
ネタバレします。
「術」
明和の頃、筑波山の道然は弟子・小松を連れて里に下り茶屋に入った。
茶屋の娘があまりに可愛いので小松はちょっかいを出してしまう。
ところが茶屋の娘は小松以上の術の使い手であった。
簪を蛇に変え小松を捕らえてしまう。
師匠の道然は呆れてみみずくとなり去ってしまう。
術を解かれて小松は娘の弟子となる。
つまり小松は仙人になる素質がなかった、ということかな。
めでたい、のか。
「梅殿桜殿」
むかし、越智七郎左衛門という侍が壇ノ浦から逃れてきた平家の女ふたりを匿ったという。
七郎左衛門は独身だったのでふたりを「梅殿桜殿」と呼んでそれは仲良うむつまじく暮らし三年経った。
だが彼に縁談が持ち込まれいよいよ婚礼という朝、七郎左衛門は左右の胸にはを突き立てられ冷たくなってしまった。
さらに井戸から梅と桜の亡骸が見つかったが驚いたことにふたりは男であったのだ。
あの頃にはこんな話があるように思える。
「白犬」
美しい坊主が「白犬」と呼ばれるのが嫌で和尚から「餅を食べることが出来たらもう誰もそう呼ぶまい」と言われ食べようとしたが食べることができず「私はやはり犬です」と言っていなくなってしまう話。
なんともせつない。
「鏡斎まいる①」
村上周防守義明は不思議な術を操る鏡斎を召して術を望んだもののその力に慄いて切腹を命じる。
鏡斎は命じられた通りに切腹しその亡骸は長持に入れられ施錠された上に葬られた。
だがその後、書き終えられたばかりの文が届きそこには確かに鏡斎の文字で「死罪に会うべき罪もなく、よって城下を出て山家に隠棲し」とあった。
墓を掘り越してみるとそれは大きな狸であった。
村上家では彼を探したが見つけきれずに惜しんだという。
駄目だなあ。
しかしそれを望んでいたんでしょ江戸時代は。
「鏡斎まいる②」
土屋遠江守は狩りの途中奇妙な光景に出会う。
それは空中に浮いて眠っている男だった。
連れ帰ると男は目覚め戒めから抜け出てしまう。
男は「村上周防守の家臣なれど故あって浪人いたしております」という。
鏡斎と呼ばれる「村上家の術士」のことは大名の間で評判であった。
(くく、おもしろい)
遠江守はそういうものが好きだったので若君の伽衆として召し抱えた。
雷雨の夜鏡斎は若君の望みに応じ龍が通るのをお見せする。
そして龍が落としていった光る鱗を渡したのであった。
「鏡斎まいる③」
さらに遠江守の若君に仕えている鏡斎。
鏡斎は若君に「雷童子の雲に向かって指をさしてはなりませぬ。指さすと仇をなします」と教える。
ところが藤九郎という近習が雷童子の雲を目がけ矢を射た。
たちまち藤九郎は八つ裂きにされてしまう。
残ったのは弓手だけであった。
「蘇生はならぬか」と問う若君に鏡斎は前覚坊を呼び出し頼んだ。
しばらくして夜中に城門を叩くものがいた。
小宮藤九郎であった。
だが門番は開けようとはしない。
二日目もそして三日目の夜「小宮藤九郎只今帰参仕った」という声に門は開けられた。
藤九郎は戻った。
が、「風景は水、人の声は風、己の身体は土のように感ぜられる。死してなおここに留まる浅ましさ」を感じ藤九郎は死を願う。
しばらく式神として働き彼じゃ彼岸へ行くこととなった。
若君は鏡斎に問う。
「そちは一体なんじゃ」
「人にございます」
鏡斎のような人、はいたのだろうか。