
モリとタクトが表紙なんだよな。
ネタバレします。
『AーA´』「月刊プリンセス」1981年8月号
優秀なコンピューター技師であった19歳のアデラド・リーはプロキシマ第5惑星ムンゼルでの事故で死亡した。
その後、クローン再生によって戻ってきたアデラドを仲間たちは大喜びで歓迎するがただひとりレグは「アディではない」とクローンを拒絶する。
ところが戻ってきたアディは三年前の不愛想だった彼女に初期化されており仲間たちは彼女の冷たさに戸惑う。
逆にレグはアディを異性として愛していたために「あれは彼女ではない」と否定しながらもどうしてもその感情は強まっていくのだった。
アディは一角獣種という特殊な存在である。高い能力を持っているがそれと引き換えるように感情が表現されにくい形質を持つ。そのために強いストレスを感じていても気づかず食事をしないまま死んでしまう恐れがあるのだ。
元のアディには幼い時に負ってしまった傷があった。レグはその傷さえも愛しいと思っていたがクローンにはその傷はできていないのだ。
しかしアディと接するうちにレグは再び愛情を持ちはじめ新しいアディにかつてのふたりの関係を話しそれを取り戻したいと打ち明ける。
新アディは感情が動かない。
それでもレグは明日はどうなるかわからない、と希望を持った。
が、アディと組んだ仕事中に氷原の隙間に落ちふたりは元のアディの凍った遺体を発見してしまう。
愛していたアディを見つけたレグはそのままではいられなくなる。
レグは新しいアディから離れることに決意した。
しかしレグは新しい任地で事故に遭い死んでしまう。
レグのクローンが作られた。
アディの前に新しいレグが到着する。
アディは初めて涙を流しレグに自分の話をしようと心に決める。
SF世界の新しい恋愛の形だ。
しかしクローンはクローンであって彼女(彼)ではない、のは確かだ。
攻殻機動隊的な「人形使い」ではないのだから愛情はどうなるのだろう。
『4/4カトルカース』「プチフラワー」1983年11月号
不安定な超能力者モリと一角獣種トリルの物語。
超能力があるために木星の衛星イオにある研究所施設に保護されたモリだが彼は超能力者としては劣等生だった。
そんな彼は一角獣種として開発されている少女トリルと出会うことで爆発的な超能力を発揮する。
しかしコントロールできない超能力は多大な事故を引き起こしていく。
そしてトリルは養父でもある博士によって彼女の卵子を取る手術を受け続けていた。
同じような一角獣種を作るためにだ。
しかしその実験は失敗続きだった。
モリとの出会いでトリルに感情が生まれ博士を拒絶するようになっていく。
あせった博士はトリルに結婚を迫る。トリルは彼を殴り逃げようとする。
モリは超能力をコントロールできないまま火星へと送られることになっていたがトリルの呼び声に反応して戻る。
が、トリルは安全な庭園のエアロックを開け「外」へ出て放電によって死んでしまう。
傷を負った博士はトリルの卵巣が無事だったことを喜ぶ。
モリは火星へ向かいながら感情などいらないと考えた。
科学の恐ろしさ。
これが物語のおもしろさ、でもあるのだよなあ。『銀の三角』で描かれた。
『X+Y』「プチフラワー1984年7~8月号
前作のモリが少し成長した時点。
火星にやってきた「タコ計画」のメンバーの中にいた一角獣のタクトを見てモリは心を動かされる。
今では同性愛表現はあたりまえになっているけど80年代ではまだそこまでなかったはずだが萩尾マンガでは特に戸惑いもなくモリくんはタクトに恋愛感情を自然に抱く。
やがて計画は土星に移りモリとタクトはさらなる展開になっていくが・・・。
モリが必要以上に(?)ハンサムだしタクトもまた美少年すぎて甘々な感じがしすぎるくらいしすぎる。(いや喜んでます)
前作とは違い明るい未来SFと言った感じで楽しい。
とはいえやっぱり暗く怖い要素も含まれているのが萩尾SFの醍醐味でして。
本作では一角獣だけでなく女と男、XXとXYの問題が絡んでくる。
つまりタクトは一見男XYだが染色体がXXなのがわかり今後も男になったり女になったりするのである。
これをモリも知ることになるがさほどそれを苦悩するわけではない。
問題なのはむしろタクトの子供時代の記憶を消したことでよくわからないトラウマによってタクトが苦しんでいるほうなのだ。
モリはタクトをその苦しみから解放させる。
モリの超能力が格段に進歩していくのだ。
しあわせな予感に包まれるラスト。
よかった。