最終巻になってしまいました。
時の行者による歴史解説をもっと見ていきたいです。
今現在の解説もしてほしい。
ネタバレしますのでご注意を。
「吉宗と宗春」
倹約家の吉宗に反対していたのが徳川御三家のひとつ尾張の徳川宗春であった。
祭礼を派手にし芝居小屋や遊び場所を許した。
そのため火の消えたような日本で名古屋だけが異様な賑わいを見せたのである。各地から商人が集まり町に活気がみなぎったのだ。
この様子を苦々しく思ったのが吉宗だった。
このまま宗春の行状が続き名古屋が発展していけば吉宗の方が間違っていたことになるのだ。
そしてこの対立に忍者たちの命を懸けた活躍が必要となっていくのである。
ここにくノ一・早苗が登場する。
早苗は宗春側のくノ一だ。
ここでも争いに巻き込まれる行者が手に入れた宗春とつながる大名の名を記した紙を渡してもらう引き換えに行者を守ると約束する。
早苗は一本気な性格だった。
約束した通り自分の身に変えて行者を守り通したのだ。
倹約家吉宗に対抗する宗春の話などまったく知らなかった。
平和な江戸時代、などと言ってもその中ではいろいろな歴史があるのだと今更ながら気づかされた。
「江戸の大嵐」
吉宗の晩年の物語。後継者を考えなくてはならない吉宗だが長男に障害があることで思い悩んでいる。
そこに行者が現れ「大嵐」が来ることを予言し人々に避難を求めていた。
吉宗は行者の人並外れた能力を見て息子の後見役となって欲しいと願う。
だが行者は少しでも多くの人々を助けたいと行動を起こした。
ここで初めて行者の相棒である少女・理沙が登場する。彼女は大嵐によって水没した建物に残された人々を救けて回っていたのだ。
行者の名も淳だとわかる。
理沙がひたむきに救助を続けていくのを感心し淳もまた救助活動にいそしんだ。
寛保二年八月関東を襲った台風による水害は凄まじいものであった。
ほんとに水害の時に行者様に現れて欲しい。
このバリヤー、早く発明されないかな。
「宝暦の百姓一揆」
淳と理沙がいる未来には人間は彼ら二人だけしか存在しない。
だがそこではなおも戦争が続いているのだ。
地球は砂漠化しふたりは孤立した建物の中で常時襲ってくる「機械による攻撃」を防がねばならない。
ふたりは歴史を旅してどこかでこの未来を変えることはできないか、と考えているのだ。
というのは物語を続けるための燃料で実際は歴史紹介(江戸時代紹介?)であろうと思われる。
が最後の話が1754年の百姓一揆というのはあまりにも中途半端ではある。
少なくとも江戸時代の解説としてなら幕末1868年までやってほしかったし、できるものなら昭和までやって欲しかった。
これは打ち切りなのか。作者の気持ちが失われてしまったのか。
いつもながらの淡々とした横山解説は楽しいし理沙が加わったことで女の子編の面白さもあったはずなのに残念である。
(理沙編をやるつもりがあったかどうか、だけど)
加えて。
たった二人きりになってからではどうにもならないのではないだろうか。
遺伝子操作ができるのならば、とも言えるけど。
たぶんふたりの卵子と精子から人工授精しての・・・と考えるのが賢明だろうがどうしたって積んでしまう気がする。
もう少し早め早めの対策が必要だったよねえ。
たぶん、どこかにも生存者がいた、っていう展開を望むしかない。