ガエル記

散策

男性

『チェルノブイリ』ドラマ 真実を話す者

以下ネタバレになります。 ドラマラストではっとしたのは女性科学者ウラナ・ホミュックは当時世界的に有名となったレガソフを応援していた多くのソビエトの科学者の思いを一人にまとめた造形だたという説明でした。 面子を重んじるソビエト連邦が原発のミス…

『差別と日本人』辛淑玉・野中広務

恥ずかしいことですが私は最近までお二人どちらのことも知りませんでした。 辛淑玉さんはある程度仕方ないとしても50代日本人で野中広務氏を知らないというのは問題ですが、それくらい政治にまったく無関心だったということです。 同じような発言をよく目に…

好きなもの、嫌いなもの その3

さてさてえーと次はなにから話していきましょうか。書きながら考えています。 続きます。 SFもの。 まあ、SFもの、という言い方もおかしいのですが私はとりあえずSFが大好きだとは思います。けどもこれほど「もどき」が多い「もの」もないようにも思えます。…

好きなもの、嫌いなもの その2(特に巨乳キャラについて)

昨日から続けます。 と言いたいところですが、ツイッターで今気になっている「巨乳女性キャラに対する男女の受け取り方」というものに関連させて書いていきます。 発端は日本赤十字社が作った巨乳女性キャラ・宇崎ちゃんが献血を呼びかけるというポスターな…

どうしてこのポスターが「ダメ」なのか、考えて欲しいのです

表現の不自由展の慰安婦の少女像は反日だから展示やめろという人もいますが、それは表現の自由の抑圧だと思います。「宇崎ちゃんは遊びたい」の献血ポスターもセクハラだからやめろという人もいますが、それも行き過ぎだと思います。ただ、両者ともに、批判…

『飼育』大島渚

大江健三郎原作小説未読です。 作品概要の 昭和二十年の夏、ある貧しい山村に米軍機が墜落。村人たちの山狩りにより、搭乗者である黒人兵が捕まった。地主の鷹野一正は、黒人兵の足首を鉄の鎖で固定し、村で“飼育”することにした。 というのを見て躊躇してし…

『キング・オブ・コメディ』マーティン・スコセッシ

『ジョーカー』が絶賛上映中のようですが、自分が観られるのはまだ随分先なので影響元かと言われている本作、未鑑賞だったので観てみました。 スコセッシ&デ・ニーロの『タクシー・ドライバー』は優れた内容で大好きな映画ですが、同じタッグで作られた『キ…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その7

続きます。 もっとも重要なのはこの小説が一人称で書かれていることです。一人称はそれ自体がミステリーです。 一人称で書かれた小説は注意しなければならないということを私はアガサ・クリスティの傑作『アクロイド殺人事件』とウラジーミル・ナボコフ『ロ…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その6

続きます。 勝手な解釈をしています。とりあえずネタバレにはなると思います。 『影裏』主人公「わたし」=今野秋一が「両性具有」と書きましたが本音を言うと実は「女性」という可能性と迷っていて決め手がないのです。 とは言え昨日書いた日浅との再会での…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その5

コールマン灯、こんな感じなのでしょうか。 続きます。 以下、ネタバレというか自分流解釈をしています。 昨日の解釈から変化しています。 『影裏』の一人称主人公「わたし」今野秋一は両性具有であり、以前は女性として生活してきました。 名前は男性のよう…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その4

鮠(うぐい) 山女魚 鮎 続きます。 本書を分析していますのでもちろんネタバレになります。正解かどうかはわかりませんが。 その3までで書いたように『影裏』の主人公「わたし」=「今野秋一」が男性なのか女性なのかは未だ私にはつかめていません。 「秋…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その3

続けます。 本書『影裏』実質90ぺーじほどのごく短い小説なのですが読んでいくには時間がかかるのが判ってきます。 多くの読者が前と繋がらなくなってしまい「あれ?」となって前に戻って読み直す、男なのか女なのかよく判らなくなってもう一度確かめてし…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その2

続けます。 樹木の名前が続きます。 橡 白柳 いずれも拾い画像です。 さて5ページ目のおわりに日浅という人物が登場します。 そしてそれまで自然の情景描写が主だったのが、6ページからは日浅の描写が中心になっていきます。 さらに7ページで「わたし」が「…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その1

さてさて沼田真佑著『影裏』読書と分析始めます。 冒頭3行は「わたし」が川沿いの小道を歩く場面。 勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。 続く蜘蛛の巣の燦めきの描写からも夏の情景が浮かんできます。 「円網」「燦めいている」という字の選択が作者の感覚を示…

『影裏』沼田真佑ー読む前にー

eiga.com なんとなく小説「影裏」を手に取ってしまいました。 そういえば芥川賞を取った作品でしたね。 短い小説でびっくりするほど薄い本です。 まだ少し目を通しただけなのですが、映画化も決まっていて来年2月には公開ということを知りました。 主演が綾…

『ダークナイト』クリストファー・ノーラン

昨日に引き続き『ダークナイト』について。 この映画が傑作なのは間違いないと思います。 胸のすくような壮絶なアクションシーンだけに注目しても別格です。そして人間の業、善と悪を象徴的に描いた寓話として最高に面白い。 そのうえで昨日書いた「性差別主…

『ダークナイト問題』性差別主義のシンボル映画

男らしさのシンボル 映画『ダークナイト』について書きたいのですが、その前に「ダークナイト問題」について少し書きます。 ついこの前聞いたばかりなのですが東村アキコ氏が「ダークナイトを語る男は公害」と言ったというアレですね。 私は人間づきあいがほ…

『OVERMANキングゲイナー』富野由悠季

『OVERMANキングゲイナー』再鑑賞、はじめました。 これもかなり後、というかちょい前くらいに観たものです。なんともいえないリズムのある面白さにすっかり参ってしまいましたが、今回観なおしていて前以上に「これはすごく面白いのでは」と思いながら観て…

『少女革命ウテナ』再鑑賞

『少女革命ウテナ』2周目、観終わりました。 ラストやはりとても素晴らしい。 愛とはなにか。生きるという事はどういうことか。 このアニメを観て他のいろいろな本を読んで世界を見て知っていくことは大切です。 そしてなんといってもこの華やかな絵柄、演劇…

『少女革命ウテナ』樹璃と枝織と瑠果

『ウテナ』の物語、しばしば意味ありげな表現で謎めいて年若い視聴者をいったいどういうことかと悩ませてしまいそうなエピソードがいくつもあります。 今回『ウテナ』を見直す際にもう一度観たいとおもったものの一つが樹璃と枝織と瑠果の物語でした。 樹璃…

「バレエの王子になる!~“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春」

www.nhk.or.jp 上の4人の少年、左上の彼はアロン(大澤ホロウィッツ有論)日本人の母を持つアメリカ生まれイギリス育ちでロシア語を勉強しながらワガノワバレエを学ぶ。 身長が低い(って175センチでチビって?他はみんな180越えらしいけど)のが欠点だがそ…

再び『少女革命ウテナ』

最近BDダビングが上手くいかないことが多くてそれに気づかぬまま後でまとめ見ようとした時にやっと気づいてorzが続いています。たぶん機器がもうヘタってるんですね。 こともあろうに『進撃の巨人』の数話がそうなってしまい、今回仕方なくdアニメストアで鑑…

『進撃の巨人』のすげえとこ

『進撃の巨人』のストーリーについてはやはり終わってからにしたい気持ちがあるのでここでは他の設定について色々考えてみます。 なんといっても「衝撃」と言っていいほどだったのは男女の性差別の緩やかさですね。 これも異世界ものを構築する時に作り手の…

アニメ『火垂るの墓』高畑勲 -負の暗示と憂国ー

ー もう少し『君たちはどう生きるか』について書こうと考えていたのですが、何十年かぶりにずっと観るのを拒否していた『火垂るの墓』を観たので先にこちらを書こうと思います。 最初に『火垂るの墓』を観たのはもうすっかり忘れていますがたぶん最初のテレ…

『嵐が丘』同じ魂を持つ男と女

これだけが私の『嵐が丘』なのです。中村佐喜子訳。 昨晩寝る前に「嵐が丘」について書かれた文章を読んでしまいました。「キャサリンとヒースクリフは相棒のような関係だった」と。 私が『嵐が丘』を読んだのは中学生か高校生かはっきりもう覚えてませんが…

BS1スペシャル「戦争花嫁たちのアメリカ」と『ゼロの焦点』

www.nhk.or.jp 本当に何も知らないまま生きていてこの年齢になって初めて知る、ということばかりなのですが最近になって読んだのが松本清張の本『ゼロの焦点』でした。 (以下『ゼロの焦点』のネタバレになりますのでご留意ください) その中に「戦後、日本…

BS世界のドキュメンタリー「さすらいのシェフ」

www.nhk.or.jp 原題:The Wandering Chef制作:国際共同制作 Hayanso Entertainment /NHK(韓国 2018年) ディレクター: PARK Hye-ryoungプロデューサー: JEON Jin 何気なく予約録画して観ました。 もっとちゃらいものを予想していたのですがまさかこんなに…

『DEVILMAN crybaby』湯浅政明

youtu.be 久しぶりにまた観ました。 永井豪原作マンガが大好きな私ですが、(あのへんてこな昔のアニメも大好きです) 湯浅監督『デビルマン』は素晴らしいリメイクで圧倒されました。 いろいろネタバレです。 ご注意を。 今回はタイミング的にキュアロン監…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 5

昨日まで映画を追って感想を書いていきましたからここからちょっと雑感を。 ネタバレになりますのでご注意を。 他の方のレビューでいろいろ考えさせられます。 絶賛に対して「つまらない」という意見もちらほら。私にはこんな波乱万丈な、という物語も他の方…

『ROMA/ローマ』 アルフォンソ・キュアロン 4

続けます。 ネタバレですのでご注意を。 真面目でおとなしいクレオと関係を持ち、妊娠した彼女を罵倒して逃げたフェルミンは暴動を起こした一人でした。彼に銃を向けられたクレオはショックで破水し、子供は死産でした。 場面は静謐な屋敷に変わります。穏や…