ガエル記

散策

『ラーヤと龍の王国』ドン・ホール /カルロス・ロペス・エストラーダ

これは観てよかったあああ。

東洋系ビジュアルに「どーせ」という偏見を持ってしまいついうっかり見逃してしまうところでした。

 

前回の『塔の上のラプンツェル』に抱いた残念感を本作ではすっかり払拭してくれました。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

ほんとうにもうディズニープリンセスという言葉は「戦う王女」という意味になってしまったようですね。

それでいて本作のテーマはあくまでも「幸福は戦争ではなく平和を求める心から生まれる」というものです。

今回もディズニー+から観たくなるものを少しずつつまみ観したのですがつまらないかバイオレンスかでかなりへこみました。

先にも書いたように本作の東洋系ビジュアルで疑いを持ってしまったのですが観ていけばそんな偏見は馬鹿々々しいと解りました。

 

なんといってもヒロイン・ラーヤのかっこよさ。ティクティクの可愛さに参りました。

シスーのおばさん的キャラも面白いです。

敵役が王子ではなく同じく王女だというのもよかった。

舞台が中国や日本ではなく東南アジア諸国なので暖かくて水が豊富な感じが心地よいです。開放感がありますね。

 

ラプンツェルと同じ18歳の娘というキャラクターであるラーヤ。

ラプンツェルストーリーは明らかに「性愛」を求めて外へ出たいと願う若い女性が題材です。それはもちろん当たり前のことであって悪いわけではないのですが昔ばなしにこだわった展開になるので彼女は正直性愛のことしか考えていないのをディズニーアニメとしては何とかごまかして綺麗にまとめなければならなくなります。

これ以上ないほどにセクシーハンサムに出会ってそのまま恋に落ちて邪魔者である、義理とはいえ母親を殺す、というかなり恐ろしい物語をいわば「毒親裁き」として正当化してしまいます。

 

ラーヤの物語は逆に性愛がまったく語られません。それは彼女が世界を平和にするという父親の意志を受け継ぎそのことだけしか考えられなくなっているからでもありますがもちろんアニメのプリンセスの歴史として『ラプンツェル』のカウンターパンチとして必要だからです。

ディズニープリンセスの形はこれからもどうあるべきか、常に考えられていくのでしょうね。