
これも初読みです。
ネタバレします。
第1話「ファーストネームで呼ばないで」(「手を愛する男」改題)
主人公の名はアリス・ミランダ。助手のミス・ホブソンと共にロンドンに住む。
仕事は「人探し」だという。
今回の「人探し」は「結婚相手」なのだがその条件は「腕を含む手が美しい女性」というものだった。
依頼人はマロー博士。この条件は譲れないという。
アリスはその条件の女性をロンドンや近郊から探し出し博士にリストを渡すことでその依頼の件は終わる。
探し出した方法は後に話すらしい。
本作の印象はそのままシャーロック・ホームズ女性版だろう。
19世紀末ロンドンが舞台、助手のミス・ホブソンと同居しているというところ。
(ワトソン君は決して助手ではないが、ミス・ホブソンも助手というより友人のようだ)
そして一か月後ジェーン・ボウマンという女性の訪問から事件へと移っていく。
アリスは自分が書いたリストにその名前があったのを思い出す。
ジェーンはアリスが指定した女性の妹であった。
ある慈善パーティーで姉妹はドクター・ジョンソンという紳士に会ったという。
数日後、姉はドクター・ジョンソンと約束したと言って家を出てそのまま行方不明になったらしい。
アリスとミス・ホブソン(というかシェエラザードなのだが)はそのドクター・ジョンソンがマロー博士に違いないと以前聞いていた博士の家を訪ねたがその家には博士の姿はなかった。
ふたりはどちらも偽名に違いないと考える。そしてリストにした五人の女性の家を訪ねたがどの女性も行方不明となっていたのだった。
それから女性の惨殺死体が相次いで発見された。どの死体も両腕が付け根から切断されていたのだ。
そしてその一人がアリスが男に渡したリストの女性だった。
アリスは深いため息をつき交霊会をやることにした。
それがアリスの人探しのための手段であった。
アリスはジェーン・ボウマンを呼びミス・ホブソンと三人で交霊会を行った。
霊媒はアリス自身である。
三人が手をのばし霊を呼ぶ。
すると闇の中から腕が伸びてきて三人と手をつなぎアリスの質問に答えていく。
アリスはリストの名や新聞にあった名前を次々と呼ぶ。
でてきたのは三人だけではなくもっと大勢の女性の手だった。
「あなたたちの体はどこにありますか」の質問に腕たちはそれぞれの方向を指さす。
「それではあなたたちの手はどこに」
すると手たちは本棚から地図を取り出しいっせいに一つの場所を指さしたのである。
ジェーン・ボウマンは気絶した。
さてこうして事件は解決する。
アリスとミス・ホブソンもといシェエラザードはマロー博士の隠れ家でおぞましい彼の性癖を目撃する。
が、彼を仕留めたのは女性たちの”手”だった。
アリスは彼がプレゼンターとして出席するはずだった「悪趣味クラブ」に代理として訪れ彼がプレゼンテーションするはずだった腕の生えた椅子を持ち帰る。
その腕はジェーン・ボーマンの姉のものだった。
さてタイトルの「ファーストネームで呼ばないで」はミス・ホブソンのファーストネームがシェエラザードだからで彼女がその名で呼ばれるのを忌み嫌うからなのである。
なのでやむなくアリスは彼女をミス・ホブソンと呼んでいてジェーンにも訝しまれてしまうのだが、んー?単純に縮めて「シェール」だとかなんとでも呼べそうだ。
ではなぜ彼女がイギリス女性名としては希少な名前なのかはここではまだわからず。
第2話「プリマの復讐」
今回は冒頭からアリスが「シェエラザード」と呼ぶのを彼女が嫌がる話から。アリスはその理由をまだ知らない。
今回の依頼は「自動人形(オートマタ)」
この依頼の言葉順からどうもおかしいのではある。
最初に「自動人形を探してほしい」と言い出しその後に「実は数日前に泥棒が入って」といい、その後に「その時妻が殺されたのです」と説明する。
もちろん依頼は「人形探し」ではあるが自分の妻が殺されたことを一番最後に話すのは夫として不気味すぎる。
これを聞いていたアリスとシェエラが変な表情に描かれているのはそのせいではないだろうか。
今回も自動人形を偏愛している変態男なのかと思いきやこの男は財産目当てで結婚した遊び人、というきわめて凡庸な犯人であった。
だが自動人形(オートマタ)に魂が宿り真犯人を捕まえてほしいと依頼に来るという不思議な出来事が起きるのだ。
「殺された奥様」は小さく描かれるのみであまり美人でないようだが、自動人形をここまで動かしたのだからそこには尋常でないほどのつながりがあったのではと考えてしまう。