
シェエラザードが長身でカッコいいです。
ネタバレします。
第9話「ユディット」
19世紀末ヤバい場所であったイーストエンドへ赴くアリスとシェエラザード。
なぜ彼女たちがこんな場所に来たのか。
それはさる高名な画家のアトリエを訪れたのが始まりだった。
画家の名はブランドン。
彼の依頼は描きかけの絵の「顔」のモデルを探してほしいというものだった。
絵自体の顔以外は描かれていた。のっぺらぼうの女二人が男を殺そうとしている、という絵である。
そしてこの絵画は少し美術を好きな人なら一度は見たことがあるであろう作品であり、このマンガの中でも紹介されるのだが面白いのは諸星氏がより有名なカラヴァッジオではなく女性画家アルテミジア・ジェレンティレスキの描いたものに近い構図にしているところだ。
男性画家カラヴァッジオの描くユーディトは美女であるがなんとなく力を入れずに嘘っぽく首を斬り落としているようなのに比べアルテミジアのそれはユーディト自身が恐ろしいほど力強く渾身の力で男の首を切り裂いている。
男の顔もアルテミジアの方はすでに死に絶えそうなのにカラヴァッジオの描く男は瀕死の中でも性的魅力を放っている。そこがカラヴァッジオたるところであろう。
と。とにかく諸星氏は自分で描く「ユディットとホロフェルネス」にアルテミジア版を取り込んでいる。
そして登場するイーストエンドに住む若い女ジュディスはかつてブランドンに利用され捨てられ貧困の中で死んだ母の復讐をしたのだ。
ユディットがジュディスでありホロフェルネスがブランドンだった。
第10話「交霊会の夜」
19世紀末英国でどのような「交霊会」が行われていたかの再現マンガ作品のようである。(たぶん)
「交霊会」なんて怖いと思うがだからこそこの時代わくわくする遊びだったのだろう。
私とて「こっくりさん」はやったものである。
怖かった。
ほんとうに動くのである。どういうものなのだろう。
「禁じられた遊び」ほど楽しいものはない。命に係わるかもしれないほどスリリングなものはない。
まあ、他人と手を握る(男女で組み合わせている)こともちょっとしたエロチシズムもあったのだろう。
第11話「四辻の悪魔」
クーネル伯爵チューリング城で出会ったドクター・グーリン再登場。
ロンドン近郊に館を持つバローズ伯爵の依頼を伝えにきたのだった。
その依頼とは「16世紀、ファウストゥスによって書かれたという魔術書から抜け出したページの文字を捜してほしい」というものだった。
ページが切り取られて盗まれたのではなくページは白紙として残っているがそこに書かれていた文字と図柄だけが浮き上がって窓から出て行ってしまったというのである。
その直前に胡散臭い髭面の男が「その本を見せてほしい」と訪ねてきたのだが伯爵は断った、という。
そしてそのページに記されていたのは「悪魔の召喚」だったとだけわかっていた。
アリスはすぐに本を前にして手がかりをつかもうと念じたがなにも見えなかった。
ここに地元教区の司祭ジェローム師という人物が登場する。
アリスは師の胸にある十字架が気になった。
手がかりは十字路、四辻にある。
館の近くにある四辻にアリスとシェエラザード、バローズ伯爵とドクターグーリンが行くとすぐそばに昔の処刑台の跡があった。(片付けようよ~)
四辻にはよく処刑場が作られたのだという。悪魔と出会いやすい場所なのだ。
そしてなんと抜け出した文字はそこにいた!(シュールだ)
文字と図は古い教会跡の尖塔へと逃げ込む。
廃墟となっているその場所に文字と図は見つからなかったがなぜかジェローム師がそこに立っていた。
伯爵が声をかけたが師は悪びれることもなく去っていく。
夜中伯爵は所用だったが三人と御者が再び四辻へ行き廃墟となった教会へと赴く。
そこには髭面に変装したジェローム師がいた。
やはり犯人は彼だったのだ。
ジェロームは悪魔を呼び出そうと呪文を唱えだした時伯爵が現れた。
手にはあの魔法書を持っている。
ジェロームが使っていた文字と図は魔法書の中に戻ってしまう。
魔法陣は消えジェロームは慌てて逃げ出そうとして壁に激突し気絶した。
結局何も起こらなかったこともあり黒魔術でジェローム師が逮捕されることはなく、その後姿を消したという。
なんだかわからんがとても面白いのはどういうことだろう。
やはり魔法陣でどうなるのかということよりそういう事件を追っているのが楽しいのだろう。