ガエル記

散策

『三国志』横山光輝 第三十八巻

はい、張飛表紙絵8回目です。主人公を抜いてダントツトップ。まあわかります。

張飛出てくると嬉しくなりますよね。話が明るくなる。ダイナミックなドラマが期待できるのですよ。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

曹操暗殺計画正月十五日。街中は燈籠で飾られ人々は遊び楽しんでいた。

暗殺計画の一手である王必も宵の口から酒宴を開いていた。

おじさんたちだけで大盛り上がりである。

そんな中で外から悲鳴があがり「裏と南門から出火です」という報告が入る。

そしてどこからか矢が射られ王必の胸に当たる「王必を探せ」という声が聞こえてきた。王必は矢を刺したまま倒れ死んだふりをする。そして謀反人らをやり過ごしで起き上がり馬を飛ばした。

友人の金褘の屋敷が近くにありこれ幸いと門を叩くと中から「お帰りなさいませ。今すぐ開けまする。王必は首尾よくお討ち取りになりましたか」と問われた。

これで理解した王必は「間違えた」と答えて曹休様へ謀反を報告に走る。「早く宮中へ行き帝をお守りしなければ」

これを聞いた曹休は兵を率いて急いだ。

火の手が上がった周囲で謀反人たちが騒いでいる。

曹休は反乱軍攻撃を命じる。

夏侯惇は都の空が赤いのを見て三万騎を引き連れ都へと向かう。こうなると反乱軍は旗色が悪くなった。近衛兵は反乱軍に加わることに二の足を踏み、帝自身も声明を出すのを差し控えてしまった。

反乱軍は全員捕らえられてしまったのだった。

この知らせは直ちに鄴郡にいる曹操にもたらされた。

曹操はその一族もことごとく死刑にせよと命令を下した。

 

人々はその悲惨さに目を背けた。人々をわずかに慰めたのは王必も矢傷がもとで間もなく死んだということだけだった。

 

すべては管輅の占い通りとなった。

曹操は管輅に褒美を取らせようとしたが管輅は「すべては天命」と言い何も受け取ろうとはせず去っていった。

 

この頃四川の巴西・下弁地方は風雲急を告げていた。

曹洪率いる魏兵五万は漢中から蜀の境に集結していた。

巴西を守るは張飛

下弁を守るは馬超であった。

馬超呉蘭に偵察を使命するとそこへ魏の大軍が現れた。魏軍を甘く見た呉蘭将軍は偵察目的の少数で攻撃に出てしまいあっという間に蹴散らされてしまったのだ。

これを聞いた馬超呉蘭を𠮟り成都に使者をだして指図を仰いだ。

一方魏軍の曹洪は動こうとしない馬超を恐れ南郡まで引き上げた。

しかしこの曹洪の選択を怯えと見なして軽んじる将がいた。

その将・張郃曹洪から三万の兵を与えられ巴西へと向かった。

張飛など子供のようなものだと豪語したのだ。(本気か?ぶるぶる)

張郃は山の要害に三つの砦を築かせ半数の兵を置きあとの一万五千の兵を率いて巴西に迫った。

この動きはすぐ張飛に伝わった。

張飛は雷同の意見を聞くと地勢の険しい場所なので不意を突いた方が面白いかもしれませぬと答えた。

張飛・雷同はそれぞれ五千の兵を率いて城を立つ。

張飛は山間で張郃軍と出くわした一斉に攻撃に出た。

張郃軍もこれに応じたが山から蜀の旗が迫りさらに谷からも襲撃された。たまらず張郃は退却を命じた。

実は山と谷からの援軍と見えたのは少数人が旗を振っているだけだと張郃が気づいた時はすでに遅く軍を立て直すことはできないまま砦の一つに逃げ込むしかなかった。

 

張飛と雷同は砦の前に陣を張り敵の気配を伺った。

張飛は雷同に様子見をさせた。張郃の兵を罵り嘲笑って挑発したのだ。

すると砦の上で張郃とその部下たちが並んで酒盛りを始めたのだ。しかも口々に「騒いだからと言って砦が落ちるでもなし」「酒を飲みながらあのバカ面を見物するか」とやり返してきたのだ。(案外策士だったのね張郃

さらにこの挑発に乗ってしまった雷同軍が迫ってくるとそれっとばかりに砦から岩石や丸太を落とし始めたのだ。

雷同は慌てて退却した。

 

張飛はこの報を受けて「敵がそうならこちらも敵の前で酒盛りじゃ」と手はずを整えた。

だが張郃も負けじと酒盛りを始め砦から出ようとはしなかった。

 

なにこれw

 

玄徳のもとにこの両軍酒盛りが五十日続いているとの報が入る。(五十日!)

玄徳はかつての張飛の酒による失敗があるので心配するが孔明は「厳顔を味方にしたのも張飛が将としての才覚を身に着けてきた証拠」として今回も何かの策だと言い「山の中には良い酒もありますまい。成都の美酒を五十樽ほど送っては」とまで勧めた。

尚も懸念する玄徳にならばと魏延を差し向けてはと助言した。

 

魏延張飛のもとに美酒五十樽を届ける。

張飛知能指数が上がった。

 

張飛魏延に右翼を張らせ、雷同に左翼を張らせた。

そして赤い旗が振られたら全力で打って出てくれと打ち合わせをする。

 

張飛軍に美酒が届けられますます盛り上がっているという知らせが張郃に入る。

偵察した張郃張飛がすっかり油断していると考え夜襲を計画した。

 

夜、張飛陣幕中でまだ酒を飲んでいるのが見えた。張郃軍は一気に張飛を狙い駆け込む。張飛の胸元に槍を突き刺した、と思いきやそれは藁人形にすぎなかった。

「これは」

と言う背後から張飛本人が馬にまたがっている。「待ちくたびれたぞ」

合図の旗が振られた。

急いで砦に戻ろうとしたが既に砦には火がかけられ焼き払われていた。

張郃軍は逃げ場所を失い次々と手にかかり瓦口関(四川省)まで逃げ延びた時は二万余人の兵を失っていた。

 

張郃曹洪に援軍を求めたがこれを拒否された。

そもそも退却したことを嘲笑した者が援軍を寄こせとは何事か。曹洪馬超の動きを睨んでおりその余裕はない。奪られたものは自分で取り返せと言う返事であった。

張郃は仕方なく策を講じて再度挑むことにした。

 

張飛の前に再び張郃軍が現れる。

雷同はこれを見て自ら攻撃に出ることを望み張飛は許可した。

が、これは張郃の囮作戦で雷同はこれにはまり討死してしまったのだ。

張飛魏延に計略を含め、自らは張郃の手にのったふりをして深追いしていくと言明した。

張郃の伏兵を魏延兵で封じ込めてしまうのだ。

翌日張郃は今度こそ張飛を討ち取ると意気込んでいた。

かっこいい~~~どうしてこんなに頭良くなったの。孔明効果なのか。

 

張飛と渡り合った張郃は「これは凄い」と言うや背中を見せて逃げ出した。張飛はこの挑発に乗って追いかける。

すると張郃の伏兵があらわれた。

の掛け声に魏延は姿を見せる。

崖の上から魏延の兵らが次々と矢を射かける。

「しまった。敵も兵を伏せていた」と逃げ出すがその先にも張飛の命で魏延が仕掛けていた火をかけた干し草を積んだ車が行く手を遮っていた。

たまらず張郃の兵たちは山中に逃げ込む。しかしその火は草木に燃え移り森を火の海と化しついに一人残らず焼死した。

張郃は残り少ない敗残の兵をまとめあわてて瓦口関に逃げ込んだ。

張飛を討たんと三万の兵を率いて出陣した張郃はいまや少数で瓦口関を死守するだけとなった。

 

あああ、だから言わんこっちゃない。

しかも今の張飛は昔とは比べ物にならないほど強くなってる。絶対テストの点数あがってる。

ううーん。

それを思うと関羽は実戦が少なくなってしまったから気の毒でもあるなあ。