計略は玄徳軍を陥れようとするものなのはお見通しで孔明は単純にその裏をかいて張飛趙雲によってたやすく邢道栄は討ち取られ劉延は捕らえられた。父親劉度は「わしは最初から戦う気などなかったんじゃ」とすぐさま降伏を伝えた。

劉延は玄徳軍に加わり軍は桂陽へと進んだ。

これ邢道栄はただの無駄死にwバカ息子が余計なことをしなけりゃ彼も一員になれたのにねえ。

 

桂陽攻めとなり誰が先陣をするか、と玄徳が問う。

趙雲張飛が手を挙げるがやや趙雲が早かったので決めましょうと孔明

これには張飛が憤慨し結局くじで決めることに。

横山『三国志』の珍しいわちゃわちゃ場面である。横山先生よっぽど張飛が好きなんだなあ。

ここでも太守・趙範は降伏して安泰を願ったのに部下が反対して趙雲と戦うが瞬殺で負けてしまい趙範はすぐさま趙雲に降伏を申し出た。

ここまではよかったのだがこの趙範何を思ったか未亡人となった兄嫁を趙雲に娶らせようと画策する。

兄嫁は若き美女であるが趙雲は兄嫁を召使のように扱った趙範に激怒する。

趙雲にしたたか殴られた趙範は再戦を決意するが結局負けて縄をかけられるというめんどくさい展開に。

事の次第を聞いた玄徳はその美女と趙雲の仲人になろうかと言うが趙雲は「妻なくとも武士の務めは行えます。拙者は武士として名分の立たぬほうを恐れます」と答えたのだ。

玄徳は「真から武士だのう」と感心し孔明も「まこと」と受けた。

 

次「張飛武陵をとる」ってもう小見出しでネタバレじゃ。

趙雲に手柄を立てられ腐りきっていた張飛孔明に抗議する。あっさり孔明は武陵攻撃を張飛に任じる。

単純に大喜びで張飛は武陵へと向かった。

武陵太守金旋は部下鞏志の忠告も聞かず出陣。

がこれもあっけなく張飛の威風に兵らが逃げ惑い金旋は城へと逃げ戻った。

しかし城門は閉ざされ金旋は鞏志の矢によって討ち取られた。

これに反対する者はおらず鞏志は太守金旋の首を張飛に持参し降伏を申し出た。

 

さてこうして今回の目標四郡のうちの三郡が次々と玄徳の手に落ちた。残るは長沙ひとつである。

ここで玄徳は荊州城で留守を守る関羽に手紙を送って近況を知らせる。優しいアニキである。

 

手紙を受け取った関羽は我が君の勝利を喜びながらも「拙者もみんなと共に第一線で戦いたい」とごちる。

しかし私情でもって曹操を見逃した拙者を許してはくださるまい」と悲しむ関羽に部下は「戦いに参加できるようお願いなさいませ」と提案。

関羽泣きそう。かわいいがすぎる。部下も優しい(泣)慕われているのがわかりますねえ。

関羽のことになると画像が増えるなwあまりにもかわいくて。おてがみ出そう。

中国の筆の立てた書き方が綺麗で好き。

 

このお手紙を読んだ玄徳は「のう孔明」ということで関羽に長沙攻めを提案する。

「我が君がそうお思いならそうなさいませ」ということで

ああやっぱり三兄弟の愛情がいい。

この玄徳の明るい表情巧いなあ横山先生は。

 

こうして張飛関羽と交代することになった。

 

関羽はたった五百騎で長沙へ向かうと言う。

孔明

いいね。「肝要です」

ここで孔明は太守韓玄は取るに足らぬ人物だがひとり優れた将がいる、と説く。

出た!黄忠!五代将軍!と先走りしてはいけないが黄忠も好きなんだなあ。

しかし黄忠この時「六十に近い」ってことはまだ五十代だったのか。老成してる。

 

孔明も五百騎は少ないと心配し玄徳もこれに賛成して関羽の後ろからひそかに力を添えることにした。

優しすぎんよう。こころづかい。

 

関羽はここでも赤壁の戦いで私情をはさみ曹操を逃がして我が君や軍師の期待を裏切ったことを話し長沙城をとることでおわびとしたい、お前たちはわし直属の配下として今まで尽くしてきてくれたもう一度力を貸してくれ、と言う。

こんなこと言われたらみんな感激しちゃうよね。

長沙城から飛び出してきた一軍の将を関羽は迎え撃つ。勝負は一瞬のうちに終わった。関羽の一撃が将を真っ二つにしたのだ。

これを見た長沙の兵はすっかり戦意を失い城へと逃げ込みだした。

そこへ出てきたのが白髭の将。

その風貌を見て関羽は軍師が言った人物だと悟る。

関羽「駆け出しの小僧」と言われるw

でかい小僧だな。

しかし関羽黄忠と槍を交わしその威力に驚く。

関羽を驚かせるなんてほんとうに強かったんだな黄忠

が太守韓玄黄忠の年齢を慮り引き揚げの合図を送った。

勝負は延長となった。

 

翌日関羽黄忠は再び槍を交わす。

激しい応戦となったが黄忠の馬が石につまずき黄忠は投げ出されてしまった。

槍を振り下ろそうとしたが横たわる老体をみた関羽は手を止めてしまう。

(ってまたお前それ同じことやっとる)

この絵がいやらしく見える私は腐っとると思う。爺様受けだし。

考えたら槍の一騎打ちって言うこと自体いやらしいのでは。横山先生、ずっとそれ描いてるし。

 

「馬を乗り替えられい。改めて快く勝負いたそう」と言って関羽は引き上げた。

(だからそれだからそれ)

 

黄忠関羽の後ろ姿を見送った。(いやらしい)

 

太守韓玄は戻った黄忠を𠮟りつける。

「お前は弓の名手なのだ」

(って弓だとやりあえないからでしょ)

自室に入った黄忠はまたもや自分を見逃した関羽を思いだす。

ここどうしてもいやらしくしか考えられない。

そんなに関羽を好きになったのか。

 

次の日、黄忠は太守の命令通り弓矢で応戦する。

向かってくる関羽につがえていない弓の糸を鳴らす。関羽は矢が飛んでくると思い身をそらすが何も飛んでこない。

そして最後つがえて射た時その矢は関羽の頭すれすれ帽子(?)を射抜いた。その矢を抜いた関羽は意味を察した。

「そうか、昨日の情けを矢で返したか」

それにしても恐れ入った腕だぜ、と言い残し関羽は引き上げていった。

 

見送った黄忠は城に戻ったが太守の命令で首をはねられることになった。

黄忠の行為は反逆と取られたのだ。

しかし処刑の前に現れた人物がいた。

彼は黄忠がこの長沙にどれほど尽くされたかを説き「韓玄こそが敵だ」とこれまでの韓玄の悪行を述べる。

彼の名は魏延

魏延韓玄の首を打ち取って関羽に参上し玄徳に降伏すると申し出た。

 

黄忠は病気と称して引きこもってしまった。

これを聞いた玄徳は黄忠の忠誠心のためだろうと察して自ら老将軍を見舞う。

そして力をお貸し願えないかと頭を下げたのだ。

黄忠は「この老骨役に立つならお使いください」と玄徳に伏した。

 

玄徳は魏延とも会い力を貸してくれと頼む。しかしこちらは孔明が嫌った。

魏延荊州を逃げて韓玄に召し抱えられたにもかかわらず主人を裏切った。

処刑すべきと言うのだ。

玄徳はこれを制した。

孔明は「では」と賛同したものの魏延に釘をさす。

「忠義を尽くせ。お前が主を再び替えた時、この孔明がおまえの首を奪る」と。

「その言葉よく覚えておきましょう」

このやり取りが後々に現れるのだがやはり孔明はそうした未来予想をしていたのかもしれない。

 

かくして零陵・桂陽・武陵・長沙の四都が玄徳の手によって平定されたのである。

 

久々に一巻いったあ。