1980年 イラスト集「金銀砂岸」描きおろし
萩尾望都の特色といえる創作古典とSFを織り交ぜた作品のひとつ。
ネタバレします。
創作古典のイメージがヨーロッパともアジアとももしかしたらアフリカ的なものもあるのだろうか。それらが合わさったような美しいイメージだ。
古代の薄い布をまとう美しい少女、少女が憧れる美しく精悍な青年。
が、少女はその青年によって命を断たれふたりの恋は成就しない。
これはかつて今里孝子の原作で描いた『マリーン』のイメージとも重なるように思える。私は『マリーン』という作品自体は好きになれないのだが繰り返される時間の中でもういちど恋を辿る、というイメージはそこで習作されたのかもしれない。