早くも最終巻です。
兵馬の地獄旅見届けましょう。
ネタバレしますのでご注意を。
くノ一・楓。一途な女でその腕は確かだから見ていて頼もしい。
何が何でも大好きな兵馬を守りたい、という強い意志を持つ女。
『忍者武芸帳』の明美、最近では『進撃の巨人』のミカサを思い重ねてしまう。
とはいえ兵馬も楓を思ってしびれ薬を撃ち込まれながらもまったく効いていないかのように耐えて動きばたりと倒れてしまうところがかっこいいではないですか。余計惚れてしまうばかりですわ。
この兵馬の優しさは上に挙げた明美に対する重太郎、ミカサに対するエレンにもなかった。なぜかこの『兵馬地獄旅』が一番のラブストーリーになっている。
楓と兵馬の関係が少しずつ深まっていくのが見えてとても良い。
横山光輝作品でここまで男女関係を濃密に描いたものは少ないのではないか。
珍しいキスシーンなので貼っておこう。ただし解毒剤を口移しに飲ませているだけなんですが。
しかし兵馬の目的はうざい半蔵正就を殺してしまうこと。それに楓を巻き込むつもりはなかった。
おおいに未練があるのがかわいい。
が、くノ一・楓はこんなことくらいで引き下がったりはしない。
半蔵を倒すため楓の里に入り込んだ兵馬に近づく。兵馬は誰にも知られず死んでいた老忍者に化けて過ごしていたのだ。
そしてついに半蔵正就が里を訪れた。
兵馬はすかさず半蔵の前に出て決着をつけようとする。
が、妖斎をはじめ里の忍者たちが兵馬を襲う。兵馬と楓はからくも逃げおおせた。
時代は動き大坂と徳川の決戦が近づいていた。半蔵正就はこの機に手柄を挙げ服部家復興を狙っている。もう兵馬にかまってはいられない。
しかし兵馬にとっても好機だった。戦場では何が起きるかわからない。
戦にまぎれ正就を討つのだ。
この場面がぞっとするほど面白い。
いまや討たれるのを怖れているのは正就の方でった。常に兵馬から襲われる危険に怯えなければならないのだ。
とはいえ服部家復興の思いも強かった。戦場で正就は家来の忍者たちが追いつけないほど馬を駆り大将首を狙っていた。もう家来は置き去りにされた。そこに
全力で走る半蔵の馬を追い越す雑兵がいた。ゾゾゾゾ
物凄く怖いホラー映画を観てるかのようだ。こわいこわい。動いて見えるし。こわい。
ぎゃああああ。こっち見たあああ。
なんで急にホラーこ”わ”い”
もう兵馬のことしか考えられない半蔵
ひえええええ
もう死んでるも同然の半蔵
半蔵正就は転げ落ち、兵馬に命乞いをした。もう手出しもしないし良き主となると。
こうして兵馬はついにストーカー半蔵正就を抹殺した。
が正就は恩人の長男でもある。
追いついてきた楓と共にその死体を埋め弔った。
なんとおおおお!
ハッピーエンドだったああ!!!
しかもゴールインハピエン。
寿完結。
世界の終りだからというやむなき結婚でもなくだよ。
兵馬もまんざらじゃない表情しとるし。楓さんは当然の如くきっぱりしてる。
『兵馬地獄旅』という劣悪タイトルだったのに。
終りは極楽だった!
てか、『地獄』っていうほどでもなかったんじゃ、というのは悪口か。兵馬が強かっただけで大変だったんだよ。
いやいや。
兵馬、思いやりと決断力のある立派な男だったし楓も良い女だった。
半蔵正就も始末してほんとうによかった。
お幸せに!