ガエル記

散策

戦争

『飼育』大島渚

大江健三郎原作小説未読です。 作品概要の 昭和二十年の夏、ある貧しい山村に米軍機が墜落。村人たちの山狩りにより、搭乗者である黒人兵が捕まった。地主の鷹野一正は、黒人兵の足首を鉄の鎖で固定し、村で“飼育”することにした。 というのを見て躊躇してし…

東京ブラックホールⅡ 破壊と創造の1964年

少し前、「昭和は良かった」とやたら昭和を良い時代だったと懐かしむ風潮がありました。 私は昭和38年生まれなので思い切り昭和時代に成長期を過ごしたのでどっぷり昭和人間です。平成という時代は次の時代という感慨しかないわけですが「昭和」という時代を…

『拉致と日本人』蓮池透・辛淑玉

こういう本ってどうしてこんな怖い表紙なのでしょうか。軽くてふざけたデザインだと気分が出ない、のかもしれませんがこういうものほどあえてかっこいいマンガや可愛いイラストを用いてもいいのではないかと思ってしまいます。 せめて色合いとロゴがもう少し…

これからの日本の生活に必要なのは「弱い人を助ける正義」

消費税10%になる10月が始まりました。 ここまで生きて来て日本という国がどんなに欠点だらけの国なのか骨身にしみてきたように思えます。 以前、まだこの国がマシだと思っていた頃、「弱い国ほど自分の国を褒めたたえ愛国を強調する」という話をなんとなく笑…

『OVERMANキングゲイナー』富野由悠季

『OVERMANキングゲイナー』再鑑賞、はじめました。 これもかなり後、というかちょい前くらいに観たものです。なんともいえないリズムのある面白さにすっかり参ってしまいましたが、今回観なおしていて前以上に「これはすごく面白いのでは」と思いながら観て…

『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子

1981年に出版され大大ベストセラーになった本作ですので読んでいて当然と言っていいのですが当時18歳という年齢だったためか、もともとベストセラーとか「お勧めの良書」みたいなのを敬遠する性質だったのもあって今までちらりとも読んでいませんでした。 し…

『進撃の巨人』28巻まで

『進撃の巨人』28巻まで読みました。ちょうど今無料サービスが行われているんでそれみたいに思われそうですが、私は自分で買った紙の本をそのままにしていただけだったのを読み終えたところです。 えっとネタバレなのでご注意を。 って読んでなかったのかよ…

『進撃の巨人』のすげえとこ

『進撃の巨人』のストーリーについてはやはり終わってからにしたい気持ちがあるのでここでは他の設定について色々考えてみます。 なんといっても「衝撃」と言っていいほどだったのは男女の性差別の緩やかさですね。 これも異世界ものを構築する時に作り手の…

アニメ『火垂るの墓』高畑勲 -負の暗示と憂国ー

ー もう少し『君たちはどう生きるか』について書こうと考えていたのですが、何十年かぶりにずっと観るのを拒否していた『火垂るの墓』を観たので先にこちらを書こうと思います。 最初に『火垂るの墓』を観たのはもうすっかり忘れていますがたぶん最初のテレ…

BS1スペシャル「戦争花嫁たちのアメリカ」と『ゼロの焦点』

www.nhk.or.jp 本当に何も知らないまま生きていてこの年齢になって初めて知る、ということばかりなのですが最近になって読んだのが松本清張の本『ゼロの焦点』でした。 (以下『ゼロの焦点』のネタバレになりますのでご留意ください) その中に「戦後、日本…

『ひろしま』関川秀雄と『はだしのゲン』アニメと『この世界の片隅に』

現実に起きたことを物語作品とするのはフィクションとはまた違った難しさがあります。 特にそれが戦争というような複雑な要素が絡み合い容易に言明できない場合どのような事柄を拾い上げどのような人物によって語らせていくか、その選択が作品を大きく変えて…

『DEVILMAN crybaby』湯浅政明

youtu.be 久しぶりにまた観ました。 永井豪原作マンガが大好きな私ですが、(あのへんてこな昔のアニメも大好きです) 湯浅監督『デビルマン』は素晴らしいリメイクで圧倒されました。 いろいろネタバレです。 ご注意を。 今回はタイミング的にキュアロン監…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 5

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術』キム・ハドソンのテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いていきました。 初めてこの本『新しい主人公の作り方』を読んでいるところです。アーキタイプの適合はよく…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 4

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術」キム・ハドソンのテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いています。昨日の続きいきます。 ステージ【11】光の選択 そしてヴァージンは自分を信じ、何があろうと夢…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 3

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術」キム・ハドソンのテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いています。 昨日の続き参ります。 ステージ【8】枷を手放す ヴァージンは未来へ飛び立つため、過去から抱…

アーキタイプとステージで『この世界の片隅に』を読む 2

『新しい主人公の作り方ーアーキタイプとシンボルで生み出す脚本術」キム・ハドソン のテキストを参考にしながら『この世界の片隅に』のすずを読み解いています。 昨日の続きです。 ステージ【5】秘密の世界 この「秘密の世界」はヴァージンが夢を追求する…

「この世界の片隅に」こうの史代・片渕須直 その2

昨日は台風のせいもあってテレビ放送された本作をもう一度見直していました。そうして台風の中ぼんやり考えているとこの物語が様々に思われてきました。 そこで今から書くのは「その1」とはまったく違った文章になりそうです。 この物語はちょっと不思議な…

「この世界の片隅に」こうの史代・片渕須直 その1

他の映画のレビューを書こうかと思っていたのですがやはり今先日テレビ放送があったこのアニメ映画について書いてみたくなりました。 まずはこのアニメ作品が作られた意義は特別なものだと思っています、と書かないわけにはいきません。ということはこれから…

どろろ」新旧比較してみる その6

今日も「どろろざんまい」参ります。 さてアニメ新版では14話「鯖目の巻」15話「地獄変の巻」となります。私がダビング失敗(タイトルと時間表記出てるのに中身が真っ黒だったという)で見損ねた二つの回ですがちょうど2話構成になってて、しかも新版として…

宮沢賢治と「八紘一宇」

私は宮沢賢治が大好きであの美しさと可愛らしさに憧れている者です。好きになると作家のことをいろいろ調べたくなるもので私もたいした分量ではありませんが少しはあれこれと読んでみたりしました。 そうすると宮沢賢治という人はいろいろ謎めいたというか表…

「銀河英雄伝説」本伝・石黒昇 

「銀河英雄伝説」本伝・石黒版全110話、観終わりました! 外伝から鑑賞を始めて幾つかは観ずに本伝に入ったのですが確か6月1日からだったのでおおよそ一か月かかったわけです。 物凄い量ですが名残惜しくもあります。 とにかく! 「銀河英雄伝説」小説本10巻…

「昭和史裁判」半藤一利・加藤陽子 第一章・広田弘毅 その3

広田弘毅を読んで考えて三日目になりました。半藤一利・加藤陽子対談著「昭和史裁判」の【第一章・広田弘毅】から触発されたのでした。 裁判形式で語られているこの本では半藤一利氏がいわば検察官となって広田の罪を講じ加藤氏がその釈明をする、となってい…

「昭和史裁判」半藤一利・加藤陽子 第一章・広田弘毅 その2

広田弘毅に関して私はまったくの無知で、この本を読んで初めてその人となりというかどのような評価を受けた人なのかを知りました。 昨日も書いたように地元では無論「福岡県初の総理大臣」(2番目が麻生太郎氏というのがなんとも。思い切り振り幅がある二人…

「昭和史裁判」半藤一利・加藤陽子 第一章広田弘毅 その1

半藤一利(歴史探偵・作家)加藤陽子(東大大学院教授)となっています。冒頭で歴史の主役級の人々を登場させ半藤氏が検察官あるいは検察側証人、加藤氏が弁護人あるいは弁護側証人となる。被告は人間というより昭和史そのものという歴史法廷を行う、という…

「半藤一利に問うた難しい質問」を読んで

headlines.yahoo.co.jp headlines.yahoo.co.jp この記事は読むことができてすごく良かったと思います。 まったく知らないことが多すぎます。いつまでも勉強ですね。 一番目のリンクでは 昭和15年頃になると、半藤少年は互助組織だった「隣組」が監視機関に変…