
最新刊の18巻を購入読了しましたが前回記事が2025年8月9日でさすがに間が空きすぎなので17巻をもう一度読みました。
なので17巻については軽く触れます。
ネタバレします。
第17巻(読み返し)
というか・・・とにかくだ二次世界大戦太平洋戦争において敗戦し続けながらも止めようとせず火だるまになっていく日本の姿を見守ることとなる。
こうして見返せば「どうして・・・」としか言いようがない。
急勾配を転げ落ちていく巨大な岩石を誰も受け止めることはできなかった、という比喩ですませていいのか。
少しでも早く止めることができればそれ以上の多くの犠牲者を出さずに済んだのだ、と後からは言うことができるのだがその時に、何故とどまることができないのだろう。
昭和17年(1942年)8月
最強と呼ばれる一木支隊がガダルカナルで全滅した、と天皇に報じられる。
大本営では敵の数を見誤り見くびっていた。さらに陸軍と海軍が連携して戦うはずが遂行されぬままに兵士たちは見殺しとなる。
12月 鈴木貫太郎は天皇に「いまやガダルカナルという名でその島を呼ぶ者はいません。日々百の餓死者が出ている餓死のガ、ガ島と」と告げる。
天皇は伊勢神宮に参拝しそのことは連合艦隊”大和”の山本五十六の耳に入る。
ラバウル島 第8方面軍司令官今村均はガ島奪回は不可能と判じ連合艦隊の山本に「ガダルカナル沖合で砲撃を続けてほしい」と頼み込む。
が、山本の答えは「燃料が足りない。これからも日本は負けていく。米国の物量の前に」というものだった。
昭和18年3月、東條首相は石原莞爾を呼び寄せ「この戦争はどうしたら勝てるか」と問う。答えは「負けは決まってる」だった。
「これ以上負けたくなければ一刻も早くあんたが総理大臣を辞めることだ」
油が欲しいからとて戦争を始めるバカがいるか、それが石原の忠告だった。
その頃、山本五十六は「い号作戦」を行うためにラバウルへと飛んでいた。
兵士たちを見殺しにするこの作戦に山本は苦悩していた。
山本は前線で将兵の労をねぎらいたいと戦闘機一式陸上攻撃機に搭乗する。
だが山本の行動は米軍に知られておりブーゲンビル島上空で撃墜された。
昭和18年(1943年)4月18日山本五十六戦死。
昭和19年(1944年)牟田口廉也登場。
もうなにもかもいやになる。
牟田口といえば「インパール攻略作戦」
この男は過酷な道のりを「ジンギスカン作戦」で乗り切ろうとした。分隊ごとに牛、ヤギ、ヒツジを連れて行き現地で食べながら進むというのである。
なぜこのような無計画な作戦が実行されたのか。
本作では東条英機が直後「そうか!このインパール作戦がうまくいけば東條内閣への全国民の信頼を再燃させることができるかもしれない」と描かれている。
まさに藁をもつかむ気持ちで「インパール作戦」にすがったのだ。
牟田口は日本兵が五千人名誉の戦死をすればインパールは日本のものになる、と踏んでいた。
ここで山本五十六と牟田口廉也の対比を見せている。
人格の対比、という以上に「こうして負け戦は決まっていくのだ」と見えてくる。
負けていくほど中身は腐るのだろう。
ここから先はまるで笑い話になっていくが笑っていいのか、どうなのか、よくわからない。
ビルマ(ミャンマー)メイミョーに陸軍は料亭を作り上げ将校たちは毎夜その料亭でドンチャン騒ぎを行っていた、ということが天皇に報告される。
牟田口は仕方なく前線に近いインタンギーへ出発した。
作戦を遂行していた柳田師団長は牟田口に「インパール作戦の中止を願います」と告げる。
が牟田口は「この作戦をどうしても成功したいんじゃ」と答えた。
インパールへ向かった牟田口の目前で「前進」を命じられた兵士たちが次々と撃たれ死んでいった。
17巻終り。
なんだか軽く終われなかった。
思ったが。
昨日まで読んでいた『日本遠国紀行』で道民氏は「消えゆくものへの憧憬」を書かれていたが本作を読んでると(というか太平洋戦争を思うと)そもそも日本自体がすでに消え失せていたかもしれないんだよね。
田舎だけでなく大都会も消え失せていたかもしれないんだ。実際に大都会は消え失せもしたんだが。
だからどの場所もいつ消えてしまうかわからないのではあるのだと思う。
第18巻に入る。

第138話◎そういう人だ
昭和19年───4月29日
牟田口は天長節までにインパールを攻略すると断言した。
当初三週間のはずがすでに開始から三か月が経ち一万人近くの兵が命を落としていた。
サイパンに続きグアム、テニアンまでも陥落。マリアナ沖海戦の大敗。連合艦隊航空戦力の壊滅。
東條首相は再び石原莞爾を呼び寄せた。
東條は木戸内大臣から三下り半を突き付けられたという。
首相に留まる策を石原に求めたのだ。
石原は「自分から辞めろ」と突き放すが「しょうがない。天皇に会って直訴しろ。間違いなくお上の答えは3文字だ」と忠告した。
東條の直訴に対する天皇の答えは「そうか」だった。
第139話◎特殊兵器
昭和19年6月25日宮城
元帥会議
連合艦隊の総力決戦は惨憺たる敗北であったと報告がなされる。
海軍元軍令部総長・伏見宮博恭王は「何か特殊兵器を用いなければならない」と言い出す。
それは零戦に250キロの爆弾を抱かせて敵空母に体当たりするというものであった。
第二〇一海軍航空隊副長玉井浅一は大西長官に同意し隊の名前を「神風隊(しんぷうたい)」とした。
第140話◎風鈴の音
昭和19年(1944年)10月宮城
枢密院議長鈴木貫太郎は天皇に呼ばれた。
天皇は軍令部総長及川古四郎からの報告「捷一号作戦」をどう思うかと鈴木に問う。
鈴木の答えは「絶対になりませぬ」であった。
「その攻撃法は人の道に反しております。九死に一生はあり得ても十死に零生はあり得ません」
だが作戦は実行される。
海軍大尉関行男がその任につかされた。
第141話◎命を捨てた神
特攻隊員・関行男の妻満里子は実家の鎌倉で夫の帰りを待ちわびていた。
その行男は特攻前夜、海軍報道班員小野田政に伝えた。
「オレなら体当たりしなくても敵空母の飛行甲板、500キロ爆弾でこっぱみじんに命中させる自身がある。オレは天皇陛下や日本帝国のためとかで征くんじゃない。
最愛の妻のために征く。オレは最愛の妻のために死ぬんだ」
昭和19年10月21日関大尉は飛び立った。
だが、彼は戻ってきたのである。
18巻読み返しが長引き途中で終わってしまった。
仕方ない。
本作品はあくまで『昭和天皇物語』であるから本来は戦闘場面はない方がいいのかもしれないがそれでは状況がわからなくなってしまうという配慮で能條氏は苦心して描かれていると思う。
ところで今絶賛公開中の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の映画は観てはいないが小説読了者として(ネタバレになるのでご注意を)
あの作品、小説も映画もアメリカ製だが主人公のグレースは「特攻隊員」として選ばれるのである。
こちらは地球を救うため嫌がるグレースを無理矢理特攻宇宙船に乗せてしまうのだ。それは片道切符の宇宙船であった。
強制睡眠させられたグレースはやがて目覚め記憶喪失から次第に記憶を呼び戻していく。
そして自分は勇敢に志願したのではなく「いやだいやだ」と拒否したのに無理強いで特攻させられたと思い出す。
しかし彼はその後大好きになってしまった宇宙人”ロッキー”のために「死にに行く」のである。
つまりグレースは関行男であったのだ。
アンディ・ウィアーは関行男の話を読んだのか?
『昭和天皇物語』と『プロジェクト・ヘイル・メアリー』がつながる。