ガエル記

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『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その1

『鬼龍院花子の生涯』作者は宮尾登美子。1980年発行。 映画は1982年公開。ですが、当時は観ていませんし観たいとも思いませんでした。宣伝が 時期は忘れましたが相当後に、というより数年前に初鑑賞して感激しました。なので今回は再鑑賞となります。 公開時…

チフスのメアリー

今、映画『鬼龍院花子の生涯』を観ているのですが、その中で突然「腸チフス」という病気が登場するのですが、どんなものなのかと検索してみました。 メアリー・マローン(Mary Mallon、1869年9月23日 - 1938年11月11日)は、世界で初めて臨床報告されたチフ…

新型コロナウィルスによって改革がなされるか

新型コロナウィルスの進撃がとどまらない。 発生国の隣国にも関わらず、奇妙にも諸外国に比べ発表される感染者数が少ない我が国(もちろん疑惑が取り除けるわけはないとして)でもオリンピックが延期されることが決定されて以降その数はついに上昇しはじめ有…

『分離ではなく協力なのだ』ハラリ氏ー新型コロナウィルスー

web.kawade.co.jp 感染症の大流行への本当の対抗手段は、分離ではなく協力なのだ。 納得の記事でした。 いくら国と国とを隔絶しようとしても感染は抑えきれない。 移動手段が今とは全く違う中世でも疫病を留めることはできなかったのだから。 時間を戻すこと…

『シッコ』マイケル・ムーア

アメリカ&日本での公開は2007年なのですでに13年が経過しての初鑑賞です。 アメリカ医療制度は変わったのでしょうか? 日本での反響は少なかったということですね。まあ、自分に関係ない話、としか思えないので当然でしょうし、ドキュメンタリーとしてのやり…

『ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~』ダニエル・クルーディ、ブリジット・サヴェージ・コール

Amazonオリジナル映画です。もちろんアマプラで鑑賞。 いまだに時折「映画はもう作られすぎていて新しい物語を作ることができない」という人(ほとんど男性)がいますが、そのほとんどは男性主人公、もしくは男性目線での女性主人公(つまり女性の視点ではな…

コロナウィルスで世界は変わる

まさかこんな事態が起きるとは誰も思っていなかったのではないでしょうか。数人の予言者はいたのかもしれませんが他人が本気にするまでには至らなかったのです。 私は知識も考察力もありませんがそれでもこの「コロナウィルス」によって世界が大きく変わって…

『Second Best 』クリス・メンゲス

なんとも不思議な味わいの映画でした。 うだつの上がらない40代の独身男性が養護施設にいる10歳の男の子を養子にしようと試みる物語です。 昔の話ならいざ知らず現在そういう設定にするのなら必ず中年男が児童性愛者ではないかと思われてしまうでしょうし実…

『ある少年の告白』ジョエル・エドガートン

映画には大まかにふたつの種類があってひとつは個々人の精神を表現するもの、もうひとつは実際存在する事象を良きにつけ悪しきにつけ報道する形のもの、と言えるのではないでしょうか。 例えば先日観た『魂のゆくえ』は社会を描きながらも本質は個人の精神の…

『魂のゆくえ』ポール・シュレイダー

すみません。ポール・シュレイダー監督の名前を聞いたことはあるようだけど誰だろう、などと思いつつ観てしまったのですが、『タクシー・ドライバー』の脚本を書いた方でしたね。 ネタバレになります。ご注意を。 観終わって途方に暮れてしまう気もしました…

『アルカディア』アーロン・ムーアヘッド ジャスティン・ベンソン

幾つもの受賞をしている面白い映画なのですが、何が面白いのかさっと言えない面白さです。 詳しく調べたわけではありませんが本作監督のふたりアーロン・ムーアヘッドとジャスティン・ベンソン が主演も両人でこなしています。 ほとんどが孤立した小さな村で…

『ミンボーの女』伊丹十三

これは最高に面白かったです!!! 昨日『マルサの女』を見て確かに面白いのだけど性差別表現があまりに酷く感じられて伊丹監督でもこれじゃあなあ、という声を上げたのが聞こえて対処されたかのようにwその5年後に作られた本作はそうした性差別意識など感…

『マルサの女』伊丹十三

物凄い名作という評価であり私自身初鑑賞で面白いと思っていたのにDVD購入をしていなかったのですが改めて観てみてどうしてかが判りました。 以下ほとんど映画のあらすじではなく性的描写についての文章です。映画自体は面白いです。ネタバレというほどのな…

『最後の誘惑』マーティン・スコセッシ

こんな面白い映画だったのか!と唖然として観ました。 何度も観なおしてみたいと思います。 ネタバレですのでご注意を。 裏切り者とされるユダが実はイエスの最も忠実で深い関係にある弟子であり友人であるという解釈は素晴らしいと思えます。 クリスチャン…

フェミニズムを語るのに「ジブリ」を筆頭題材にする奇妙さ

headlines.yahoo.co.jp フェミニズムの観点からアニメ作品を語る、というのは大いに興味があるし自分自身も語りたい題材ですが、この記事内容では満足はいかないしトンチンカンのようにも思えてしまいます。下に続くコメントの疑問のほうに共感があります。 …

『ベイビーブラザー』マーク・ミュンデン

これは思いもよらぬ拾い物でした。もうすぐ期限が切れてしまうアマプラですが、最後に物凄い発見。観た後すぐ、久しぶりにDVD購買しました。同監督の別作品まで。こういう映画の感じが大好きなのです。 本当に噂にも聞いてなかったし、このタイトルとジャケ…

『悪魔の飽食』森村誠一

高校生の時に怖ろしくて読めず今初めて読んだつもりでしたがこの長い時間にあれこれと読んだものがあったので初めて読んだような気がしませんでした。もしかしたらいつの間にか読んでいたのかもしれません。 他の日本軍加虐事例と同じくこれも「でたらめだ、…

山上たつひこ『光る風』読みます。

www.amazon.co.jp 偶然、山上たつひこ『光る風』が読めることになって小躍りしています。 いやこんなこともあるのですね。 事の起こりはジャンプマンガ『僕のヒーローアカデミア』の登場人物「志賀丸太」という名前が問題になったことからなのですが。 第二…

『17歳の肖像』ロネ・シェルフィグ

「これは絶対観て欲しい映画」というお勧め文を見たのでまったく知らなかったのですがレンタルしてみました。 2009年のイギリス映画でかなりの受賞やノミネートをされた作品でもありました。始まってしばらくあまりにも普通の女学生物語だったのでいささか驚…

『ジョーカー』トッド・フィリップス(『人斬り以蔵』を思い出しました)

さんざん凄い映画だと聞いたうえで観たのですが、それでもそんな情報など何の意味も無いほど衝撃の映画でした。 まずは人生の悲しみ辛さの共鳴に押しつぶされるべきなのでしょうが、私はやはりアーサーに共感したふりをしてみせるだけの観客にすぎないのでし…

ナルチスとゴルトムント ヘルマン・ヘッセ『知と愛』より

ヘルマン・ヘッセ『知と愛』についてもう少し。 特に勉強したことなどない者の戯言ですが。 この物語は大まかに3つの章によって構成されています。もう少し細かく言えば3つ目を前半後半として4つの章とするべきかもしれません。 第一章はマリアブロンという…

『ボウリング・フォー・コロンバイン』マイケル・ムーア

2002年製作映画。再鑑賞です。 本作でマイケル・ムーアは「アメリカ白人男は臆病すぎて銃による殺人をやめられないでいるんだけどいい加減にしようぜ」とくどいほど大声で叫び続けているのですが今のところはその効果は得られてないように思えます。 もちろ…

『ファンタスティック・プラネット』ルネ・ラルー

このアニメは観てみなければ説明などできないように思えます。 とりあえずは上の画像でとんでもないイメージの世界を描いたものとして想像してみてください。 ボッシュの世界をアニメにしたというような感じでしょうか。 おぞましく感じながらも人間という生…

『美しい絵の崩壊』アンヌ・フォンティーヌ

アマゾンプライムにて鑑賞。原題は『Two Mothers』レズビアンなのでは?と言われてしまうほど仲が良く、少女時代からの友情を互いが結婚しそれぞれの息子が成長してからもなお離れることのない二人の女性の物語です。 ネタバレです。 美しい海辺での夢のよう…

『大統領の陰謀』アラン・J・パクラ

1976年公開作品。原題『All the President's Men』 確かに『ペンタゴン・ペーパーズ』のラストから続く始まりになっていました。 そして同じワシントン・ポストの記者が活躍する話ですが、『ペンタゴン』でキャサリン=メリルの部下ではあるが相棒的存在だっ…

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 スティーヴン・スピルバーグ

報道は政府のためにではなく国民の知るためにある。 そして裁判は報道の自由の勝利を明快に下す。 地方紙ながら記事の高い水準を自負するワシントンポスト。夫の自殺によって発行人の席に座ることとなった妻のキャサリン。当時、女性がそうした地位に就くこ…

『彼らの犯罪』ー「親が・殺す」樹村みのり

非常に読み応えのある短編集でした。 第一話・表題作でもある「彼らの犯罪」は同時期を生きていたものならほとんど聞いたことはあるだろういわゆる「女子高生コンクリート殺人事件」についてのマンガ作品です。心底ぞっとする怖ろしい事件ですが今回は第二話…

『サーミの血』アマンダ・シェーネル

とんでもなく心に食い込んでくる映画でした。あっという間に観終えてしまった気がします。 女性主人公クリスティーナという名前は偽物で本当の名前はエレ・マリャである彼女はスウェーデン人として生活をしてきたのですが本当は「サーミ人」でした。 かつて…

『ヴィレッジ』M・ナイト・シャマラン

これは最初からネタバレになります、と書いておきますね。ご注意を。 いろいろな見方ができる作品だと思います。 まずはレイ・ブラッドベリを読んでいたなら(か、萩尾望都の漫画化作品を)本作が「10月はたそがれの国」の一編『びっくり箱』からのオマージ…

『ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜』

昨年末、芥川龍之介を松田龍平が演じるというので期待していたのですがこの前に放送された同じく松田龍平主演のNHKドラマがあまりに酷かったのでなんとなく影響して観るのが今になってしまいました。 が、こちらは期待以上に、というか予想したのと違った方…