ガエル記

散策

ライアン・ゴズリングを映画14作品から考える

「UーNEXT」「アマゾンプライム」で現在観ることができるライアン・ゴズリング出演映画14作品を鑑賞しました。

特にその後にまとめ感想を書くつもりはなかったのですがゴズリング出演作品の流れがあまりにも意味があるものに思えて書かずにはおれなくなりました。

これも彼がある程度出演作を選べる域にあったからだろうとは思います。

まだ考えがまとまっているわけではありませんが書いていきましょう。

 

 

ライアン・ゴズリング映画14作品のネタバレします。

 

 

まずはライアン・ゴズリング14作品の鑑賞順番そしてこれは彼の出演順番でもある。

『完全犯罪クラブ』(2002)リチャード・ヘイウッド

『きみに読む物語』(2004)ノア・カルフーン

『ステイ』(2005)ヘンリー・リーサム

『ラブ・アゲイン』(2011)ジェイコブ・パーマー

『ドライブ』(2011)ドライバー

『オンリー・ゴッド』(2013)ジュリアン

『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』(2014)ライアン・ゴズリング本人として登場

『マネーショート』(2015)ジャレド・ベネット

『ナイスガイズ!』(2016)ホランド・マーチ

『ラ・ラ・ランド』(2016)セバスチャン・ワイルダー

『ソング・トゥ・ソング』(2017)BV

『ブレードランナー 2049』(2017)K

『ファースト・マン』(2018)ニール・アームストロング

『バービー』(2023)ケン

 

ライアンの年齢は公開当時からの推察として書いている。

 

『完全犯罪クラブ』(2002)リチャード・ヘイウッド

22歳ほどの若いライアン。

同級生と殺人をして遊ぶというサイコパスな金持ちぼんくら青年の役。

正直言うと本作はかなりお粗末な出来でライアン自身も奇妙な役どころだなあと思ってしまう。

しかし今回の考察はそこがポイントなのである。

つまり私が観ることができたライアン・ゴズリング作品でもっとも初期の作品が”一番良くない”のである。

そして少しずつ良くなっていくのだ。

あたりまえのようなことを言っているが、様々な映画鑑賞で様々な俳優たちを観てきた者にとってこれは結構すごいことなのではないか。

人気俳優は多くの場合若い時にピークを迎えしぼんでいくものなのだ。

 

こうして14作品を観終えてからだから言えるがゴズリングは確実に少しずつ出演映画作品がランクアップしていっているという稀有な俳優なのではないだろうか。

というのは美形俳優というのは若い時期に突然人生最高の映画作品に出演(主演)し以降しりすぼみになりがちだ。女優であれば顕著だろうし男優であっても難しい。

まあ、彼は今45歳なので男優としては今が最盛期なのかもしれないがコツコツと一段一段登っていくタイプは今まであまりなかった気がする。

もしかしたらライアンは美形俳優ではないのかもしれない?

よ、よくわからない。

 

 

とはいえ最初で決めつけるのもいけないだろう。次に行ってみよう。

 

『きみに読む物語』(2004)ノア・カルフーン

前作から二年後だがこの二年間で随分イメージが変わる。

というか、24歳ほどになったライアンは45歳の今のイメージとあまり変わらないのだ。

むろん作品自体の質が大きく向上したのも起因している。

前作の頼りないぼんくら青年は成長し顔つきも違う。

以前のぼんくら青年はライアンの演技だったのかもしれない。

本作ではもう髭のライアンが見られる。

ここでも正直に言うと外見はこの時からほぼ変化していないように思える。

それも不思議だ。

容姿はこの24歳当時から現在まであまり変わらないのだがその中身は大きく成長し続けてきたのだろうか。

 

作品としては『きみに読む物語』はまあまあと言った感じ。

ライアン演じるキャラもそれなりである。

 

『ステイ』(2005)ヘンリー・リーサム

25歳のライアンはイアン・マクレガーそしてナオミ・ワッツと共演、というのが最大の成長だろうか。

ふたりの有名俳優に絡むライアン、重責だったであろう。

前の二作品とはまったく異なる高質な映画作品でもある。

試験を受けて合格しては上級クラスに進んでいるような感じがする。

ライアンの演技も特異な形而上学的なランクへ。

 

『ラブ・アゲイン』(2011)ジェイコブ・パーマー

いきなり6年飛ぶがライアン自身は映画だけでも6作品に出演している。たまたま配信がなかっただけである。

なので31歳になったライアンである。

ただこの映画のラブコメ調が私的に合わなくて参った。

そのせいもあってライアン自身の評価もやりづらい。

好きではないかな。

本作では『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンと共演している。

割れた腹筋のライアンが見られる。

 

 

『ドライブ』(2011)ドライバー

記事にも書いたが今回の私的ライアン映画鑑賞中で彼の初主演作品であった。

ここでライアンは「寡黙な男の美学」に入り込んでいくように思える。

面長でクールなまなざしを持つライアンには適した配役であるだろうが私個人はあまり彼にやってほしくないキャラクターに思える。

というか古臭い気もする。

私自身が昔からこういう寡黙でクールなダンディズムを好んでいたために余計思ってしまうのだ。

カムイ、マッドマックス、キリコ・キュービィーというような男たちが好きだっただけにもういいかな、と思ってしまうのだ。

そういうのをあまり観てこなかった人には男の美学を堪能されたし。

 

ライアン・ランクアップとしては主演を勝ち取ったという快挙である。(鑑賞内で)

 

『オンリー・ゴッド』(2013)ジュリアン

前作に引き続きレフン監督との共働で再び寡黙な男の美学を演じる。

前作よりさらなる美学が強調される。

レフン監督からは「ぼくたちは双子なんだ」と言われるほどの共鳴をしていたようだが自分的にはどうなのかあと思えてしまう。

ライアン・ランクアップとしてはそうした映画体験をしていくということは素晴らしいと思える。

のめり込んでしまったんだねえ。

 

『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』(2014)ライアン・ゴズリング本人として登場

そのレフン監督との蜜月時代の映像である。

レフン監督の家族である妻と二人の子供たちともライアンは親しくしていて微笑ましい。

 

『マネーショート』(2015)ジャレド・ベネット

そうした「寡黙な男の美学」に浸っていたことを指摘されたこともあったのか、大きく方向転換したと言ってもいい金融世界のまあカッコいいとは言えない男を演じている。

パンチパーマ的な頭髪の口八丁の男で人を騙す役なのだ。

こうしたまったく違う役を演じてしまうのがライアンの長所なのでもある。

今回は完全な脇役に徹して作品の面白さを盛り立てている。

 

『ナイスガイズ!』(2016)ホランド・マーチ

これも寡黙な男の美学とは程遠い情けないダメ男の役である。

記事にも書いたが今のところライアン・ゴズリング出演映画で一番面白く一番好きかもしれない。

もしかしたらライアン・ゴズリングはダメ男が一番に合っている?もしくは私としてはダメ男のゴズリングが一番好きなだけなのかもしれない。

カッコつけてガラスを割って血だらけになるのは思い出しても笑う。

ということはライアン、36歳にして真骨頂に達した、ともいえる。(私的に)

 

『ラ・ラ・ランド』(2016)セバスチャン・ワイルダー

とはいえ世間的にはこちら『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングこそ最高潮の彼なのだろう。

”マッチョ”ではないが本作のライアンは「寡黙な男の美学」のセブを演じている。

『ドライブ』の時のような”くどさ”はないがセブの生き方はあまりにもカッコつけている。

作品自体がミュージカルとして素晴らしいのでだまくらされてしまうがセブはカッコつけマンである。

カッコつけマンのライアンは眉に唾をつけて観ようと思う。

とにかく本作でライアン・ゴズリングは社会的に俳優としての最高峰に登りつめた。

だが私はそうではない、と思っている。

 

『ソング・トゥ・ソング』(2017)BV

つまりここからが問題なのだ。

ライアン・ゴズリングは稀有なほど着実に少しずつ俳優の道を上っていき表面的には『ラ・ラ・ランド』で頂点に達した、かのように見える。

逆に言えばここからは落ちていくとも思えるが私としては彼はここからなのだ、とも思っている。

『ラ・ラ・ランド』でひとりの女性を一途に愛するカッコつけ男を演じたライアンは本作で再び一人の女性を一途に愛する男を演じながらそれはカッコつけで終わらせない地に足をつけた男としての人生を演じてみせてくれた。

 

本作はややわかりにくくとっつきにくい映画で『ラ・ラ・ランド』に名声は及ぶものではないがライアンが『ラ・ラ・ランド』の次回に本作出演を決めたのは私には非常に意義があることに思えてならない。

 

『ブレードランナー 2049』(2017)K

2017年のライアンの役は”BV”の次が”K"という。

そして本作はまた「寡黙な男」に戻る。

この辺の揺れがおもしろい。

ライアン・ランクアップとしてはあの名作『ブレードランナー』の続編に主演するとはなんという名誉かと個人的に思う。

監督も今を時めくドゥニ・ヴィルヌーヴである。

チャゼル、テレンス・マリックそしてヴィルヌーヴという名監督の映画に続けて指名される俳優になっている。

 

『ファースト・マン』(2018)ニール・アームストロング

でもってチャゼル監督作品主演。

思いきり寡黙な男の美学映画である。

こんどは娘を思う男の哀愁を描く。

男の美学の鉄板ネタである。

映画自体は見ごたえある。

以前観た時は感動作だと思ったのだが今回観なおしてあまりの「男の美学」っぷりに引いたのであった。

 

『バービー』(2023)ケン

ライアンはあくまでバービーのボーイフレンド役であり主演ではないが今回の映画鑑賞シリーズで一番夢中になって観てしまった作品である。

こういうフェミニズム映画を楽しく面白く見せてしまうのがアメリカ映画の本領発揮である。

ここではライアンは自分自身何度も演じてきた「男の美学」を笑いのめす役に徹している。

「この役を演じていいのだろうか」と心配になるほど男の独りよがりを皮肉る。

とはいえ数々のそうした男の美学映画に出演してきたからこそのキャスティングなのだ。

ゴズリングにそういうイメージが定着しているからこそケンにオファーされたはずだ。

彼だからこそケンなのだ。

そしてもうひとりのケンはシム・リウでシャン・チーだ。楽しい。

 

ライアン・ゴズリングはこれまでの「男の美学」映画を懺悔するかのようにアメリカにおける男性賛歌を笑いものにする。

それはとんでもないことではないか。

 

 

ということで今回のライアン・ゴズリング映画作品鑑賞記録はここで一旦終了する。

観ることができなかった作品も多々ありもっとも期待される作品『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に関しては原作読書済みだが映画は未鑑賞である。

現在怒涛の絶賛高評価中なので情報だけは溢れている。

とても駄作だとは思えない。

なので未鑑賞なのにあえて言ってしまうけど自分的には『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は(たぶん)ライアンの最高地点なのではないかと思っている。

ライアンにはさらなる高みを目指してほしいが社会的には個人的にも最高峰になる予感がある。

それは彼が好んでいるもう一つの流派「男の美学」映画と双璧を成している。

その後に続く「スターウォーズ映画」はどちらなのか。普通に考えれば「男の美学」派だろうとは思うが。

 

これからのライアン・ゴズリングはどちらの流派で進んでいくのか。

このままふたつの流派「カッコつけ男性映画」と「カッコ悪い男性映画」を交互に行くのか。

それも含めて楽しみである。

 

私個人としては「ダメ男ライアン」を推していきたいのだが。