映画だと思って観始めました。映画にしては(しかも黒沢清の)軽い映像だなあと思いながら。やはり映画とテレビドラマは何か違いますよね。
しばらくして「ん?やっぱり違うのか?」と思ったらなんとテレビドラマ版があったのですね。
ずいぶん早いテレビ放送だなあ、とは思ったのですよ。
ネタバレしますのでご注意を。
話によると映画版もテレビ版もそんなに違わないそうです。
それも知ってよかったのかどうなのでしょうか。
それはそれとして、とても面白い作品でした。
久しぶりに日本映画でよく練られた考えられた脚本を感じました。
主体となっている「スパイ」の物語が薄く軽いのはもちろんこの映画が「スパイ活動」の映画なのではなく「スパイとその妻」の関係性を描いた作品だからですね。
優作がなぜスパイになったのか、聡子がなぜ愛国者から変化したのかということではなくふたりの関係性がとても重要なのです。
登場人物の名前もおもしろい。
聡子=理解・判断が的確で早い。感覚が鋭い。敏感。
優作=優しさを作っている。みせかけですね。
津森泰治=安泰に治めているつもり。なんとだじゃれ。
自作の映画を上映した優作が「お粗末!」と言い
その映画をのちに観た聡子が「お見事!」という掛け合いは何とも言えません。恥ずかしいような笑えるような泣けるような。
きっと何かにつけこの作品を思い出してはこうなのではないかと考えていく気がします。
映画版も楽しみです。