カルト集団が起こした大量殺人事件において加害者遺族たちが慰霊の旅を通じて自分たちを見つめなおす物語です。
もちろん思い起きるのはオウム真理教の一連の事件です。
その時代に生きていた記憶できる年齢層はそれらを忘れてしまうのは難しいでしょう。
私も連日テレビ報道を見続けていましたし、いくつかの文献も読みました。
あまりにも怖ろしい事実の連なりでしたがそれらはまったく自分には関係ない出来事であるとは言えません。
そしてそれらを基点として世界はまったく変わってしまいました。
本作はそうした「カルト教団」に関わった人々の心理・行動をドキュメンタリーのような映像で描写していきます。
最初ぱっと見雑多に個々人を語っていき次第にそれが収れんされていく、という構成で「いったいこれは何だろう。いったい彼らは誰なんだろう」という興味を持たせ惹きこまれていきます。
緑深い山奥へあまり見知っているわけではない男女が入り込んでいき、アクシデントによって一晩を過ごすことになってしまい互いを語り合っていく。
慰霊=鎮魂を行うことは自らの魂を慰めることであると言います。
こうした語り合いはとても大切なことだと思えるのですが現実に行えることは少ないでしょう。
映画を観ることでそうした中に参加できるのも良いことと思えます。