ガエル記

散策

『マッドメン』諸星大二郎 その1

北の精霊の次は南の精霊を読む。

諸星大二郎マッドメンシリーズ一巻『オンゴロの仮面』はすでに読んでいたのだが、記事では後日談の『追跡ルポ 波子を探して』の方を先に書いてしまった。

 

なので第二部以降は未読。楽しみ。

 

 

ネタバレします。

 

第Ⅰ部

 

マッドメン

羽田空港にて。

エア・ニューギニーは鹿児島空港に入りそこから国内線で帰ってくる父親を待つ波子とその母。

父に同行してきたのはメルボルン大学のミス・バートンとガワン族のコドワだった。

コドワは波子と同年齢の少年でしばらく同居することになるという。

 

波子の父は人類学学者で半年間ニューギニアで研究調査をしていたのである。

コドワは近代化されてきた(1975年執筆)ニューギニアでも閉鎖的なガワン族の村に生まれ育った。

波子の父=篠原教授は無理強いをしてコドワを日本に連れてきたのだ。

何故なのか。

彼はコドワを独占して研究をしたいという願望を持っていた。

 

さらにミス・バートンが篠原教授に問い詰めている声を波子が(盗み)聞くことで恐ろしい事実が発覚する。

コドワは篠原教授が現地の女性に産ませた子供だったのだ。

篠原教授は自分の子を(現地の)キムリの養子にしてガワン族の子として育てさせその子供を使っていわば研究のためのモルモットにしようとしていたのである。

人類学上貴重な研究だとして篠原教授は譲らなかった。

 

篠原教授は助手と共にコドワに睡眠薬を飲ませ全身のみごとな刺青を写真に収めた。

その胸には不気味な怪物があった。ン・バギである。

(実はニューギニアでは刺青の習慣はなくボディペインティングをするのだと諸星氏は後で知ったらしい。台詞はこのあたりの言い訳をしている風になっているように思える)

 

コドワを心配する波子は彼の部屋を覗き、彼のそばに不思議な者がいて消えていくのを見る。

それは「先祖の霊=アイオス」だという。精霊=マッドメンなのだと。

コドワはニューギニアの父の死を伝えられたようだった。

そして波子に首飾りを渡し「おれ、ナミコがすきだ。それをつけていればきっとまた会える」と告げる。

 

篠原教授の助手星野は帰宅中に何者かに殺され(あの刺青を写した)フィルムを盗まれた。

 

そしてその夜、雨の中コドワを探しに行った波子は森の中で彼が数人の精霊たちとの儀式を見る。

波子は驚き帰宅し部屋に入ったが大きな音が鳴り響いて父を呼んだ。

「なにかが家をたたいている」

教授がドアを開けると家の外に何か大きなものがいた。

激しく家が揺れた。

壁が破壊され入ってきた怪物に教授は叫んだ。

「ン・バギ・・・?」

 

家の揺れが止まり静かになる。

波子が振り向くとそこにコドワがいた。

「きのうの夜、精霊(マッドメン)きて告げた。教授タブー犯した。ン・バギ呼べと。その儀式見たものもン・バギゆるさない。だが精霊言った。ナミコはやがて森に呼ばれ森の聖なる輪の中にはいると」

 

翌朝半壊した家の中に惨死した教授の姿があった。

 

コドワはミス・バートンに連れられニューギニアへ帰った。

 

なんという導入部なのか。

今読むとこの物語は諸星氏の『ポーの一族』なのかなと感じる。『ポーの一族』のほうが1972年からと少し早い。

きりりとしたコドワとエドガーはイメージ的に重なるし、なんといってもコドワと波子は結局(異母)兄妹になるわけだ。(姉弟かもだが)

父親が正妻とは別の女に生ませた息子という点も同じ。(別に研究のためにではないが)

 

何も重ねる必要はないと言われるかもしれないが自説として「萩尾望都諸星大二郎は似ている」を推しているのであえて書いてみる。

今のところ「ふたりは同じ年(1949年)生まれ(二か月萩尾氏が先輩)」「代表作である『マッドメン』と『ポーの一族』が似ている(誰も賛同しなさそう)」を掲げてみる。