ガエル記

散策

女性

『日本人と日本文化』司馬遼太郎・ドナルド・キーン対談「ますらおぶり」と「たおやめぶり」

日本人と日本文化―対談 (中公文庫) 1996 1996年・平成8年の対談集です。 司馬さんとキーンさんは生まれた年も一年しか違わずお二人とも戦争に行かれているために「戦友ですw」と言われているのが面白い。確かにまかり間違えばこの対談はなかったかもしれな…

『王妃マルゴ』萩尾望都 再再再読

時折ちょこちょこ読み返してはいるのですが今回結構読んでしまって「やっぱりすごい」と唸ってしまったので感想を書いてみることにします。 ネタバレしますのでご注意を。 全8巻ですが、物凄く濃密な内容です。一般的なマンガ作品なら50巻以上は軽くいってし…

リリスの話

【あなたの夢にも現れる!?夢魔の話 The Dave Fromm Show 陰謀コーナー ベスト・セレクション】 さてこれはまだあげてなかったかな。順番に見られないから大変大変。 夢魔=インキュバス・サキュバスまでならよくあるエッチ話で終わりなのですがアリさんだ…

タニシ長者とハマグリ女房

人間と動物、というか人間でないもの、との話がとても好きです。なので狼男の話を書いたりしたわけですが。 さきほどツイッターで「タニシ」という文字を見て突如「そういえばタニシの昔話があったよなあ」と思ったのですがどういう話かは思い出せず検索して…

『ロバと王女』ジャック・ドゥミと「星の素白き花束の・・・」山岸凉子

邦題が珍しくシンプルですが実際は『Peau d'âne』でそのまま『ロバの皮』なのでこれでもやっぱりちょっと違う感は否めないのです。『ロバと王女』ではロバと王女になにかが起きてしまうようですが王女がロバの皮を被って行動する話なのでむしろ 『王女はロバ…

『ディリリとパリの時間旅行』ミッシェル・オスロ

とても一言では言い表せない美しさと感動を描き出したアニメ作品でしたが同時にやりきれない悲しみも感じられました。 多くの人々、特に「普通の日本人たち」に観てもらいたい作品です。 以下ネタバレになりますのでご注意を。 アニメの美しさはもう観ていた…

プロフェッショナル選「宮崎駿スペシャル “風立ちぬ”1000日の記録」

プロフェッショナル選「宮崎駿スペシャル “風立ちぬ”1000日の記録」を観ました。 『風立ちぬ』は以前何回か鑑賞しておりいつかは忘れましたがブログ記事を書いたりもしたと思います。その時ははて何と書いたのでしょうか。「面白かった」と書いたのでは…

『羊たちの沈黙』ジョナサン・デミ

もう何度も観てきた映画なのですが、また観てしまいました。というか観終わってもう一度観たい気持ちが渦巻いています。あまりそうそう観返すのも気が引けるのですが。 何故この映画をそんなにも観たくなってしまうのでしょうか。 本作はまずはレクター博士…

『秋津温泉』吉田喜重

先日『炎と女』『嵐が丘』で興味を持ちました吉田喜重、u-nextにはこれのみありました。 『秋津温泉』というシンプルなタイトルは原作小説そのままなのですが今であればゴテゴテと副題を盛り込まれそうではありますね。それにしても先に吉田喜重を知っておか…

『天井桟敷の人々』マルセル・カルネ

U-NEXTにて鑑賞。『如懿伝』が途中から課金ということであきらめざるを得なくなってショックでしたがなかなか観ることができない『天井桟敷』があったのであきらめることができました。 ネタバレしますのでご注意を。 何度か目の鑑賞ですが、焼き付くような…

『背徳と貴婦人』シャルル・ド・モー

相変わらずヘンテコな邦題です。ヒロインであるウラナラは皇帝の皇后なのですから貴婦人、という軽い名称は畏れ多いのでは。フランス語題名は『Le portrait interdit』で『禁じられた肖像画』中国語題名で『画框里的女人』こちらも額縁の中の女性という意味…

『ヨルムンガンド』その3

以前にも書いたんですけど『ヨルムンガンド』の最大の魅力はなんといっても「女性キャラ」です。 男性キャラも大好きなので女性キャラを特筆するのも何なのですが、高橋慶太郎氏の女性キャラは現在の日本マンガ界、さらにアニメになった場合は稀有、と言って…

『ヨルムンガンド』その2

昨日は『ヨルムンガンド』の作者・高橋慶太郎氏の絵はあまり巧くないが、と書いたのですが同時にとても上手くて魅力があるのです。 特にキャラクターの描き方がとても好きなのです。 日本のアニメとマンガは強く関係していてそれほど好みの違いは異なってい…

『グラスゴーの連続殺人鬼』

アマゾンプライムにて鑑賞しました。イギリスお得意の抑えた渋さのある脚本演出で非常に見ごたえあるドラマでした。 実話をもとにしたドラマで「伝説の刑事」と呼ばれたというウィリアム・マンシーを演じたダグラス・ヘンシュオールがとても良い感じでした。…

高橋源一郎『飛ぶ教室』第一回「植草甚一」

高橋源一郎「飛ぶ教室」というNHKラジオ番組の第一回目を機会があって聞いたのですが、その内容にスルー出来ない感覚があったのでここで書いてみようと思います。 番組内容は「植草甚一の生き方」について、で後半から番組のテーマ作曲家でもあるという菊地…

『第三夫人と髪飾り』アッシュ・メイフェア

昨日観た『チューリップ・フィーバー』と題材は同じものです。どちらもかつて女性にとって結婚は子供(特に後継者となる男子)を生む道具としての役割を果たすことにあったことを美しい映像で語る作品なのです。 しかしその題材をほぼコメディに近い演出でト…

『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』ジャスティン・チャドウィック

この映画を観たほとんどすべての人が同じ感想を抱くのではないかと思います。それは 「外見がやたら素晴らしいのに中身がない」 美術・衣装・背景がとてつもなく凝っていて(つまりお金がかかっている)映像が素晴らしい美しさなのに反比例してストーリーは…

『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』パブロ・ラライン

相変わらず邦題の酷さはすさまじいのですが、内容は思いがけず晴らしいものでした。 監督の名前が聞きなれないラテン方面なので検索したらチリ出身ということで納得しました。偏見になってしまいますが、映画の雰囲気が南米映画によくある情感にあふれたもの…

『嵐が丘』エミリ・ブロンテー恋愛と復讐ー

『嵐が丘』を久しぶりに読み返しました。(久しぶりが短いのですが) やはり心惹かれます。 そして今回再び他の翻訳と比較してやはり中村佐喜子文体が一番しっくりくると確認しました。 せっかくなのでここでエミリ・ブロンテ(中村佐喜子訳)が書いたこの物…

『炎と女』吉田喜重

アマゾンプライム+松竹にて鑑賞。初めて吉田喜重監督を知って今ちょっと興奮しています。 アマプラで+松竹無料期間がなければ観てもいなかったでしょう。それも木下惠介を観ようとして、だったのですが他にも何かないかと探して出会いました。 監督名も知…

『女の園』木下惠介

昨日、木下惠介映画作品はほとんど観ていない、と書いたのですが、本作はその数少ない「観た作品」のひとつです。 観たのはほんの少し前なのですがどうしてもまずこれを観たくなってしまって再鑑賞しました。 ネタバレですのでご注意を。 『女の園』というタ…

『蝶々夫人』プッチーニ

youtu.be レナータ・ティバルディ『蝶々夫人』より「ある晴れた日に」 『蝶々夫人』の物語を「読んで」しまうとかつてはびこっていた女性の立場の空しさだとか男女の性差を感じて嫌気がさすのですが、オペラとして歌声を聞くと歌詞を読んでいても気にならな…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その2

続けます。 先にお断りをしますが、前回松恵が「孤児院からもらわれて」というのは間違いでした。子だくさんの家から弟と一緒に選ばれたのでした。あんまりいっぱいいたので早合点しましたwまさかあんな大人数が兄弟だったとは。「貧乏人の子沢山」で困って…

『鬼龍院花子の生涯』五社英雄 その1

『鬼龍院花子の生涯』作者は宮尾登美子。1980年発行。 映画は1982年公開。ですが、当時は観ていませんし観たいとも思いませんでした。宣伝が 時期は忘れましたが相当後に、というより数年前に初鑑賞して感激しました。なので今回は再鑑賞となります。 公開時…

『ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~』ダニエル・クルーディ、ブリジット・サヴェージ・コール

Amazonオリジナル映画です。もちろんアマプラで鑑賞。 いまだに時折「映画はもう作られすぎていて新しい物語を作ることができない」という人(ほとんど男性)がいますが、そのほとんどは男性主人公、もしくは男性目線での女性主人公(つまり女性の視点ではな…

『昭和一代女』原作/梶原一騎 絵/上村一夫

少女・童女を愛する物語の中で私が一番好きなロリータはなんといっても『昭和一代女』(原作・梶原一騎/絵・上村一夫)のヒロイン・鷹野翔子です。 戦後の荒れ果てた社会の中で身寄りもなく強く生き抜いていく翔子の美貌は他の日本少女キャラの「萌え」要素…

『ある女流作家の罪と罰』マリエル・ヘラー

これってジョーカー女性版?という言い方は釣りですが。 とても面白く鑑賞しました。こんなに優れた映画作品が日本では劇場未公開です。そういうことですね。 苦くて甘くて眉をしかめつつもくすりと笑ってしまう、そんな映画でした。そういうのは凄い映画じ…

『ミンボーの女』伊丹十三

これは最高に面白かったです!!! 昨日『マルサの女』を見て確かに面白いのだけど性差別表現があまりに酷く感じられて伊丹監督でもこれじゃあなあ、という声を上げたのが聞こえて対処されたかのようにwその5年後に作られた本作はそうした性差別意識など感…

『マルサの女』伊丹十三

物凄い名作という評価であり私自身初鑑賞で面白いと思っていたのにDVD購入をしていなかったのですが改めて観てみてどうしてかが判りました。 以下ほとんど映画のあらすじではなく性的描写についての文章です。映画自体は面白いです。ネタバレというほどのな…

フェミニズムを語るのに「ジブリ」を筆頭題材にする奇妙さ

headlines.yahoo.co.jp フェミニズムの観点からアニメ作品を語る、というのは大いに興味があるし自分自身も語りたい題材ですが、この記事内容では満足はいかないしトンチンカンのようにも思えてしまいます。下に続くコメントの疑問のほうに共感があります。 …