なんだろねこのおもしろさ。
ずーっと嫌な話しかないんだけど。
面白くない人生こそが尊いってことかな。
ネタバレしますのでご注意を。『ベター・コール・ソウル』についても。
ほんとに覚えてないんだけど時々「あっここ知ってる」ってなるんでやっぱりちゃんと観てたみたいです。
しかしこの内容を覚えてないっていうのはどういうことなんだろうか。
よほどぼーっと観ていたのかそれともあまりの怖ろしさに記憶から消してしまったのか。
大金山積みの強烈なインパクトで終わりかと思ったらジェシーが地下牢(?)から脱出する場面でも蘇りました。あそこはハラハラしますからね。
主人公のウォルターが完全な悪党(言葉悪く言えばクソ野郎)に堕落してしまう反面ジェシーは良い人間だというのが表されていく。けどいくら良い人間だとしても悪事を働いた人間には報復があるのだ。
「因果応報」それは物語に重要なものなのだと思う。
さてこうして『ブレイキング・バッド』再鑑賞終了しました。今度はいくら何でも記憶できると思います。
こうして再鑑賞するとよくわかります。
先日観た『ベター・コール・ソウル』とほぼ同じ話ですね。
物語の主題は「因果応報」でした。英語人が「因果応報」をどう表現するのか。
今GPTで聞いてみたら「Karma」だと答えてくれました。
「カルマ=業」か。なかなか鋭いこと答えてくれるじゃないか。
なるほどなあ。
ウォルターは人々を不幸に陥れてしまう麻薬「ブルーメス」を作り怖ろしいほどの大金を手に入れるがその大金も結局悪党どもにほとんどを奪われ手元に残った金を必死で家族に渡そうとしても拒絶されてしまう。
ウォルターの一番の希望は家族から愛されることだったはずなのに彼は自らその愛を砕いてしまうのだ。
しかし彼は最後の力を振り絞って悪党どもに報復をする。そして彼の希望の一つだったジェシーを救い出し自分自身は命を落としてしまう。
『ベター・コール・ソウル』の要はハワードだった。彼は善人の象徴だった。彼が殺された時にすべてが崩れ落ちた。
『ブレイキング・バッド』ではハンクだ。彼を死に追いやったことで世界が崩壊していく。
『ブレバ』での主人公の妻スカイラーはウォルターの罪を知りながら黙っていたという共犯者なので罪はやや軽いがそれでも彼女はその残された人生を陰鬱に生きていくのだろう。
『ソウル』でのキムはもっと積極的に主人公に加担する。そのために彼女の後半生はもっと過酷であるはずだ。
「生きている」と実感できるほどの強烈な快楽は人間を激しく摩耗するのだろう。それはそれこそ麻薬みたいなものなのだ。
静かに生きてきたウォルターは死に直面してその麻薬を知ってしまう。
そしてその麻薬から逃れられなかったのだ。
そして彼は最後まで愛したブルーメスと共に死ぬ。
って「因果応報」がこのドラマの主題だとか偉そうに書いてしまったがこの最期の歌で「I got what I deserve=自業自得だ」って言ってるじゃないかw
ちゃんとわかりやすく表現していましたね。
ウォルターは家族よりもベイビーブルーを愛してしまったのだ。
そしてソウルことジミーも「欺瞞=人を騙す」という麻薬から逃れられなかった。
ただ彼のほうは最期にキムの前で正直さを見せ罰を受けた。
そこがウォルターとソウルことジミーの大きな違いでした。
とはいえどちらの物語も「快楽への欲望」から人間は逃れられない。そしてそこで生じた罪からは逃れられないという話でした。
大きな罰を受けたくない小心者は小さな快楽で満足するべきですし私もそうありたいと望みます。