火井鎮の章
ネタバレします。
【第78回 陰風 凄々として砂漠を吹き 聖僧 促々として荒野を過ぐ】
羅刹女は悟空が気に入ったらしく突如襲いかかりそして去っていく。
西域を目指し八戒は駱駝に乗って旅を続ける。早く帰りたいのだが。
これまで人に敗ける気がしなかった恵岸行者が黄袍の飛抓に襲われ傷を負う。
(まあこの後の布石だからなんだけど)
八戒の一行に一升金が合流。
一升金「玄奘がいる」と聞いて覗き込むと八戒だったのでがっかりする。
恵岸を助けたのは百花羞だった。
石方相はここでも愚痴を言っている。
玄奘、悟空は岩の側で野宿していた。
玄奘は度重なる障害に弱気になっていた。
暗闇の中で近づいてくる者がいる。
それは松明を付けた馬車に乗る不気味な仮面の人物だった。
【第79回 凶風吹いて行客 貨を守り 強刃閃いて旅僧 災いを脱る】
一升金に話しかけた八戒はどうやら彼女が本物の玄奘を知っていると気づく。
そこに羅刹女賊が襲ってくるが一升金はそれが偽物だと気づいて石を投げつけた。
騒ぎになる中近づいてきたのは軍隊だった。
阮兄の部隊は去っていく。
玄奘、悟空は砂漠の窪みにある住居を見つける。
仮面をかぶった子供がいて驚くが他は普通の人々だった。
ふたりはそこに一泊するが明け方誰もいなくなっている。そして再び仮面の者が襲い掛かってきた。
しかも窪みになっている住居に砂をかけ埋めようとする者たちまで現れる。
玄奘は抜け穴を見つけ悟空と共に逃げ延びた。
その先には昨晩泊めてくれた住人たちが殺されておりその向こうには羅刹女が騎馬していた。
【第80回 武尉 石を投じて河中に入り 二客 津を求めて旧知に遇う】
そこに阮暴虎が邪魔に入る。
羅刹女は興ざめして去っていく。
逃げた玄奘は驚く。
行く手には大地を切り裂いたように深く沈みこんだ河が流れ阻んでいたのだ。
またも襲ってきた阮暴虎をやり過ごしふたりは河添いに走ると隊商が立ち止まっているところへ出た。
中から一升金が声をかけてきた。
八戒はふたりを見て姿を隠す。
一升金はすぐに八戒の存在を知らせる。
見つけられた八戒は慌てる。
伴ってきた者たちに「こちらは師匠の玄奘。わたしは字が違う玄情です」と言い逃れた。
隊商は河沿いに進むことになったが悟空たちは河を横切って西に進む。一升金もついてくる。
が、阮軍がまたも迫ってくるのを見て悟空はひとり囮になって走り去る。
様子を見て三人は進み始める。
陰気な谷を進むと人が住む家があった。
玄奘が頼むと休憩をさせてくれた。
軍隊を引き寄せながら逃げる悟空は山道にはいってまこうとした。
突如不気味な大トカゲが襲ってきた。
悟空が金箍棒を振るうとしっぽが切れた。
そのしっぽから体が生えて逃げていく。
【第81回 山中に心猿 巫蠱を知り 草庵に妖蛇 蜥蜴を呑む】
弱気になっていた玄奘だったがここでさらに窮地に追い込まれてしまう。
谷で休ませてくれた不思議な男、析易居士は蜥蜴を飼っていた。
ただ一升金に近づいた蜥蜴は一升金の胸から飛び出した蛇によって食われてしまう。
翌朝様子を見に来た析易居士は一升金ににらまれる。
一升金がいなくなった隙を狙い八戒は荷物を調べる。
壺からは蛇が這い出し八戒の腕に巻き付いた。
一升金は析易居士と対決していた。
析易居士は一升金を子供と見て侮るが一升金の胸元から出てきた一つ目の蛇蠱を見て慄く。
大青と名付けたその蛇蠱は析易居士にとびかかる。
一升金が戻ると八戒は小青に巻き付かれ弱っていた。
八戒は一升金の言いなりになると約束して許してもらう。
病気になって苦しむ玄奘が目覚めると側には誰もいなかった。
【第82回火井鎮に巫 刀桿を上り 析易庵に僧 蠱毒に中る】
一升金は八戒を連れて鎮火石と彫られた大きな丸い岩の場所まで行きその岩の下を掘らせる。
臭く黒い水が出てくると一升金は掘らせるのを止め八戒を析易庵に帰させた。
が、一升金が宝を隠そうとしていると踏んでいる八戒は彼女の様子を隠れ見ている。
火井鎮では婆による巫術が始まる。
それは刀の刃の上を登ってする占いだった。
婆はこの占いで失敗したことはなかったが、突如現れた蜥蜴に乱され足の裏が切れ落ちてしまう。
岩場で析易居士は再び一升金に勝負を挑むが容易く敗けてしまう。
が、蜥蜴から財産をかすめ取られ一升金は考えを変える。
析易居士の家に来た悟空は病で倒れている玄奘を見つける。
側には八戒も一升金もいない。
一升金は火井鎮に来ていた。
売ら巫術に失敗した婆は寝込んでいた。
占いを告げようとしたが蜥蜴が覗いているのを感じ言うのをやめる。
しかしこの村に禍が来るのは確かだった。
悟空はまた玄奘の顔をした蜥蜴を見て慄く。
「悟空、私は死ぬ。トカゲになって」というのだ。
慌てて追い払うと逃げて行った。
村人たちはあちこちでトカゲを見て騒ぎ始める。
そして一升金を見つけ「おまえか。禍を連れてきた子供は」と問う。
「禍ならあんたの後ろにいるわよ」
それは蛇蠱大青だった。